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「仕事」という概念が崩壊する兆しについての話


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目次
①「ビジネス」と「シェアする」
②参入障壁の超インフレ
③ヘビーパッケージからライトパッケージへ
④じゃあどうするの?
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なんか暗いタイトルですみません。

でも別に暗い話をしたいとか、そういうわけじゃないんです。
価値観が有史に例がない異常なスピードで変わっていく時代ですから、今の仕事が20年後も変わらず存在する前提の人生設計は危険だからよしたほうがいいし、全体重を今の仕事に預けるのではなく、ちょっとは分散させたほうがいいし。
また、今現在働いていない皆さんも、将来に絶望などせず、悲観的にならず、このまま生温く生きていけば、いずれなんというか「許される」ようになるし、また起死回生のチャンスなんかこの先に山ほど転がってるよ、ということが言いたいんです。

●①「ビジネス」と「シェアする」
「タダで人に与えちゃったら成立しないもの」を総称して仕事と呼びますよね。仕事というか、この場合「ビジネス」ですが。
財産や価値を隠して占有して、「欲しい」と手を挙げた人にだけ条件付きで与える(=交換する)。
それがビジネスの成立条件なわけですが、ここへ来て、

「シェアする」

なんていう、ビジネスと真っ向対立する価値観が野に放たれてしまいました。
そして知らず知らずのうちにみんなそれに慣れました。
そのときもう、ビジネスは終わりに向かわざるを得ませんでした。
たぶん共存はできません。
「シェアする」のが当たり前の世界観の中では、「シェアし合う」こと自体が「交換」になるため、ビジネスしようとしてシェアせずにいると、

「なんでこっちはシェアしてるのにしてくれないの?」
「なんで財産や価値を独占するの?」
「なんでお金取るの?」

というふうに、理解を得ることが難しいのです。
そしてその価値観は、現在進行形で世界に広がっています。
もうそろそろ、SNSネイティブの若い子たちはこう思うはず。

「その医療技術をみんなでシェアしないのはなんで??」

さてなんて答えればいいんでしょう。
どう答えても正義にはならなそうです。
「最終的にはシェアできるように、みんなで努力をしている最中だ」
ぐらいしか、言いようがありません。

●②参入障壁の超インフレ
おそらくどの業界のどんな分野だってそうだと思うんですが、僕が見てきた文筆業(ライター)と農業の世界では、新たに参入しようとしたとき、そのハードルの高さと言いますか、「生き残りの難度」が格段に高騰しています。生き残る人間の割合が悲しいくらい減ってるんです。
業務内容が過酷になったから?
既存の人たちが出ていかないせいで席や枠の食い合いになっているから?
それもあるでしょうが、それ以上に、

「ガチさについていけないから」

ってことだと思うんですよね。
現在、現役の方々は、それこそ血の汗を流しながら、ガチで仕事と向き合ってらっしゃいます。
かたや、それを目にした新規参入の僕たちは、

「ガチすぎて引いてしまう」。

たぶん我々の価値観の中から、「ガチさに耐える必然性」とか「ガチであるメリット」とかが少しずつ抜けていってるんでしょう。
そんなわけで、次世代の人間たちは、じゃあどうしたかというと、

「プロではなく、アマチュアとしてやっていく」

という方策を採りました。
ガチでやらずに、いろんな仕事の浅い部分だけを、ちょっとずつ齧って生きていくのだと。
そのせいで、どの業界も後継者が育ちません。
先細りは必至です。

●③ヘビーパッケージからライトパッケージへ
と、人びとのニーズが変わってきました。
どういうことかというと、

「気軽に始められるもの」
「軽いノリで使えるもの」
「合わなかったらすぐに返品できるもの」

が好まれ、逆に「重い」ものは好まれません。
野菜にしろ、大きくて重いものは売れません。レタスも丸ごと一個置いてたって「そんなに食べきれないから」と遠慮され、半分、そのまた半分と、小さいパッケージのほうが好まれるようになりました。
地方への移住にしても、本当のニーズは

「試しに一ヶ月だけ住んでみたい」
「イヤになったらまた都会へ戻りたい」

のであって、一生地方へ住み続けたい「ガチな人」はそうそういないのです。
働き方も、終身雇用みたいな重いものから、フリーランスみたいな軽いものへ。
「軽いノリで参加したい」、「ちょっとだけ手をつけてみたい」。
健康食品もソシャゲも化粧品もみんな、最初はすべて「無料お試し」です。
今、「重い」ものは売れないんです。
もちろん、こんな「重い話」も読まれません(笑) 新商品のお菓子ウメーみたいな「軽い話」のほうがウケますよね。。

そうやって世間の価値観が全体的にライトパッケージに移行しているのに、「仕事」「学校」「結婚」「政治」などの旧システムがいつまでもヘビーパッケージを貫こうとするから、その段差にけつまづいて怪我人が続出しているわけです。
「無料お試しセットを、ちょこっと使ってみて、肌に合わなかったら返したい」っていう価値観と「一生使いつづけなければならないし、またそうしなければ損をし社会全体が不利益を被る」っていうシステムがどう考えても噛み合ってない。
だから、みんな苦しいし生傷が絶えないのは社会のせいであることが明白なので、思いっきり社会のせいにしていいと思います。

●④じゃあどうするの?
ヘビーパッケージには今後、これ以上フォロワーが増えません。
だから、ほうっておいてもそのうち自然に消えてしまうんですが、かといって怪我人をこのまま黙って見過ごすのもどうかと思うのです。といって、自分にすぐに何ができるわけでもないので、個人的には、

「働かない」「学校行かない」「結婚しない」「お金使わない」

こういった価値観を、この世界の片隅からひっそり支援して、それらがちょっとでもライトパッケージに移行してくれるよう、祈っていたいと思います。

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