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【CLE】Cal QuantrillをDFA

 お疲れ様です。いつも読んでいただきありがとうございます。Windiansです。
 オフシーズンに入り、ガーディアンズは早くも新監督就任やコーチの引き抜きChristian Bethancourtクレームと、MLB界隈に話題を振りまいて(?)おります。そんな中でルール5ドラフトが迫ってきましたが、直前での枠の整理で2年半ローテーションを守ってきたCal QuantrillをDFAとし、またしてもMLBファンを賑わせてきました。

新監督就任はこちらをどうぞ!(ダイマ)
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1. どんな投手?

 Quantrillは、平均94mph近いツーシームを主体にカッター、スプリッター、カーブ、チェンジアップを織り交ぜ、芯を外して打ち取るピッチングが持ち味の投手です。持ち球から分かる通り、三振を多く取れるわけではありません。

Baseball Savantより引用
4シームは恐らくシンカーに判定されなかったボール

 2020年のトレードデッドラインで、Mike Clevingerをメインパッケージとした6対2のトレードでパドレスから移籍してきました。移籍当初はリリーフ起用が続いていましたが、2021年途中から先発に転向し、そこから1年半ほぼ怪我なくローテーションを守ってきました。2022年には15勝を挙げ、チーム内の勝ち頭にもなりました。今シーズンも起用は先発でしたが、肩の炎症などで計3ヶ月の離脱期間があり、19先発で99.2イニングの稼働にとどまっていました。

2. DFAされた理由

 大きな理由は「パフォーマンスに来季年俸が割に合わなかった」ということです。
 今年はシーズンの半分しか稼働していませんが、それ以上に成績が悪化が印象に残る一年でした。カナダ代表としてWBCに出場していたため調整を早めていたことも理由にありそうですが、怪我で離脱するまでの投球はコントロールよくゾーン近辺に投げ込めていたボールを制御できなくなっており、四球率と被打率が悪化していました。また、スプリングトレーニングで「空振りを取るためにスプリッターを投げ始める」と述べていましたが、結果的にK/9が5.24とキャリアワーストに終わっており、やることなすこと全てが上手く行っていませんでした。

過去3年間の主な成績(画像は自作)

 Quantrillは今オフが年俸調停の2年目で、MLB Trade Rumorsの予想では、来季の年俸が$6.6Mとされていました。一応9/1に復帰してからは6先発32.2回をERA2.76、3QSと調子を取り戻したように見えましたが、たった1ヶ月の成績を頼りに来季$6.6Mも払うのは割に合わないという判断に至りました。以下は会見でのChris Antonetti最高責任者の発言になります。

Antonetti said he felt the $6.6 million Quantrill was projected to make in arbitration this offseason could be put to better use on the roster.

(筆者意訳)
Quantrillが今オフに調停で受け取ると予想される$6.6Mは、ロースター内でもっと上手く使えるように感じたとAntonetti最高責任者は語った。

Cleveland.comより引用

 そして、この判断に至るために、他にもガーディアンズ特有の悩みもあったと考えています。

2-1 最近のペイロール的にキツい

 ガーディアンズは2019年から2021年にかけて、急激にペイロールを圧縮していました。そこから$51M(2021年)、$66M(2022年)、$92M(2023年)と徐々に拡大してはいますが、依然として30球団中24,5番目を彷徨っている状況です。ここまでペイロールを拡大するという報道が出ていないので、今オフも特に変わらないでしょう。その中でQuantrillの来季の予想年俸は、José Ramírez($17M確定)、Shane Bieber($12.2M予想)、Jean Segura($8.5M確定)、Josh Naylor($7.4M予想)に次いでチーム内5番目になります。
 チームの柱であるRamírezNaylorは外せるわけがありません。Seguraは既にチームにいませんが、マーリンズ時代に結んだ契約を引き継いているため、ガーディアンズが支払うことが確定しています。Bieberは最近ずっとトレードされそうでされない状態が続いており、今オフもサラリーカットできるか不透明です。そのため、予算を少なく戦っているチームの中でQuantrillの$6.6M以上に削減できる選手がいませんでした。
 ガーディアンズ以上の予算で戦っているチームであれば、残している可能性も十分にあったでしょう。たとえ来シーズンの出来が今シーズン前半の内容に終始したとしても、「ローリスク・ローリターン」のリターンが得られなかっただけと割り切ることができます。ですが、それができないのがスモールマーケットチームというものです。

2-2 先発投手は豊富にいる

 今年のガーディアンズは、シーズン中にローテーションのメンバーが大きく変わりました。まずは開幕ローテーションのメンバーです。

開幕ローテーション
Shane Bieber→肘の炎症でシーズン後半をほぼ全休
Triston McKenzie→靭帯損傷などでほぼシーズン全休
Aaron Civale→7月末にレイズへトレード
Cal Quantrill→怪我で3ヶ月離脱
Zach Plesac→不振で4月末にDFA→傘下AAAへ

なんすかこれ

 シーズン終了時点でCivaleはもう在籍しておらず、Plesacは傘下AAAでシーズンを終えたのちFAとなりました。QuantrillがDFAで40人枠を外れると、ローテーションが3枠も空いてしまいます。しかしその穴を埋めるように、スーパールーキーたちが出てきました。

Logan Allen(4/23昇格)
24先発 125.1IP ERA3.81 119SO 44BB WHIP1.40

Tanner Bibee(4/26昇格, 新人王投票ア・リーグ2位)
25先発 142.0IP ERA2.98 141SO 45BB WHIP1.18

Gavin Williams(6/21昇格)
16先発 82.0IP ERA3.29 81SO 37BB WHIP1.26

眩しすぎる

 ガーディアンズは毎年5人ローテーションを組んでいるため、Quantrillを保持していた場合、ローテーションに残った6人のうち誰か1人を外さなければいけなくなりました。球団としては、この6人の中ではQuantrillが一番優先度の低い投手だったということなのでしょう。

3. DFA後のQuantrillの動向予想

 註:一般的なDFA後の流れはこちらを参照してください。
MLB公式Full-Count紙

 QuantrillをDFAしたガーディアンズですが、まずは7日間のウェーバー公示中にトレードを模索すると思われます。他球団に無償でクレームされる状態でもありますが、実績的にほとんどの球団で先発4~5番手の働きを期待できるので、少しでも対価をもらっておく方が得策でしょう。
 7日間で獲得する球団が現れなかった場合、QuantrillはFAを選ぶか、Plesacのように40人枠を外れてチームに残るかを選択することになります。ただ、前述の通り他球団で活躍を見込めるため、FAを選択すると思われます。$6.6Mを払うのは厳しいから、もう少し安く契約できるなら獲得したいというチームは、この段階で手を出してくるでしょう。どうしてもガーディアンズでプレーしたいというのであれば本人の意志で残ることも出来ますが、先発ローテーションにけが人が出ないと出番は回ってこないので、FAを選んだほうが双方のためになるのではないでしょうか。

4. おわりに

 残念ながらガーディアンズではこれ以上Quantrillに与える枠を用意できませんでしたが、これまで3年半チームにもたらした貢献は多大なものでした。リリーフとしてALWCヤンキース戦の逆転負けを目の当たりにした2020年。急遽竹槍ローテーションに加えられて成長を見せた2021年。BieberMcKenzieの後塵を拝するも安定した成績で優勝に貢献した2022年。不振と怪我で苦しみぬいて最後に光明を見出した2023年。特に2021年は、彼がいないとチームが終わっていた可能性すらありました。
 通常DFAされる選手と違い、Quantrillは現時点でも余裕でメジャーのローテーションを張れる選手です。なので、今後は他球団から引く手数多となるでしょう。まだチームを離れることが確定したわけではありませんが、これまでの活躍に感謝してこのnoteを締めます。熱さを秘めた男に幸あらんことを。


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