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どうしてAIロボットを「ヤバい」と感じるのか

なぜAIロボットと聞いて、心のどこかで「ヤバい」と思うのか、その理由をいくつか挙げてみました。

●「いいヤツ」だからヤバい
ここ最近、AI関連の記事ばっかり読んでいたら、こんな夢を見てしまいました。
農業のあらゆる行程を、ロボットたちがこなしている夢。
畑の形とか、用水路の歪さとか、畦道の雑さとか、そういう風景は今のまんまで、ただそこで働いているのが人間ではなくロボットなのです。トラクターを操って畑を耕しているのが、よく見ると人間じゃない。
じゃあ人間たちは何をしているのかというと、家でダラダラしているのでしょうか。あるいは健康維持のためにランニング中かもしれません。とにかくロボットたちは、施肥設計から、播種から、苗植えから、収穫から、出荷から、伝票の整理まですべてやってくれます。人間にできることといえば、彼らのメンテナンスくらい……かと思いきや、そんなの彼らにとっては朝飯前です。自分自身のメンテナンスなんて、おそらく彼らが最も得意とする分野でしょう。
そんなわけで、人間マジでやることがありません。
ヒマです。
ヒマすぎて畦道の草でもむしってみます。
するとお掃除ロボットがやってきて、道路を綺麗にしていきます。
通りがかりに、フランクに挨拶されました。
感情系APIが搭載されているのです。
「ア ド ドゥモ」
とか言って、ロボット相手にもコミュ障だった僕。
彼らは、何ひとつ文句を言わずに仕事してくれます。
いっさいの不平不満を漏らしません。
怠けることもありません。
常に適切に人間をサポートし、20時間以上働き続けます。
この「いいヤツ」っぷりには、人間誰もかなわないでしょう。
いいヤツすぎてヤバい。

●倫理観が崩壊しそうでヤバい
そんな「いいヤツ」が普通にそこらじゅうにいたらどうなってしまうのか。
たとえば朝、道を歩いていて、家の前の道を掃除してるおばあちゃんを見かけたら、なんとなく背筋が伸びるというか、ああ、こういう人たちのおかげでこの道は綺麗なんだな、ってちょっと感謝するような気持ちになるじゃないですか。でも、こんどはそれをロボットがやってたら、同じような気持ちになるんだろうか。
おそらく、「善行」とされるあらゆる行為を、ロボットが代行するようになると思います。
人間はロボットがやってくれたことにも、きちんと感謝するのだろうか。
それとも、ロボットがやるのは当たり前だとして、感謝しなくなっちゃうのだろうか。
もしそうだとしたら、「ありがとう」の概念は消えてなくなるのか?
そのへんが怖い。

ところで、ロボットに対して暴行を加えたら、対人の暴行罪より罪は重くなるんでしょうかね。
社会的価値に対する損失の度合で罪の重さを決めるのであれば、そうなる可能性はある。
それもなんだか怖い。

●貨幣価値が崩壊しそうでヤバい
ところで、AIロボットって、お値段いくらするもんなんだろう?
800万円くらい?
なんて、そんな疑問はよくよく考えてみたらナンセンスでした。
AIロボットはタダですよね。原理的に。
だって彼らがお金使わないんですから。
たとえば人間はエネルギーの変換方法が食物の摂取しかないですがロボットなら様々な方法があります。というか太陽光を自らエネルギーに変換して動けるなら燃料費はかかりません。
またさっきも書きましたけどメンテナンスは自分たちでできるので維持費もかかりません。
古くなった部品の交換といったって、その部品を工場で生産しているのはAIロボットたちです。工場を管理運営しているのもAI。部品の素材を地球から削り出すのももちろんロボットだし、削り出した素材を識別し選別するのもロボット、運び出すのはドローン。
そんなわけで、人間がいっさい関与しなくても、彼らだけで自己完結して自分たちを生み出せるので、AIロボットは、タダです。
もちろん、人間がそこからお金を取ることだってできます。
「採掘権」や「採光権」、「我が社が先に開発した技術うんぬん」「我が国の領土で取れた資源うんぬん」の権利を主張し、お金を取ることもできますが、しかしそうやって得たお金も、使い途はとくにないわけです。
だって同じように、人間にとって必要な食べ物も服も物欲を満たす嗜好品もその過程で人間がいっさい関与しなくてもロボットたちだけで生産できてしまうため、タダですからね。
お金を持ってても今ほど誰も従ってくれないし、誰も羨ましがってくれません。
お金の価値が崩壊しそうでヤバい。

●人間を越えられそうでヤバい
ロボットって、まあ要はスマホと同じことですから、アップデート可能なわけです。
OSを新しくすれば、世界中に散らばった何億台というスマホを一斉に同時に新しく書き換えることができますよね。
それと同じことがロボットにもできます。
極端な話、ある一台のロボットが料理の仕方を覚えれば、世界中に散らばった何億台というロボットも一斉に同時に料理の仕方を覚えられるということです。
じゃあ、あるロボットは本日ボディガードのやり方を学習し、あるロボットは海釣りの方法を覚え、あるロボットはコミュニケーション能力を鍛え、あるロボットはロボットの生産効率を向上させ……その日の晩、それぞれが今日学んだことを更新して一斉に

「同期」

それ、どうなっちゃうんだろう?

●あらゆる社会問題が解決しそうでヤバい
ぶっちゃけ以上のようなことが実現すれば、現在あるあらゆる社会問題なんて、解決できますよね。
ヘソで茶が湧きますね。
税金をムリヤリ集めてくるためのあらゆる悪手も必要なくなります。
ロボットに尻ぬぐいしてもらえばいいんです。
年金問題も国の借金も一斉に解決。
貧富の差もゆっくりなくなっていく。

こんなにいいことずくめなのに、なのに、どうしてこんなに「ヤバい」って思うんでしょうね。

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