見積書を出して、相手が発注書を出したら契約は成立する?
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、見積書を出して、相手が発注書を出したら契約は成立する?というお話をしたいと思います。
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見積書と発注書で契約を成立する?
これはYouTubeのコメントでご質問をいただきました。皆様、いつもありがとうございます。
「見積書があり発注書が出た場合、これで契約は成立するのでしょうか?」というご質問をいただきました。逆にいうと、例えば、見積書をもらい発注書を出した段階でも、契約書を作ってないから「やっぱりやめた」と言えるのか?というご質問です。
契約はいつ成立するのか?
これを法律的に整理すると、まず「契約はいつ成立するのか?」というお話になります。これは以前にもご説明しましたが、法律上は申込と承諾があった時点で契約は成立します。もちろん、例外的に書面で交わさなければ効力がない契約もあります。ただ、原則は口頭でも成立し、その口頭とは申込と承諾があった時点となります。なので、契約書は原則必要がありません。
今回の例でいうと、「この金額でこれをやります」という見積書があり、それに対して発注書で「OKです」となっています。この場合、見積書で「これでやります」という申込があり、それに対して発注書で「じゃあそれでお願いします」という承諾をしたとなるわけです。なので、この見積書と発注書があれば、通常は契約が成立していると思います。
契約が成立しない場合
ただし、例えば、見積書が最初の段階で非常にざっくりとした見積りで、金額や何をやるのかが決まっていない場合などは工数が増えていくことで金額が変わることもあるのかもしれません。しかし大体の場合、見積書は「この業務に対していくら」というものなので、見積書と発注書が出てきた時点で契約が成立しているとみるのが通常かと思います。裁判でもそのように認定されると思います。
契約が成立するとどうなるのか?
次に、では「契約が成立するとどうなるのか?」というお話です。契約が成立すると、勝手に「やっぱりなしです」とは言えなくなります。見積書に関しても、「見積りの工数が間違っていたのでやり直していいですか?」とも言えなくなります。もちろん、相手方の同意があれば問題ありませんが、一旦「これでどうですか?」「OKです」となっている以上、それを変えることはできません。当然、先ほどお話したような追加機能や後から色々なものが出てきた場合に、見積りの前提と違うとなると話は別になります。しかし、単純に見積りミスで変更ということはできなくなります。そして、「やっぱり契約はやめた」とも言えなくなるので、この場合は債務不履行で損害賠償の対象となってしまいます。ここは十分に注意が必要かと思います。
ケースバイケースではありますが、どの段階で契約が成立するのかについては注意が必要です。「これでどうですか?」といった何かしらの申込があり、「OKです」と言われた時点で契約は成立してしまうということは覚えておいていただければと思います。
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