海

連載『オスカルな女たち』

《 孤独な闘い 》・・・17

「浮気でもされた?」
「そりゃ、しょっちゅう」
「帰ってこないとか」
「それも、しょっちゅう」
「金遣いがあらい…」
「そうね、一部をとっては…」
 人が良すぎる祐介は、自分が捕まえた悪党にていよく騙され、よく返ってこないお金を貸していたことを思い出す。
(なんだか腹が立ってきた…)
「思い出したくない」
 真実(まこと)がそう言っても、
「大酒のみ…酒乱?」
 弥生子(やえこ)は質問を辞めようとしない。
「それはあたしだ。やつは下戸」
「子どもを顧みない」
「…そう、でもない…かな…?」
 子煩悩と言えるかどうかは解らないが、とりあえず子どものことは考えているようだ。とは、ここ数か月の佑介の行動からも見て取れる。
「歯切れが悪いわね」
「だって、一緒にいないから。それでも会いたがるし、特に問題ないかと」
「ふーん。嫌いになった理由は?」
「特にない。いや、最初から…か」
「話にならないわね」
「いや、待て。浮気してるじゃン」
 おかしいだろう…と真実は言葉を遮る。
「浮気でしょ? その程度が打撃とは思えないわ」
(まぁ、確かに)
「だから、よ」
「なにが、よ」
「真実(まこと)さんに、別れる理由が見つからない」
「あ…」
 痛いところを突かれた。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです