子供にちょうど良いスキーとは?

 この記事は昨日のブログの補足になります。ご覧いただいていない方は先にご覧ください!

 さて、子供用のスキーというと大まかに3つに分かれます。これらは明確に区別されていませんがここでは便宜上「キッズ」「ジュニア」「ヤング」と分けて解説します。

 「キッズ」のスキー

 年齢は未就学児から概ね10歳まで、体重30kg以下の子供が該当します。このクラスはスキー技術も未熟であることがほとんどで、脚力も運動能力も未発達なので短く手軽なスキーが適切です。
 気にするのは長さよりも形状で、あまり中心がくびれた「カービング形状」ではない板の方がお勧めです。というのもカービング形状は曲がりやすい特性がありますが、脚力のなくハの字(プルークスタンス)でいわゆるボーゲンで滑る場合、曲がりすぎる特性が板の交差になりやすく、ハの字を維持するのも場合によっては負担になります。ストレートに近い方がハの字で滑りやすく、急激に曲がることも少ないのでハの字でのブレーキ技術の習得も楽になり、結果上達が早くなります。
 これがカービング形状のきついもの、例えばひと昔前のスキーボードのようなしゃもじのような形状だと、急激に曲がりすぎてそれで転んだり、左右の板が前で重なりあおうとしすぎて交差し、転倒に繋がります。暴走したときもカービング形状だとどんな拍子に板がコントロールできなくなるかわからないので危険です。
 一般でこのクラスのスキーは値段も手頃、形状もストレートに近い形状になっています。じゃあ同じくらいの長さのスキーボードでもいいじゃん!となりますがここで問題になるのは「幅」です。

 幅のあるスキーは走破性が高くなりますが、その分操作が緩慢で難しくなります。体格比で大人と子供を比べた場合、その幅が影響する部分は予想よりも大きくて、いくらハの字で頑張っても幅のせいで制動ができなくて、ズルズルと滑ってスキーも難しくなります。そういう意味でも太いものより細いものの方がコントロールしやすくエッジが使いやすくなるので、必然的にキッズクラスのスキーは短く細く軽いものになっています。

 あえて太いものを選ぶのもアリですけどね。ある程度滑れるレベルにならないとその太さは上達の妨げにしかなりません。

 さらに問題がブーツとビンディングで、キッズクラスのブーツはそもそもサイズが無い、ということもあります。早い人だと2歳でスキーを履かせようとしますが、その年齢の子が履けるブーツはなかなか無いし、適合するビンディングも限られます。キッズのビンディングは大人用と区別されていて、似たように見えますが実は寸法などに違いがあり、転倒時の外れやすさ、解放値もアダルトではまず見ない設定値になっていて、さらにスキーが流れて行かないようにするブレーキもキッズ用はバネが軽く細いものになっています。無理すればこうしたジュニアのブーツで大人用のスキーボードも履けますが、それが正しく動作するかは別の問題になり、脚力のないキッズでは外れないビンディングがより事故や怪我の原因になることもあります。

 そもそもの部分、自分一人で履けないものは適合していません。もし一人で滑っていて外れた時、履けなかったらその子供は途方に暮れる他ない状況ですね。

「ヤング」のスキー

 便宜上「ジュニア」を飛ばして次は「ヤング」です。中高生くらい、成長期後半頃か小柄な女性などがそうですね。
 ヤングくらいになると体格も良くなり運動能力も筋力もそれなりになります。技術次第ですが大人用の用具を買い揃えても問題のないクラスになります。ヤングが使うスキーとして見ると、スキーボードは非常に勧めやすいスキーの一つになります。というのもスキーボードは成長やレベルアップによって板を買い換える必要があまりなく、買い替えのデメリットがないからです。ヤングクラスになれば体重も40kg程度以上で解放値の設定も大人のそれと同じになります。ブーツもジュニア規格でなく大人と同じものが履けるので、様々なスキーボードが選択肢に含まれるでしょう。
 事実、小柄は女性などであればこのクラスのくくりで検討して良いものになります。これはブーツ、ビンディングも同じことが言え、ブーツがアダルト規格であれば世の中の多くのビンディングは適切に調整が可能です。

「ジュニア」のスキー

 ここが最も難しいくくりで、キッズとヤングの中間、板もブーツもビンディングもジュニアかアダルトどちらかを選ばないとなりません。先にお伝えしたとおり、一部のビンディングを除いてキッズ用とアダルト、ヤング用
ブーツ、ビンディングはISOの規格からして区別されます。解放値の算出も違いがあるので、安易に選ぶと面倒なことにもなります。
 この時に先に選ぶべきは「ブーツ」で、ブーツに適合するビンディングが備わっているスキーを選ぶという流れの方が間違いが無くなります。ジュニアクラスもどちらかというと転倒時などに外れた方が安全なので固定式はもう少し成長してからにして、キッズ、ジュニアでは解放式を選ぶ方が適切です。ビンディングも体格や体重などによってゃ調整範囲外になってしまうものもあるので、それを確認して選ばないと履けないということにもなります。
 履ければジュニアクラスくらいからであればスキーボードも楽しいスキーになります。ただし本格的なモデルよりもエントリー向けの軽く楽なタイプの方が良いでしょう。GR以外だと見比べるのは難しいですが、「ジュニアブーツでも履けますか?」と訊いた時に問題ないものならばおおよそ大丈夫です。※逆にこの問いに答えられない、不明などであればそれは選ぶべきではありません。たとえば板が外れず滑落!なんて事態になればとても大きな事故になってしまいます。

 これら「キッズ」「ジュニア」「ヤング」のくくりはGR独自のものですが、買うときにお店がこれらのことを把握していない場合も少なからずあります。どのようなお店でも必ず確認して選ぶことをお勧めしますよ。

 またたまにありますが、足のサイズの都合でどうしてもジュニアのブーツを選ばざるを得ない大人もいらっしゃいます。そういう場合もお店の方と相談しながら、敢えてジュニア規格のブーツにするのも間違いではありません。それとジュニアのブーツでも競技用などでたまにブーツの企画はアダルトというのも存在します。これらはプロならば一目で判断できますが素人にはまず判りません。そういう意味でもこれらの用具の購入ではネットや中古よりも実店舗で信用できる店員さんとお子さんらと一緒に選ぶのが後も楽しくて良いと思いますよ。

 最後に補足として「昔のスキーボード、ファンスキー」について。オークションや中古ショップなどで安く買えて子供にはちょうどよく見えますが、実はビンディングの調整の都合や、そもそも固定式などは子供にとってはリスクになります。近年のものであれば想定して開発されていたり、ビンディングもアダルトとジュニアどちらの規格も対応している場合があります。また最近のブーツ規格「グリップウォーク(GripWalk)」は旧来のビンディングでは対応していない規格で、このブーツは対応する規格のビンディングでないと履けても正常に作動しません。またグリップウォークは固定式ビンディングには構造上適さないことがGRの実験で判明していますので、十分ご確認いただいてご使用下さい。※詳しくは下記の過去記事でご案内しています。


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