無職の男が2人、同居を始めるに至るまで②

①はこちら

さて、というわけで埼玉の田舎に「元SEのゲーム作家」「元バーテンダーのライター」の無職2人が同じ家で暮らすことになった。

まあ、カッコよくフリーランスの男2人とも言えなくもないのだが、社会的な信頼の無さと定職についていないというニュアンスで無職という言葉を使っていこうと思う。

○なぜ、同居を提案したのか

①で、うちに住む? と言い出したわけだが。
なぜこんな提案をしたかと言うと僕の家は、現在一部屋空いていたからである。

間取りで言うと、この洋室(B)を完全に持て余していた。

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当初の予定では、洋室Aを自分の部屋、和室をプレイスペース。
洋室(B)にデスクを置いて作業場としようとしていた。

が、なんと洋室(B)は冷暖房が無かった。その上、エアコンを設置するための穴も無い。
そんなところで作業していては死んでしまうので、結果として洋室(B)は有り余る私物を放り込んでおくだけの場所となっていた。

3DKのアパートに住んでいながら、実質2DKである。

どうせ腐らせておく位なら、いくらか彼から家賃を貰って住まわせる方が得だと考えたのだ。

彼も上京するのであれば、また敷金礼金を払ってアパートを借りてと余計な費用がかかる。なら、互いにWinWinであると判断した。

しかしながら、冷暖房がない。過酷な部屋だ。

「それでもいいのか?」と確認したが、彼はワイルドな男である。

「問題ないぜ」とあっさりと返事が来た。

海外のゲストハウスや、4人で六畳を分かち合うような環境で寝泊まりできる彼にとっては些細な問題だったようだ。

僕はウォッシュレットのないトイレの時点で嫌気がさしてしまう男なので、彼とは大違いだ。
僕もニュージーランドに留学したり、海外にも旅行へ行ったりもしたことがあるが、トイレの質がどこも低いという点で、日本という国から離れられないでいる。

まあ、というわけであっさり同居が決まった。

○と言うわけで同居開始

彼がやってくる日は、たまたま弟が泊まりに来ていた。

弟はモデルをやっていて、地元の九州であれこれしているが、今回東京でオーディションがあったのでウチにしばらく転がり込んでいた。

彼の住む予定の部屋が相変わらず物置のままだったのだが、綺麗好きな弟に5,000円払ったら片付けを手伝ってくれた。
無職なのだから自分でやれという話なのだが、まあ仕方ない。助かった。

弟から「一緒に暮らす人ってなんて言うと?」と聞かれたので、彼のいつも呼んでいる名前、つまりHNを言うと「いや、本名は?」と聞き直される。
一応伝えると「兄ちゃん達って、その変な別の名前、みんな使うよね」と言われる。

ハンドルネームという概念が弟にないらしい。クラブのDJをやったり、ラップを披露したり、モデルをやっていたりする弟とは住む文化がここまで違うのかと驚愕する。

そんなわけで、彼がやってきた。イベントで一回しか会ったことないので顔はうろ覚えだったが、声は聞き覚えがある。ネットの友人あるあるだ。

向こうもそんな感じだとは思うが、僕の髪は赤いので比較的認識はし易いかなという気もする。

余談だが、弟の髪が緑だった時期があったので、「マリオブラザーズじゃん(笑」と言われた事があった。

弟に伝えたら「ほんとやん、俺のほうが背高いし」と言われる。この野郎。弟の背が高い(183cm)だけで僕は日本人男子の平均身長よりは高い。

話を戻す。共通の友人も遊びに来ていたので、荷解きを手伝ってもらい、寝具の確保までには成功する。
一段落し、夜も更けてくる。しかし大事なことを伝えないといけないので、彼を呼び出した。

僕は、かなりずぼらな方で部屋は荒れがちな男だ。なので、まあ扉をきちんと閉めるだとか、電気や水をきちんと止めるだとか、そういうのは割とどうでも良いタイプであった。

しかし、こんな僕でも許せないことが2つだけあるので、一緒に暮らす上で守ってもらうルールを定めることにした。

「1つ目、トイレの便座を上げたままにしないこと」

「その文化はなかったな、気をつけよう」

「2つ目、互いの睡眠は邪魔をしないこと」

「ああ、俺も人生の敵は睡眠だからな」


かくして、埼玉の某所にて、無職の男、2人の同居が始まったのであった。





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