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業界別エリマ裏話を大公開!②~飲食店出店のカラクリを知りたい編~

こんにちは!
技研商事インターナショナル カスタマーサクセスチームです。

先日、エリマ裏話第一弾としてスーパーマーケットの
エリアマーケティングをご紹介しました。

・どうやってお店を出しているの?
・販促施策は?
・どうやってターゲットにぴったりの品ぞろえを決めているの?

…といったエリアマーケティング(通称エリマ)に関する裏話を、スーパーマーケット独自の指標を絡めながら、商圏分析GIS(地図情報システム)を開発する我々の目線で語ったのが前回の内容でした。

今回は「エリマ裏話」第2弾として、飲食店(イートインをメインとする業態)のエリアマーケティングについて、僭越ながら語らせてください!


■飲食業界のエリアマーケティングって何をするの?

前回のスーパーマーケットでは、出店・販促・店舗別の営業戦略の
3本立てでお伝えしました。

飲食業界のエリアマーケティングで肝になってくるのは
ズバリ『出店』です。

どんな人でも必ず関わりのある「食」の分野なので、どこでも必要とされる一方で、ライフスタイルの多様化によってニーズも細分化されているのが
飲食業界の特徴。

また、

  • 他業態に比べて顕著なピークタイムでどれだけの回転数を上げられるかといったシビアさ

  • 売り上げが伸びなくてもかかってくるランニングコストの大きさ

などが起因して、飲食業界では特に出店に注力する傾向があるようです。


ひとくちに「出店」とはいうものの、
特に飲食店では色々な立地パターンがあります。

  1. ・駅前出店

  2. ・ロードサイド出店

  3. ・ショッピングセンター内出店

  4. ・店舗集積エリア(商業性の高いエリア)への出店

今日はこの立地パターンに沿った形でご紹介していこうと思います。

①駅前に出店する場合

「さあ、どこかの駅前に新規出店するぞ!」とざっくり決まったとします。この『どこかの』をどう定義していくかが最初のステップになります。

できるだけお客さんを取りたいと思ったら、どんな基準で駅を
選ぶでしょうか。

当然、お店の業態によっては
「会社勤めの方が多いところ」
「お買い物をするために利用する人が多いところ」
…といった細かいターゲティングもあるかもしれませんが、
どの業態でも共通するのは「乗降客数の多いところ」になります。

「駅別乗降客数」といったデータから、まずは乗降客数の多い駅をピックアップするケースが多いです。

商圏分析GIS「MarketAnalyzer®5」上で「駅乗降客数データ」をマッピングしたイメージ。
どこの駅の乗降客数が多いのかを数値で可視化できます。

乗降客数からあたりをつけた上で、
次の指標にしやすいのが「流動人口」。
「駅のどちら側に出すのがいいのか」「どの道路の人通りが多いのか」
といったところまでデータを見ることで、より詳細な出店戦略を
実施できるようになります。

位置情報・人流分析GIS「KDDI Location Analyzer」で道路交通量を可視化したイメージ。
流動人口まで見ることでよりターゲットに向けた出店や施策が可能になります。

駅が決まったら次のステップは物件探しです。
「どんな物件を優先して探すのか」という判断基準は企業による部分では
ありますが、
・もともと飲食店が入っていた居抜物件
・新規物件
・商業施設等のテナントイン物件

といった条件で物件を探していきます。

物件が決まったらすぐ出店!…ではなく、「そこで本当に出店できるか?」といったシュミレーションをしていきます。
具体的には、想定される売上と予想されるコストから割り出していきます。

・物件の賃料
・従業員の給料
・客単価×予定席数×回転数から出す予測売上

といった内容から、そこに出店した場合本当に「勝てる」のかという
シュミレーションをしたうえで、出店の最終判断をしていきます。

②ロードサイドに出店する場合

ロードサイドの場合は、駅の乗降客数に代わる指標として、
道路の通行量を基準にする場合があります。
「道路指標データ」という、道路情報を数値指標として参照できるデータがあります。こういったデータを使うことで、交通量や渋滞状況などを
網羅的に参照することができます。

商圏分析GIS「MarketAnalyzer®5」で12時間交通量を可視化したイメージ。

通行量から「どの国道にお店を出すか」を決められたら、
具体的にその国道のどこにお店を出すのかを決めていきます。
基準の一つになるのが「従業員が確保できるかどうか」。

ここで、商圏データを使いながら居住者の特徴を見ることで、
ある程度の目星をつけることができます。

従業員となりえる層のボリュームをチェックします

ロードサイド店の場合も当然物件の確保は必要になってきます。
駅前立地と同様に、
・もともと飲食店が入っていた居抜物件
・新規物件
・商業施設等のテナントイン物件

といった条件で探すことにはなりますが、
ロードサイドの場合、出したい場所にピンポイントで居抜物件・テナントイン物件を探すのは難しい場面も多いです。
そのため、他の立地と比べると新規物件への出店が多いのも特徴です。

新規物件への出店の場合は物件建設の費用も勘案してシュミレーションを
行う必要が出てきます。

③ショッピングセンター内のテナントとして出店する場合

ショッピングセンター内のテナントとして出店する場合は、
いわゆる箱がある状態での出店になります。
そのため、1から場所を探すというよりはテナントインする商業施設を評価することにより、「次に出店するべきショッピングセンターはどこか?」という軸で探していくことになります。

ショッピングセンターの出店可否を判断する指標としては以下のような指標が使われることが多いです。

  • ショッピングセンター全体の売上

  • ショッピングセンターへの来訪者(総ボリューム、来訪者の性年代)

来訪者の総ボリュームや性年代といった属性は、一見取りにくそうに思えるかもしれませんが、人流データを使うと簡単に可視化できます。

位置情報・人流分析GIS「KDDI Location Analyzer」で商業施設を訪れた人の
人流を可視化したイメージ。
ここでは総ボリュームや性年代といった属性を可視化しています。

④店舗集積エリア(商業性の高いエリア)に出店する場合

最後に、ロードサイドよりももう少しお店が集まっているような、部分的に商業集積度合いが高くなっているエリアへの出店のケースをご案内したいと思います。(郊外に多いエリアです)

ロードサイドよりもお店が集まっている分、従業員の確保や集客のハードルが下がる一方で、「ショッピングセンター」「駅前」などの分かりやすい分類と比べて目視では目途をつけにくいので、こういったエリアを探すのが
最初のハードルになります。

その際に統計データを使って以下のような条件に
当てはまるエリアを絞り込んでいくと探しやすくなります。

  • 事業所数(オフィス街性を判断)

  • チェーン店の数(飲食店の集積度合いを判断)

商圏分析GIS「MarketAnalyzer®5」のエリア検索機能を使い、事業所数とチェーン店の数から
店舗集積エリアを検索したイメージ。(赤丸内)
駅前立地とは違う視点で商業集積度合いの高いエリアを探すことができます。

そのうえで、居抜物件にするのか、新規物件にするのかといった判断をして出店を決めていきます。まわりに飲食店がある程度あるのであれば、ロードサイトよりも居抜物件が探しやすいという一面はあります。空きが出たら不動産会社に紹介してもらうというのもひとつの手段になります。

■まとめ

今回の内容をまとめると、以下のような内容になります。

今回はイートインメインの業態での出店を軸にお話させていただきましたが、皆さんもお気づきのとおり、飲食の分野には色々な業態があります。
同じ飲食業態でも取り扱うメニュー、価格帯によってターゲットも
異なりますし、そこからイートイン、テイクアウト、宅配…と分岐して
いきます。

機会があればぜひ、飲食業態の別の内容についても
お話しできればと思います!
(気になる業態、業界があったらお気軽にコメントへお寄せいただけると励みになります!)

■ちなみに…

今回例示したデータは
MarketAnalyzer®5
KDDI Location Analyzer
で取得することができます!
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。