見出し画像

第3回乳幼児STEM保育研究会研修会

乳幼児STEM保育研究会の研修会が開催されました

第3回の研修会が開催されました。今回は理事である東京理科大学の川村先生のご紹介があり、東京理科大学が所有する森戸記念館(神楽坂)で研修会を開催することができました。

まさに神楽坂という小道の先にある立派な建物で研修会を行うことができ、川村先生には感謝しかありません。ありがとうございました。

記念公演は日本STEM教育学会会長の新井会長に

新井先生は、ベネッセコーポレーションで教育研究開発本部長及び教育研究開発センター(現ベネッセ教育総合研究所)長を兼務され、2018年に学術的な視点で調査研究を行い、より効果的な教育実践につなげていくための学会「日本STEM教育学会」を設立し、会長に就任されました。
新井先生の講演内容はSTEM活動を行なっていく目的を様々な視点で明確にしてくださるような学術的な内容でした。私たちが実践の中で、ただやみくもに活動するのではなく、何を目的に、何を大切に活動していかなければいけないか、そのヒントをたくさんいただきました。
いくつか、私が印象に残った言葉を紹介させていただきます。「STEMは手段である」ということ、「目的は、論理的思考や問題解決能力、創造性である」ということ。
また、個人的にとてもワクワクさせられたのが、「STEM教育の定義は定まっていない」という言葉でした。この言葉からは、STEM教育を私たちがこれからは作っていけるのではないかという可能性を感じ、嬉しくなりました。

そのほか、「個別最適な学びと協働的な学びが重要」「個人の興味関心に合わせて教育を行なっていくこと」などは、STEM教育だけではなく、保育においても重要なことですね。

また、「driving question」という言葉もとても刺激的でした。この言葉の訳として新井先生も適当な言葉がうまく見つかったいないということを仰られていましたが、意味としては「学習者の方がやりたくなるような働きかけが大切である」ということでした。これは、まさにSTEM活動で大切にしたいことです。実験の時間を設けるというある程度の設定は大人がしなければいけませんが、それを介してどう子どものやりたい気持ちを育んでいくのか、逆に参加したくないということを保証することも大切ですね。これは、藤森先生から教えてもらっている「内発的動機付け」に近いように思いました。お昼の時間に新井先生にこのことを伺ってみると、「そうだと思います」というような意見をいただき、またSTEM活動に意欲が湧いてくるようでした。
Society5.0についてのお話もありました。新井先生からは「あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが」という説明があったのですが、Society5.0に関しては、私たちは以前より藤森先生から何度もその重要については話をしてもらっていました。そのことからは、私たちが、いかに先を見据えた思考、実践のヒントを藤森先生からもらっているのだなということを改めて感じました。

午後からは定時社員総会

藤森代表理事、東京理科大学の川村先生、株式会社ジャクエツ代表取締役CEOの徳本様、HOIKU株式会社代表取締役の水野様という理事の皆様が参加し、新しく株式会社世界文化ワンダーグループ代表取締役社長の大村様を理事に選出するという運びになりました。

社員総会ではいくつかの議案を話し合ったのですが、その中の1つに正会員さんで、研修委員会、広報委員会を立ち上げることにことになりました。今後は乳幼児STEM保育研究会を会員の皆さんとも共に運営していきたいと考えております。研修委員会に熊本の幼保連携形認定こども園城山幼稚園の豊田ひかり先生、長崎のみのりこども園の西村宗怜先生が、広報員会には青山子ども園の小松崎先生が加わっていただくことになりました。今後の展開が楽しみです。

実践発表①はシンガポールのマイファーストスクールの代表 アイリーン氏

マイファーストスクールはシンガポールにおいて約170園を運営しており、かつ藤森メソッドを多くの園で導入しています。またSTEMにおいても具体的な実践を行なっているということで、その代表であるアイリーン氏に実践報告をしていただきました。

出張先の台北から重要な会議の合間を縫ってオンラインで参加していただくという刺激的な展開で、こちらもワクワクする時間になりました。

 STEM教育の充実のために、必要と思った教材は自社で製作していたり(このあたりは規模が大きな組織なので、可能ですということを言われていました)、科学の専門家に入ってもらい、職員の資質、意識の向上を図っているという発表がありました。

STEM活動を行なっていく上でも職員の科学に対するアレルギーをなくしていくということはとても重要になっていきますね。実践の内容も刺激的で真似してみたいものばかりで、とても参考になりました。このようなことを知れる機会はなかなかないので、ありがたかったです。

実践発表②は新宿せいが子ども園 


新宿せいが子ども園は森口より、藤森先生の教えからSTEM活動を実践してきたこと実践の中で大切にしている考えを発表させていただきました。これからの時代に重要になる、問題解決能力、創造性、表現力を育むために、6cの中のコラボレーションする力、失敗を恐れない力、批判的に考える力などをどのように実践しているかの紹介をしました。また実践で、特に大切にしていることは、複数で行う、子どもたち同士の試行錯誤、アウトプットすることを大切にするということで、まとめさせていただきました。

最後は川村理事、藤森代表理事より総評

川村先生からは、改めてSTEM教育の重要性の話がありました。そして、川村先生自身、実際にSTEM活動を子どもたちと行なっていることもあり、実践者としてのアドバイスもたくさんいただきました。このような実験はこうするとさらに不思議を楽しめるようになるよというアドバイスの数々にまた、明日からの実践に対する意欲が湧いてきました。

藤森先生からは創造性を高めるために必要な遊び心についての話がありました。短い時間での総評ではあったのですが、STEM活動を行うにあたり、どのような姿勢で取り組むことが大切なのかをお話ししていただきました。
実践もとても大切なのですが、それだけを見合ったり、知るだけだと手段が目的になってしまい、一体何のための活動だったのかを忘れてしまいます。このような機会があることで、藤森先生をはじめ、川村先生、新井先生から、STEM活動における大きな目的を示していただく機会に改めてなりました。そうすることで、私たちはどこに向かえばいいのかがはっきりし、そのために必要な手段はどうあるべきなのかを安心して楽しみながら実践することができるのではないでしょうか。

また、今回、司会を駒沢こだま保育園の福島園長先生にしていただきました。かつてあの大型テーマパークで多くの人を惹きつけたそのマイクパフォーマンスは健在で、研修会が引き締まっていく司会進行をしていただきました。また社会福祉法人呉竹会の職員の皆さんも受付、運営を手伝ってくださいました。本当にありがとうございました。

最後に研修に参加したさくらしんまち保育園の小嶋園長先生、杜ちゃいるど園の大竹園長先生、青山こども園の小松崎園長先生にも感想をいただきましたので、掲載させていただきます。

さくらしんまち保育園 小嶋先生
杜ちゃいるど園 大竹先生


青山こども園 小松崎先生

保育環境研究所ギビングツリー/乳幼児STEM保育研究会 事務局

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?