雪の作り方

 暑くなってきました。雪が恋しいです。
 雪山民にとって夏は耐え忍ぶもの。SNSなどで雪の写真や動画を見ると大変に憧れます!

 って、雪ってどうやって作るんでしょ?今回はそんなお話。

天然雪

 自然に降るものなので寒くなれば!と思いますが、案外雪は降るための条件が整わないと降りません。簡単には気温と水分と風で、日本海側から湿気を持った冷たい空気が流れてくることで雪が降ります。寒いだけじゃ雪は降らないもので、GRのある野辺山もそんな地域です。
 日本は世界でも屈指の降雪条件が揃った地域で、たくさん雪が降るのは日本海があるから。そしてたとえば積雪記録でギネス記録を持つ滋賀の伊吹山は、日本海+琵琶湖のおかげで大変な降雪があったようです。

 同じ寒いでもたとえばオリンピックのあった内陸の中国などは人工雪のゲレンデが多く、天然雪はあまり降りません。そういった地域はごく少ない降雪でも解けないので、イメージ的によく降ると誤解されているようですね。意外な話で南極大陸は砂漠に分類されてますし。

人工雪(アイスクラッシャー)

 人工雪の中でもシーズンのはじめ、10月などにオープンするゲレンデの雪は実は「氷」です。機械で冷やして氷の膜を作り、それを吹き飛ばして雪に見立てています。
 この機械で冷やすというのが大変にお金がかかることで、年々アイスクラッシャーでのオープンを目指すゲレンデは減っています。が、今シーズンあの菅平が導入して10月のオープンを目指すとのこと。これはなかなか期待です。
 なおアイスクラッシャーの雪は普通と違うので、こだわる方は「ワックス」も変わります。気温が高いからと0度前後の温度帯用の柔らかいワックスよりも、キンキンに冷えたときに使う-10度以下のようなワックスをベースに入れて、必要に応じてトップワックスをキメると滑走性がいい感じに持ちますよ。

人工雪(スノーマシン)

 寒くなってから使われるのがスノーマシン。よく巨大な扇風機のような機械から轟々と雪が飛ばされ作られているのは見たことがある方も多いはず。雪があまり降らない地域では大活躍で、その雪のほとんどをスノーマシンに頼るゲレンデも少なくありません。
 意外な話、スノーマシンは「断熱膨張」という原理を用いたもので、原理は雲ができる原理に似ています。高圧の水を噴き出しているところがミソで、霧吹きなどでただ水を寒い空気中に撒き散らしても雪にならないのは、この原理が作用していないからです。その噴き出して出来た雪を多量に遠くに飛ばすための装置があのでっかいファンで、その機会に大量の水を送り出すためのポンプ、凍らない貯水設備なども必要になります。

 またガンとも呼ばれる扇風機のないタイプのスノーマシンもあります。見た目にはスプリンクラーみたいなのが先っちょについてるあの棒みたいな設備です。一台あたりあまり多量に雪が作れませんが低コストで多数設置が可能で、メインコースに常設して常に雪を確保するなどのことが可能です。性能も一昔前の降雪ガンと違い、今最新の降雪ガンは大きな移動などできないものの、精密なコンピューター制御で制御室から綿密に降雪することができます。結構ハイテクなんですよ。

人工雪(屋内ゲレンデ)

 この雪は一般ではあまり見かけない雪で、屋内ゲレンデなどで使用されます。実は雪ではなく、さらに言えば水でもない「高分子ポリマー」を凍結させて粉状ににして利用します。高分子ポリマーは類似品は赤ちゃんの紙おむつの吸収体で、同じ原理で水をしっかり吸収させて凍らせると雪に似たものができ、それを施設内で解けないように利用すると雪の滑りに似たものができるそうです。あまりに規模の大きな設備ではランニングコストがかかるので日本では小規模な施設にとどまりますが、海外ではすごい施設もあるみたいですよ。

 このように「雪の作り方」を解説してみました。ほんのちょっぴりでも涼しくなりましたか?


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