24.01.14 コンサート曲目解説 Suite Spagnola / C. Mandonico

2024年1月14日 アンサンブル「PentaTonika」第1回演奏会のために、noteで随時プログラムノートを公開していきます。


Suite Spagnola, Claudio Mandonico (1957- )

クラウディオ・マンドニコはイタリアの作曲家、指揮者。
彼は1957年、ブレーシア(Brescia)のナーベ(Nave)に生まれる。ブレーシア青年音楽学校(Brescian Youth Centre of Music Education)にてサクソフォン、ピアノ、コントラバスを学んだ後、ブレーシア音楽院にて、作曲をジャンカルロ・ファッキネッティ(Giancarlo Facchinetti)に師事。また、作曲以外にも、ジャズバンド、古楽合奏団、マンドリンオーケストラでの演奏活動も積極的に行っており、近年では、教育活動にも力を入れている。

彼は様々な編成で作品を残しているが、とりわけマンドリンオーケストラのための作品は有名である。代表曲としては、本曲とミュージック・フォー・プレイ、チェチリアーナなどが挙げられる。
彼の作風は、ジャズや現代的な要素が取り入れられながらも、明るく明快な音楽が多いことが特徴である。今日、日本のマンドリンオーケストラ界では、現代の外国人作曲家の書いたオリジナル作品を演奏することは少ないが、その中で彼の作品は群を抜いて演奏機会が多い。おそらく上記の点が、彼の作品が日本のマンドリンオーケストラ界に広く受け入れられる要因となったのではないかと思われる。

今回演奏するスペイン組曲も、例に漏れず明るく明朗な曲調である。
3つの楽章からなり、それぞれ副題が付いている。
Ⅰ. Canta Galo, Vien o Dia 雄鶏は鳴き、日は昇る
Ⅱ. Habanera ハバネラ
Ⅲ. Pelota ペロータ
テンポの設定も急-緩-急となっており単純明快であるが、シンプルな中に彼のマンドリン哲学・エッセンスが散りばめられており面白い。

Ⅰ. Canta Galo, Vien o Dia 雄鶏は鳴き、日は昇る

マンドラの即興的なフレーズから始まり、オスティナート的な伴奏に支えられながら軽快なメロディがマンドリンによって奏でられる。夜明けというよりかはせわしない朝の風景を描いた作品である。根幹となる和声は非常に単純ではあるが、テンションが効果的に用いられており、瞬間的な響きの変化が面白い。

Ⅱ. Habanera ハバネラ

ハバネラは19世紀前半キューバの首都ハバナを中心にはじまった。ゆるやかな二拍子のリズムが特色。スペインを経てヨーロッパ各地に伝わった。
この楽章では、ジャズの要素を取り入れたパラレルな和声が特徴のイントロから始まり、ギターと低音楽器の奏でるハバネラのリズムの中で、マンドラ、2ndマンドリン、1stマンドリンの順で自由な旋律が歌われる。間に挟まれる3連符のリズムと9度を効果的に使った和声の色彩により、心地よい独特の浮遊感を作り出している。

Ⅲ. Pelota ペロータ

ペロータ、または、バスク・ペロタは、壁に向かってボールを打ち合う競技のことである。
1stマンドリンと2ndマンドリンから始まる、各パート間の掛け合い (応答) はまさにペロータの競技を見ているようである。単純な構成だが、各所にヘミオラ、ポリリズムが効果的に配置され、聴き手・演奏者を飽きさせない巧妙さがある。


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