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第3回藤森メソッド実践研究大会IN長崎報告

2月3、4日に第3回藤森メソッド全国実践研究大会in長崎が開催されました。
500名近い方が参加される盛大な実践発表会になりました。
長崎では、藤森メソッド・見守る保育の実践園が多く、その熱気の凄さは以前から有名でしたが、今回もその熱気を感じ、改めてこの保育を皆さんと高めていく喜びと刺激をいただいた時間になりました。
簡単にではありますが、大会の様子を報告させていただきます。

西村先生

◯西村先生の挨拶
まずは、長崎県見守る保育研究会の会長西村先生より挨拶がありました。
熱波師という人がいる。長崎の見守る保育の熱波を感じてくださいという言葉がありました。
この言葉は今大会のキーワードにもなりました。

○藤森先生による基調講演

藤森先生


名古屋市の教育委員会の職員さんがイエナプランを学ぶためにオランダに派遣されたという話から、小学校でも個別最適な学び、協働的学びの実践の導入の動きがある話が展開されました。
しかし、藤森先生の考える保育は以前から、
子どもの興味関心に合わせて個別に対応する保育であり、個のニーズに沿って対応する保育であり、子どもの行動、表情を観察し、その子の興味関心を引き出し、遊びを提案する保育の必要性を説かれていたました。
これはまさに、個別最適な学びであります。

また話は、子ども同士の関わりについて展開していきました。
改めて、藤森先生は、乳幼児期からの子ども同士の関わりがいかに重要であるかを説かれました。だれでも通園制度も、親のためだけではなく、小さい頃から子ども同士の関わりが重要で、それを体験させるという目的であってほしいと。
アタッチメントについても、大人対子どもではなく、現場を見ていると異年齢の子どもたち同士で、成立している。人類はかつての共同保育の中で、その関係を構築していたのではないかと。
まさにこれは協働的学びであり、これもまた藤森先生が以前からずっと提案されていたことですね。
個別最適な学びと協働的な学びはまさに、見守る保育・藤森メソッドの実践であるということがわかります。

そして、藤森先生は続けます。
「なぜ主体的が必要なのか、それは人生を主体的に歩んで欲しいから」
「トラブルは自分と違う考えの人がいることを知るきっかけになる。大人が介入してしまうと、大人の価値観に誘導されてしまう」
簡単なまとめではありますが、改めて、私たちが向かう先を明確にしていただいた基調講演になりました。


○記念公演は吉田俊道氏

吉田先生

吉田俊道氏のプロフィール
1959 年長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後 長崎県の農業改良普及員に。96 年、県庁を辞め、有機農家とし て新規参入。99 年、「大地といのちの会」を結成し全国に菌ち ゃん野菜作りと元気人間づくりを普及。講演回数は 3000 回を 超える。2007 年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞 2009 年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表 彰)。長崎県環境アドバイザー。映画「いただきます?ここは発 酵の楽園」に出演。主な著書は『生ごみ先生の元気野菜作り超 入門』『菌ちゃん野菜作り&元気人間づくり』『お野菜さんあり がとう~子どもと一緒に菌ちゃん野菜作り』『菌ちゃん農法』


吉田先生は、畑の土を落ち葉を使用し、菌糸を育てることで、人の体にいい野菜を作ることを実践されています。
講演の内容も、吉田先生の楽しい雰囲気に引き込まれながらも、その裏に膨大な理論が構築されていることを感じる内容でした。
内容は正直、まとめられる自信がないので、私の感想と印象に残った言葉で紹介いたします。
全体の話の中で、野菜は人の体の一部になっている。食べ物が体を作っているというお話がありました。これは、東京大学名誉教授で解剖学者である養老孟司先生もこんな言葉で同じようなことを言われています。


「田んぼもじぶん。自然もじぶん」
人間は、お米を食べている。食べ物を食べないと成り立たない。食べ物は自分を構成する一部になっている。ということは、田んぼと自分の境はあるのだろうか。大きな視点で見れば、田んぼも自分であり、自然も自分であると。だからこそ、自然を大切にすることは自分を大切にすることにつながる。そんなことを言われています。


このことが書かれた絵本も発売されています。
私は発売日当日に手に入れました。少し話が逸れてしました!
吉田先生の話からもこのような感覚でいることの重要性を感じました。
特に印象に残ったのは野菜の皮には栄養がたくさんあるということや、
ご飯を水で流し込むように食べるのではなく、唾液を一緒に食べることで、毒素を分解することができるということでした。



◯懇親会
夜はとっても楽しい懇親会が行われました。
オープニングでは、変面の演舞が行われました。


変面の様子

躍動感のある音楽と踊り、変面役者の方の演舞の力強さに参加者の方は引き込まれていました。
また、長崎名物争奪のご当地クイズ大会も大いに盛り上がりました。
形上保育園の田崎先生の司会、そして、みのりこども園の西村宗玲先生のサポートの元、とても楽しい懇親会となりました。



2日目は実践発表


2日目の参加者は500名


◯実践発表

2日目は実践発表ということで、7つの園さんから発表がありました。


小鳩こども園さん(長崎県)

環境セミナーから参画の重要性を知り、自分たちの活動が藤森先生の言う、「操り参画」「お飾り参画」になっていないかを皆さんで考え、整理されたそうです。
その結果、子ども主体の意見表明のためにこばと会議を取り入れ、発表されていました。



ゆりかご保育園(長崎県)

地域的に子どもの数がどんどん減ってきている。
園児もかなり少なくなってきて、地域も超少子高齢化という状況になっている。
そんな中ではあるが、子どもの人数が少ないからこそ、見えてきた異年齢保育のメリット、課題を紹介していただきました。


里山子ども園わたぼうし(島根県)

森のようちえんと見守る保育の融合を目的に保育をしている。園がある地域が自然豊かなので、その地域を利用して保育を行っている。
地域全体が園舎であるという感覚。
森の中でカレークッキングも行っている。
森で行うことで、整えられた場所ではないので、どう対応したらいいのか考えるきっかけになる。
森で行っているので、道具を忘れて園に取りに帰れないので、あるもので工夫をする。
トラブルを楽しむ姿勢を大切にしているというお話がありました。


新明保育園(熊本県)

参画する保育を大切にしている。月間の予定に、子どもたちがやりたいことを自分たちで決める日と誕生日の子がやりたいことをする日がある。
ある日の子どもたちがやりたいことは、散歩、お相撲、砂場、部屋遊びを自分たちでした。
また、サンドウィッチの具材を子どもたちで決める会議がある。
お父さんたちの参画。おやじの会を作って活動していたり、サイコロをふって子育てトークをする機会を作ったりもした。
10の姿の勉強会を行っている。職員それぞれが10の姿にあった写真を撮影し、コンテストを行っている。毎回非常に盛り上がっている。


富岡保育園(岡山県)

富岡保育園は歴史的に人やものが行き交う賑やかな街であった。
かめがわさんという卒園児のおじいさんとの交流から、地域とのつながりが密になり、地域の方が園に出入りする園になる。


普照こども園(大分県)

ステージ発表(発表会)を通して、子どもの参画、対話を重視した保育を行っている。絵本を参考に、「いちにち〇〇」という活動を行っている。
さまざまな職業に実際に触れる体験、経験を通して、ステージ発表に繋げていく。
ステージに立ちたくない子への対応として、ステージに立たなくても、自分のできることで関わることを大切にしている。
BGM担当として参加したり、自分が作ったロボットとなら参加できるということだったので、一緒にステージに立った。
これからとして、香り、匂い、嗅覚に注目して環境構成をしていきたいということでした。


新宿せいが子ども園(東京都)

新宿せいが子ども園の発表としては、私から「STEM保育」について発表させてもらいました。
STEM保育は藤森メソッドという目的を達成するひとつの方法であること。
STEMで大切にしているのは、子ども同士で活動すること、アウトプットという試行錯誤がうまれる体験、環境を重視しているというお話をさせてもらいました。


◯最後は藤森先生からの講評
講評の中で、特に印象に残ったのは、
職員へ何かを提案する時、何かやって欲しいことがあると、その分やらなくてもいいことも提案するという話でした。
やることがどんどん増えていかないように、「これはしなくていいから、こっちをしてほしい」ということを大切にしているというお話でした。

この藤森先生の考え方が、現場にいると救われます。去年もやったから今年もやるというようなことを自動的に行うという文化ではないからこそ、様々なことに挑戦しやすいということを肌で感じます。去年やったから、前もやったからという文化だと、どんどんやらなければいけないことで押しつぶされてしまいますね。

◯閉会式・大会旗交換

次回、開催地は仙台になります。バンビの森こども園の壱岐先生へ大会旗が渡されました。


次回事務局の壱岐先生



◯最後に

今回の長崎大会を事務局として、西村先生、田崎先生をはじめ、長崎県見守る保育研究会の先生方が司会に、受付に、運営にと大きな力で支えてくださいました。本当にありがとうございました。
長崎の先生方のチーム力を感じる大会になりました。このチーム力、集団の力が長崎の保育を盛大に盛り上げているということを改めて感じました!
ありがとうございました!

事務局の西村先生と田崎先生

最後の最後に、参加者の方の写真をいくつかアップさせていただきます!

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