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「青い温度の正体が」 #マンガ読書感想文

最近読んでとんでもなくハマった漫画である。
1巻の表紙を見る限り、学園モノ・恋愛モノなんだろうなと。

かつて大流行した「君に届け」みたいな感じかな?
主人公の女の子の顔がそこまで美形に描かれていないのは
「全然かわいくないアタシにどうしてあのイケメンは良くしてくれるんだろう」
的な心理描写に説得力を持たせるためかな?

などと邪推に邪推を重ね、「しかしそれだと過去に流行した学園恋愛モノの二番煎じだし、ここまで話題にはならないよなぁ」と。
その謎に迫るべく1巻を読んでみて、気づいたら最新刊まで買ってた。
以下、30歳中年差し掛かりのオジサン的に胸がときめいた部分を書き下していこうと思う。
内容についてはネタバレめいたことも書いてあるので注意して読まれたし。

全体の感想

思春期の学生は本当に色んなことを考えて生きているんだなぁとしみじみしてしまった。
自分が高校生の頃もファッション雑誌があり、校内カーストがあり、文化祭があり、男女の惚れた腫れたがあり、男同士・女同士の友情があり、人間関係の拗れがあり…

今はスマホがもっと普及しているので連絡先の交換シーンなどは自分の学生時代とは違っているが、それでも人間関係の大枠は変わらない。

この作品内では、登場人物それぞれが「あーこういうタイプの人いるよね」とわかりやすい見た目や性格をしている。あくまで漫画故のキャラの分かりやすさのためであろうが、現実もわりとこういう感じだよなと。実際はもうちょっと複雑かもしれないけど。

女子4人の友情

おマキのカースト上位にいようとして性格悪い部分が出てしまうのも分かるし、
まこっちゃんの「陽キャ滅びろ」精神は見事に自分の心をえぐってくるし、
ゆづの「超美人ゆえの困りごと」も「(身に覚えは無いが)なるほど俺の知らない世界での苦労があるんだな」と思ったし
みつみのまっすぐさはオジサン涙無しには読めなかった。

この4人はめぐり巡ってメッチャ仲良くなるんだけど、でもそれぞれが自分の性格や考え方を曲げてまで無理して付き合っているわけではない。
きっと根っこの部分はわかり合えないところが大小あるはず。
それでもちゃんと友達になれるんだと。

↓ゆづとまこっちゃんが最初ギクシャクしていたのを見たみつみ

おマキが「とびきりの美人でも無ければ純粋でまっすぐにもなれない私を一体誰が選ぶ?」と自己嫌悪したり
まこっちゃんが「ゆづはなんだかんだ美人だし大丈夫っしょ」と軽薄な態度を取ってしまったことを悔いたり
あぁ、そこもわかるなぁって


シマスケとの恋模様

みつみと学年屈指のイケメン・シマスケとの出会いも他の人とは違っている。
いわゆる、「イケメンに出会い頭に一目惚れ」みたいはなっていない。
みつみは地方から上京してきた立場故に彼がそれほどのモテ男だとはわからず。彼の優しさに対して「東京にはこんな素敵な人がたくさんいるのかしら」なんて少しずれたことを本気で思っちゃってたくらいには。
シマスケがそういうポジションの人なんだと知るのは後になってからだし、
恋心を自覚するのは結構後になってからである。
彼の優しさとか内面的な部分に対して何度も接する中で好意を持つようになって、「好きだなぁ」と無意識に考えてしまう。

なんて素敵な恋の落ち方なんだろうなと。

「今は友達で十分だなぁ」とか考えたり、「そもそも私は彼に選ばれるんだろうか」とナイーブになっちゃったり、「この先勉強とか生徒会で忙しくしているうちに彼に恋人ができてしまったらどうしよう」と思い悩んだり
他の子がとっくに通っているであろう初恋のモヤモヤを今まさに味わっているみつみの描写は、読者としても大変にじれったい。

2年生になって、とっさのことでシマスケに恋心がバレてしまい、付き合ってみようという話になる。
でも結局上手くいかない。交際期間はとんでもなく短い。
しかし、ケンカ別れとかでもない。

色んなことに向き合って頑張ってきたみつみが涙を堪えられず、生徒会室で大泣きしてしまう。
「わかってた 全部は無理だって わかってたの」
ってナレーションが入るところは自分も顔がグチャグチャになるくらい涙出た。「辛いよなぁ、こんなに頑張ってるのになぁ」と。

でもみつみはそうやって、しんどくて辛い思いをして自分の気持ちとも向き合えたから、その後別れ話を切り出すところではむしろ清々しい顔をしていた。
シマスケが好きだという気持ちも本当だし、でも自分の人生のことも色々考えて出した結論だからだろうと思う。
その辺は引用できるコマが無いので載せないけど、見開きでみつみが「恋じゃ無くても志摩君のこと好きだなって思ったと思う」「だから友達になりたい」ってまっすぐに伝えている。

今まで外見でモテにモテまくって、それゆえに拗れたこともたくさんあったシマスケには、大層ぶっ刺さったことだろうと思う。
自分のことをそんな風に見てくれた人はみつみしかおらんだろう。

ちなみのその回の扉絵はこんな感じでした(リンク先)。
お前。ここでその花はズルい。

最後に

このマンガを読んでいると、「自分もきっと、クラスのあの人と友達になれたのかもしれない」と思うことがたくさん出てくる
自分の青春時代に対する後悔というわけじゃないけど、自分以外の立場の人はこう思っていたのかもしれないなと思いを馳せてしまう。

もう高校を卒業して干支が一周くらいしているので、今ではどちらかというとナオちゃんの視点が一番近いのかもしれない。
「誰かと本当の友達になれるチャンスなんてそうそう無いのよ」とか。
あと、「おみつのこと本当に大好きだし、誰よりも幸せになって欲しいと思ってる」とか。

みつみは最後は幸せになって欲しいなぁ…


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