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破産状態で一部の人だけに返済で逮捕!偏頗弁済は絶対にダメ!

皆さま、こんにちは。弁護士をしております、中野秀俊と申します。今日のテーマですけれども、一部の人だけに返済で逮捕!偏頗弁済は絶対にダメ!というお話をしたいと思います。

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ある会社が破産の手続きに先立ち、債権者といわれる取引先150社のうち特定の1社だけに債権譲渡し、事実上の債務の返済を行ったところ破産法違反の疑いで逮捕されたとの報道がありました。

返済したのに逮捕

これを聞くと、「なぜ返済をしたのに逮捕されるの?」と思われるかもしれませんが、ポイントは1社だけに返済を行ったという点になります。こういったものを偏頗弁済といい、偏った返済とされています。破産の手続きが開始されたなどの破産状態でもう払えないという時に一部の人にだけ弁済をすると法律的にはNGになります。

なぜかというと、「債権者平等の法則」というものがあり、何かしらの権利を有する人はその金額に応じて平等に扱わなければいけないとされているからです。Aさん、Bさん、Cさん、Dさんがいた場合、Aさんだけに返済することはNGとなります。この4人が権利を有しているのであれば、その権利の金額に応じて平等に返済していかなければいけないわけです。

破産手続きとは

全員に返せない時点で破産手続きが行われることになりますが、この破産手続きとは破産管財人が選任され、会社や個人の財産を回収し、債権者に平等に分けていくというものです。ですので、これを蔑ろにして勝手に一部の人だけに弁済をしてはいけません。「この人はうるさいから、怖いから」といった理由で一部の人だけに弁済をしてしまうと逮捕・刑事事件にもなりうるわけです。

偏頗弁済をするとどうなるのかというと、まず今回のケースのように刑事罰にもなりえます。正直なところ、刑事罰になることはなかなかありませんが可能性はあります。

また、偏頗弁済が発覚すると破産管財人に弁済を否認されます。破産管財人の否認権によって偏頗弁済による財産は回収され債権者への分配金に充当されてしまいます。つまり、Aさんだけに弁済をすると破産管財人からその支払いをすべて返すようにいわれてしまうわけです。

さらに免責も認めてもらえなくなります。たとえば、個人の方であれば破産をした後に免責をしなければ債務は消えません。しかし、1人の人だけに返したとなると破産は認められても免責は認められないというあまり意味のないことになってしまいます。

このように全員に支払いができなくなった段階で一部の人だけに支払うといった偏頗弁済は絶対に行ってはいけません。この点についてはしっかりと覚えておいていただきたいと思います。

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