開発裏話:Ifwish(イフウィッシュ)

 明日は鹿島槍の試乗会!いよいよニューモデルがお披露目になります。
ニューモデルの概要は

こちらをご覧くださいね。

脅威の完成度の90cmスキーボード

 GRの事業を始めるにあたって、OEM先からスキーボードの金型をお借りしての作成をすることになりました。その金型は古く、とりあえず試してみようと言うことで試作してみました。
 乗った第一印象は・・・惜しい。長さの割に板は滑走性があるけどエッジが強くて一般の人には持て余すだろうな?安定感があまり感じられないし、この金型を商品に仕上げるのは難しいか・・・。
 そう感じたのがファーストインプレッションでした。しかしとりあえずと思いつくチューンを施したところその印象はガラッと変わったのです。

SnowFairy

 なんだこれ・・・

 90cmと思えないような軽快な滑走性。動かしやすくコントロールしやすい乗り味。テール部のそりが浅い「ラウンドカット」であることの意味が伝わってきて、この板を設計した人物の想定が見えてきました。
 そうか、短いからこそ限界までエッジが使える設計にしたから、最初にアンバランスに感じた滑走性があって、エッジが強く感じたのか!
 そこからさらにチューニングを吟味し、適したセット位置を見出すとその板はGRのファーストラインナップに相応しい新しい板に生まれ変わっていました。それがSnowFairy、今でも人気のある板として、長期にわたって販売された名機の誕生の瞬間でした。

 その完成度は大変なもので、私はかつて85cmや90cmの板も乗っていましたがそのどれよりもスペックの底が深い板でした。楽に乗ってもガチに乗っても許容するそれはまさに脅威的でした。この板の設計をされた方は十年以上先を見据えて作ったのではないか?そう思うほどでした。

 実際それは試乗や実際にお買い上げされた方が経験したかと思います。乗りやすい。扱いやすい。そういった評価がこの板の価値を高めたと思います。
 そんな頃に実はジュニア専用の板の開発もしていたのですが残念ながらこれは失敗に終わり、SnowFairyをジュニア向けにも使えるようにエッジチューンのマイナーチェンジを行い、ビンディング付きモデルとして販売を継続しました。これも評判が良く、スキーボードユーザーの更なる裾野の開拓に大いに役立ちました。

難航する開発・・・

 そんなSnowFairyがあっての「次」を考えた時、できることの先がほとんどないことに困りました。ただの刷新ではGRとして納得できないのですが、かといってただ短いだけの板ではSnowFairyを好んだ皆さんが満足しない。
 SnowFairyの完成度が高すぎて何もできないのです!次が生まれないことがSnowFairyをここまで長期に販売した理由でもありましたが、次々にニューモデルを投入する中で私としては、なんとかこの板を越えるものをと考える日々が続きました。
 SnowFairyは滑るのもいいですがグラトリマシーンとしてもかなりの性能を誇ります。そしてもっとジュニアや小柄な方にも楽しいスキーボードとなると、実際手詰まりでした。
 それを打破したのは皆さんのご意見で生まれたGoodDays'85です。短くて硬いなんて他にないGD85はグラトリマシーンとして生まれ、類まれな乗り味も獲得してリリースされました。これの登場もあって「グラトリにこだわらない新しい90cm」というアイデアが生まれました。
「もし願うなら大人も子供も誰もが楽しくなれるスキーボード」、「Ifwish」という名前はそこから生まれた名前でした。

もし願うなら

 コンセプトがしっかり固まるとあとは早いもので、これまで積み重ねた設計から形は生まれました。もし願うならこの板を履いた人がニコニコするような板。もし願うならこの板が短いのに楽に乗れる。もし願うなら雪質を気にせず1日楽しめる。もし願うなら・・・

 デザインについてライダーと深く話し合い、伊藤氏にそのイメージを伝え、モチーフに空を飛べないペンギンが空を飛んだら?という所から大人も子供も、男も女も印象の良いこのデザインになりました。今回のモデルはジュニアも意識してのものなので子供が好む「光る滑走面」ということで鮮やかな黄色のソールにし、この短さで走破性とエッジコントロールを容易にするためにロッカーを構造に入れ93cmに長さは決まりました。

Ifwish。言いにくいのでペンギンと呼んで下さいね

 そうして乗った時にようやくSnowFairyを越えられたことを実感しました!太すぎないシェイプはSnowFairy譲りの扱いやすさがありつつ、ロッカーにしたことで生まれた安心感と走破性。柔らかめの板はSnowFairyよりもよりジュニアにやさしく、テストでは私を含め女性、子供、さまざまに乗って頂きましたがどれも感触は良く、小気味良い反応性、50km/h以上の速度でのカービングターンもできるあたりGRの板として文句ない性能です。こうしてIfwishはGRの新しいラインナップに加わることになりました。

いいしなり。70kgの私がカービングしてもOK!

 ちなみにIfwishなんてなんか言いにくいモデル名ですが、通称のペンギンでどうぞ読んでください。またIfwishの略称はIF、SnowFairyのSFのFを継がせたいというちょっとしたこだわりもこの名前にあったりします。

 こちらのモデルはこれまで同様にスキーボードのエントリーモデルとしての位置付けもあります。価格もSnowFairyと同価格帯になる予定で基本はビンディング付きですが変わらず4X4インサートも用意されます。
 もし願うならこれからスキーボードを楽しむ皆さんの新しい相棒になるように、そしてもし願うならこのスキーボードが皆さんの新しい世界を拓きますように。Ifwishを皆さん宜しくお願いしますね!

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