カニ鍋

連載『オスカルな女たち』

《 最初で最後の晩餐 》・・・17

「ホント、思い切ったことするね。仕事に差し支えはないの…?」
 鍋を取り分けながら問うつかさに、玲(あきら)は得意な顔で、
「異動させたうえで支店長に『業績をあげろ』って告げたわけ」
 とウィンクして見せた。
「へぇそれはまた、難題ね」
 織瀬(おりせ)が真実(まこと)のグラスに缶ビールの残りを注ぎながら言った。
「胃に穴が開くな、支店長」
 グラスを持ちあげながら真実は「これからが楽しみだ」と言って、くくく…と楽しそうに笑った。

「ごめんねー。ちょっと狭いかもしれないけど、一応セミダブルだから…」
 かつて継(つぐ)が使っていた部屋に織瀬と真実を通すつかさ。
 当然「シーツと毛布はきれいだから」と膝まづいて布団をパンパンと叩きながら、
「玲、ひとりじゃないと寝れないっていうし、ベッドじゃないとダメだっていうから…ここ使って」
 言い殴るようにして部屋を出、そそくさとかつての寝室に向かうつかさ。

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