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【CLE】Stephen Vogt新監督就任

 長年率いてきたTerry Francona前監督の退任に伴い、ガーディアンズは12年ぶりに後任の監督を探すこととなりました。1ヶ月ほど各球団のコーチや監督と接触していましたが、この度遂にStephen Vogt前マリナーズコーチと合意しました。簡単ではありますが経緯を含めて紹介します。


1. 毎年のように監督交代の可能性があった

 ガーディアンズは2021年から毎年のように監督交代の可能性がありました。その理由は、Francona前監督の体調不良によるものです。
 過去4年で退場やそのペナルティでベンチに入れなかった試合を除き、全試合を指揮できたシーズンは2022年のみでした。今年も6月末に体調不良で検査入院をしています。身体にムチを打ちながら監督業務を行う姿はここ数年ずっと心配されていました。今回Francona前監督が退任した理由も体調の限界であり、この退任はある程度予想されていたことでした。
 遂にやってきてしまったXデーですが、その中でフロントの動きは非常に迅速でした。候補のピックアップから絞り込みまでを終えた状態でオフシーズンに入り、すぐに声を掛け始めました。結果的にジャイアンツには遅れを取ったものの、新監督を探していたチームの中では2番目の速さで契約を決めています。ここは非常に評価が高かったです。

2. ここ1ヶ月の流れ

 ガーディアンズフロントは当初45人の候補者をピックアップし、そこから本命候補を絞っていました。結果的にStephen Vogtと契約することになりましたが、それまでに表に出た接触を含めて紹介します。

2-1 Craig Albernaz

 10月1日のシーズン終了直後、早速ジャイアンツのCraig Albernazブルペン・キャッチングコーチに監督就任の要請をしていました。
 Albernaz氏は41歳で、2020年にジャイアンツのコーチに就任してから今年で4年目を終えました。ですので、監督経験はまだありません。この記事の続報はありませんでしたが、11年間ベテランの監督を据えていたフロントがいきなり若手のコーチに打診したことには少なからず驚きました。

 Vogt新監督に決まったことで監督就任はありませんでしたが、フィールドコーディネーターとして入閣することになりました。ガーディアンズでは特定のコーチというわけではなく、現場のあらゆるところに関わっていくようです。Vogt新監督と共にこちらも期待しましょう!


2-2 Will Venable

 Albernaz氏の記事が出てから程なく、Will Venableレンジャーズ監督補佐にも就任の話を持ちかけたという報道が出ました。
 Venable氏は、41歳でありながら既にレンジャーズで3球団目のコーチを務めています。ただ、こちらも監督経験はまだありません。2人連続で監督経験のないコーチの名前が出ましたが、それでも候補に挙げていたということは、フロントは経験豊富な人物から、経験の有無を問わず若くて将来有望な人材へと、一気に方向転換をしていくあるのではないかと思わせる動きでした。残念ながらこの打診は拒否されましたが、新たなガーディアンズへの期待感を持たせる動きでした(そもそもALCSの真っ只中に打診するかね…)


2-3 Sandy Alomar jr.

 ここまでは外部の人材に声を掛けている記事ばかりがでていましたが、内部ではSandy Alomar jr.1塁コーチに監督就任の話を持ちかけていました。監督の依頼は固辞されましたが、引き続きコーチとして組織に残ることには了承を得たようです。
 Alomar jr.コーチは長年Francona前監督と共にガーディアンズを支えていたので、内部昇格によってスムーズな引き継ぎをさせようとすることは極めて自然なことでしょう。ただ、内部昇格の芽がなくなったことで、若い監督が就任することになるのが決定的になりました。


2-4 Stephen Vogt

 Stephen Vogt前マリナーズ・ブルペンコーチと話し合いの場を持ったという報道が出たのは、直上の記事が出た日と同じでした。ですが、これまでに名前が出ていた人と違ったのは、2度目の話し合いを受けてくれたことです。
 これまでに上記の人たち以外にも何人か打診をしていましたが、これまでは一度話を聞いて拒否するか、そもそも話を聞くこともありませんでした。フロントとしては彼の人柄やコミュニケーション能力に惚れ込んだとのことですが、本人も前向きに捉えているということは、新監督が決まる大きな一歩となりました。更にこの報道が出た2日後、ガーディアンズと共に監督候補のチームとして度々挙がっていたジャイアンツが、Bob Melvin前パドレス監督を新監督として招聘しました。これにより対抗馬がいなくなり、いよいよVogt新監督就任の機運が高まってきました。


3. Vogt新監督に期待すること

 Vogt新監督は一昨年まで現役のメジャーリーガーであり、指導者の立場の経験はまだ1年しかありません。もちろん監督経験もありません。それでも新監督として招聘した理由を、編成部最高責任者のChris AntonettiとGMのMike Chernoffはこのように語っています。

He sees the game really well and I think he's equipped to manage games, (中略) He has the leadership skills that he’s been building throughout his career, whether managing or with players to do really well.
 
(筆者意訳)
彼には試合がよく見えていて、試合を操縦する準備ができていると思う。(中略) 彼は管理するにしろ選手たちと上手くやっていくにしろ、キャリアを通して培ってきたリーダーシップ能力がある。

MLB.COMのMandy Bell記者の記事より引用

 また、情報筋からこのような話も出ていました。

Francona, Chris Antonetti and Mike Chernoff formed a close partnership during Francona’s 11 years as Cleveland’s manager. (中略) So when they set out in September to find Francona’s replacement, they sought someone who could collaborate, someone who could connect with people from various walks of life and history within the sport and someone who could keep things light when necessary.
 
(筆者意訳)
前監督とフロントは、Franconaがガーディアンズの監督を務めた11年間で緊密な関係性を作った。(中略) 9月にFrancona前監督の後任を探し始めたとき、彼ら(フロント)は緊密な関係を築けて、スポーツ界で様々な人生や歴史を持つ人たちとつながりを持てて、必要なときに物事を明るくし続けられる人を探した。

The AthleticのZack Maisel記者の記事より引用

 このコメントを見るに、Vogt新監督はフロントにとっては願ってもない人材だったでしょう。太字にした部分はフロントが最も重要視していた部分で、Francona前監督との関係を強固なものにしたことがガーディアンズを競合球団に押し上げた要因と彼らは考えています。現役時代からコミュニケーション能力に長け、選手たちをまとめることができたVogt新監督なので、まずは今までやっていたことをそのまま実践してもらいたいところです。成功体験を持つフロントがバックにいるわけですから、関係性さえうまく築ければ、監督業務で難しい場面が来ても良いアシストをしてくれるはずです。
 采配の面では、まずは実践経験を積んで勉強するところからになります。なにせ監督経験がまだないわけですから。現役時代の特徴から監督としてのタイプはFrancona前監督と似てきそうですが、Vogt新監督は就任会見にて「Francona前監督のスタイルをマネするわけではない」と語っていました。スプリングトレーニングから色々試しつつ、徐々に自分の色を出せれば十分です。若い選手たちと共に成長することに期待しています。

4. 終わりに

 現役時代にはファンからも愛されたVogt新監督。最後は彼に送られたこのチャントで締めましょう。

I Believe In Stephen Vogt!


詳しく知りたい方はこちらもどうぞ

↑現役時代の勤勉さが垣間見られます(有料記事)

↑いつも良質な記事を提供してくれるRyan Lewis記者の記事


サムネイルはX(旧Twitter)のガーディアンズ公式より引用

https://twitter.com/CleGuardians/status/1723050463166124490?t=faCiN0Y-Dej9rEW6glR6rw&s=19

商用的意図は一切ございません。

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