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連載『オスカルな女たち』

《 母か、女か、》・・・3


 どうやらベッドに寝かされているらしいことを知る。
「あ…あたし…」
「どした? どっか痛い?」
 真実が顔を覗き込む。
「ここ、は…」
「うちの病院だよ。玄関先で気絶したから、空いてる病室に運んだ」
 言われて見慣れない天井に納得する織瀬(おりせ)。
「そう…」
(そうだ…真実に話を聞いてもらおうと…)
「つかさにも来てもらったんだ…」
 織瀬の視線を追うように真実はつかさを見た。
「平気? びっくりしたよ~電話貰って」
 つかさが顔を覗き込む。
「はぁ…」
 安心したのか、脱力とも取れる息を漏らす織瀬。
(夢じゃなかった…)
 ほっとしたら涙が出てきた。
 織瀬は両手で目を覆い、その頭でここまでの道のりを反復していた。
(これは、現実なんだ…)
「ごめん…」
 だれに言うでもなく思わず漏れた言葉。
「謝るな…ここに来ただけでもう充分だから」
 真実の言葉はいつも沈んだ心をすくい上げてくれる。
 織瀬はベッドの上でしたたか涙を流したのち、鼻のつまりと共に体を起こした。ティッシュを受け取りながら、大きく溜息をつきゆっくりと口を開いた。
「あたし、子宮筋腫らしくて…」
 言葉にするとよりリアルさが増してくる。
「え? 筋腫…?」
 想定していたのか、どことなく落胆した様子が窺える真実の言葉。

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