花茶

連載『オスカルな女たち』

《 ブレインストーム 》・・・2

「お出かけの予定などはないのかしら?」
「あら、玲(あきら)さんと今こうしているじゃないですか」
(それは予定とは言わないわね…)
 空気が読めないわけでもないのにしらを切る明日香は、玲の顔も見ずに続ける。
「平日ですし、子どもたちも学校…」
「もう、そんな理屈は通じなくてよ」
 少し語気を荒げる玲。
「理屈?…そんなつもりありませんのに」
 静かに受け答えする明日香だが、かすかに口元がひくついているのを見逃さない玲は、
(いつまでその冷静さを保っていられるかしらね…)
 小さく溜息をつき、話を続けた。
「そこに私の予定は加味されていないのかしら…」
「あら、ご予定がおありならどうぞ遠慮なさらずに…わたくしは」
 言いながらティーカップをテーブルに置く明日香。
「…誤魔化さないでよ」
 半月以上になる明日香の滞在に、ほとほとうんざりしている玲は「今日は遠慮しない」と目を細めて見据える。
「誤魔化す? 私そんなつもりは…」
「明日香さん。お兄様、呼んだわよ」
「え…。え? なんてことなさるの玲さん、まだ心の準備が…!」
 たちまち明日香の顔色が変わる。
(ほらね…)
 なにも考えてやしないじゃない…とそう嗜めて、
「あなたの心の準備が整うまで待っていたら、いつまで経っても帰らないでしょう?」

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