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急がば回れ

将棋ウォーズの3分切れ負けで昇段し、ようやく段位を三段に揃えることができた。
この3切れというのはじつに不思議というか奥深いものだなぁと感じた数か月間であった。

この3切れの怖い部分は、短時間でサクサク指せるがゆえに対局が止まらなくなることである。
まぁ勝敗関係なく楽しむだけなら何の問題もない。
しかし、段位を上げる、すなわち達成率を上げるにあたっては当然勝ち数を増やしていく必要があるわけで、将棋の内容を良いものにしなければならない。

私は3切れに没頭したこの期間の大半は、とにかく昇段したい気持ちが強くとにかく対局数をこなしていた。
それで勝ちが集まると一気に達成率が上がることもあった。
時間があって対局数が多いときは一日の間に4,50%上がれたときもある。
ところが、である。
目標の100%に近づくにつれて負けが込み始めるのである。
これだけ聞くとよくある話だと思われるかもしれない。

自分の内部レートが上がれば、マッチングされる対戦相手のレベルも上がるので、当然勝率も下がることは考えられる。
また、目標達成が近づけばそれだけ焦りも生まれる、これも普通の感覚で考えられることだ。
だが、負けが多くなる理由はそれだけではないことに気がついた。
これもまた当たり前なはずなのになかなか気がつけないことである。

指しすぎ、だ。
単純な話だ。
要は3切れは超短時間勝負とはいえ盤面上の思考を繰り返すわけだから局数が増えれば当然脳は疲れてくる。
つまり知らず知らずのうちに将棋の質が落ち、負けやすくなっている。
にもかかわらず、調子が悪くなってきたと錯覚し、「さっきまでの達成率を取り戻さねば」というように奮起して無理やり指し続けるのである。

...やがて本末転倒を迎えることとなる。


そこで達成率6,70%ほどになったあたりで指し方を変えた。
一日に上げる達成率の上限を設け、5%上がたらその日は終わる、というルールにした。
そうしたら着実に上がるようになったのだ。
この5%上げるというのは、大抵の場合2連勝でもすれば一発でクリアである。
たとえ1敗したとしても3勝すればよい。
健全な脳の状態のうちであればこの条件は正直難しくないと思った。
順調に5%ずつ上げることができ、その後1週間足らずで無事100%に達し昇段となった。

将棋ウォーズで昇段を狙うにあたって、実力的に明らかに及ばない場合は自身の棋力向上に努めるよりないだろう。
しかし頑張ればいけそうというような手応えがある場合は、今回紹介した一日の上限を決めるやり方がおすすめである。
一気に上げていこうとするのではなく、一歩ずつ着実に、これが大事である。

相手に勝つだけではない、無理に突っ走ろうとする自分にも勝たなければならないのだ。

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