泣いた赤鬼

読み聞かせ

図書館でアルバイトをしていた頃、幼児向けの「おはなし会」なるものがあった。エプロンシアターやマペット、紙芝居に絵本、いつかそれらを披露することがものすごく楽しみだったわたし
「おかあさんといっしょ」のお姉さんのように、笑顔でできる自信があった
でも、当時の若いわたしは「恥ずかしさ」に負け、さんざんな結果だったのです。嫌いじゃない作業だったから絶対にうまくできる自信があったのに!

なのに結果はお粗末で・・・慣らすためにそれらしい講義に通った
「語りべの会」という集まりで、元アナウンサーだとか、ストーリーテラーをしている現役のベテランさんとかを招待して学ぶやつだった。昔話や民話をそらで語る。躍動感もなく無表情で淡々と・・・
なんとなく違うって思いながら、「語り」と「読み聞かせ」の違いを知った

時を経て若いわたしは「おばさん」と呼ばれる存在(年齢)になった
ココで魔法の言葉が発動する。「おばさんはなにをしても許される」…これは直訳しないでほしい。迷惑をかけるとか図々しいとかそういうイヤな意味ではなく、恥をかいても許されるという意味と思ってもらいたい

満を持してわたしは、再び「読み聞かせ」を披露する機会を得た
NHKの「おはなしのくに」のように、「聞き手」を引き込むような、そんな「読み手」を目指していたわたしは、当時買っていたウサギの前で何度も練習をしたものだ

はじめは緊張したが、顔が見えないよう初登壇(笑)は紙芝居にした。家でさんざん練習して、ぶっつけ本番。結果は自分の思い描くように…とまではいかずとも、そこそこいい感じにできた。準備は万端。読み聞かせボランティアデビューは成功した(=゚ω゚)ノ
「おばさん」という隠れ蓑は実に役に立った。過去にド緊張でしどろもどろしていた自分に「たいしたことねーよ」と言ってあげたいくらいに、わたしは「おばさん」を上手に着こなせるようになっていた

先生って毎時間、黒板の前に立って、あんなたくさんの目にさらされて緊張しないものなのかな? 実は「前に立ちたがり」なんだろうか。でも視線を浴びることに快感を覚える人は少なくもないのだろう(勝手な解釈です、ごめんなさい)。ちょっとだけ優越感を覚えた(#^^#)

しかしここで問題発生! わたしはしたたか汗をかく。夏でも冬でも汗だくだ。緊張が伴えばもう滝のように汗をかく。それだけが唯一の気がかり
自分では大丈夫だと思っていても、どこかで緊張しているのだろう。寒い日でもやっぱり汗をかく。いやな癖だ
読んでる途中でハンカチを出そうものなら、興ざめだ。メガネが曇ろうが、流れる汗がくすぐったかろうが我慢、我慢"(-""-)"

ある程度自分のスタイルが出来上がってくると、他人や他の団体が、どんな風に読み聞かせをしているのか気になって、図書館での講話やワークショップに参加するようになった
講師は「抑揚をつけるな」と言う。でも、わたし個人としてはある程度必要なのではないかと考える。お父さんはお父さんぽく、おばあさんはおばあさんぽく語るのは悪いことではないと思うのだが、なにがいけないのだろう
それは「聞き手」である子どもに、余計な先入観を与えずに、自分の世界のイメージを膨らませてほしいから。でも・・・?

時々「落語絵本」を読む。「落語絵本」はべらんめぇ調でやりたい、テンポよく。時と場合を考えたら許されるのかな。喜怒哀楽の激しいわたしは、淡々と話すことが苦手だ
「まんが日本昔ばなし」のように、とは言わないが、でも「読み手」としてわたしが目指すのはそこだったりするので、やっぱりやめられないんだよなぁ…オーバーリアクション

わたしのやっている読み聞かせは、小学校の「朝読み」と呼ばれる時間帯の10分間。昔の「朝自習」の時間だ。10分間は充分なようで短い。読む本は限られてくる

わたしには夢がある
それはいつか大きなところで、充分な時間を取って「泣いた赤鬼」の朗読をすることだ。「泣いた赤鬼」にはちょっとした思い入れがあって、そういう意味でもいつかクリアしたい目標でもあるのだ

子どもの頃、赤いレコードでよく動揺や昔話を聞いた。TOP画面の写真は、その赤いレコードのジャケットだ。確か「ばくさんのカバン」の熊倉一雄氏だったと記憶しているが、果たしてはわたしの記憶は正しいのか・・・
わたしの子どもの頃はこういった透明のカラーレコードがたくさんあったのです。今はもう聞くことはできないけれど、わたしの「読み聞かせ」の原点はここだったように思う

「ココロノ ヤサシイ オニノ イエデス
 オチャモ ワカシテ ゴザイマス。オカシモ ヤイテ ゴザイマス・・・」

日本語なんだけど、カタカナ読みで聞こえたんだよねぇあの頃のわたしには
普通に本を読んでいるようなのに、わたしの頭の中にはカタカナで入ってきた、不思議なことに
あれが出来たら最高だなぁって思う。だから、いつか、やりたいなぁ・・・



いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです