花茶

連載『オスカルな女たち』

《 ブレインストーム 》・・・11

「細工は流々…。織瀬(おりせ)、恩に着るわね」
 そう言い残し、兄の手土産を片手に玲は無情にもリビングを後にした。
「え、ちょっと、玲(あきら)…?」
 腰を浮かせたところで玲が戻ってくるはずもなかった。
「あぁ…」
 ついため息が漏れてしまう織瀬。それを受け「すみません。玲のやつ、なにを考えてるのか…」と、すまなそうに聖(ひじり)が口元を歪めた。
「あ、いえ…」
 かといってこの状況で「じゃぁ、あとはおふたりで…」というわけにもいかなそうな雰囲気だ。しかし、
「ご迷惑でしょう…もう私共は失礼いたしますので…」
 そういって立ち上がり、明日香の腕を掴む聖。だが、当然のようにその手は振り払われ「帰りませんわよ、私」と、憮然とした態度の明日香は既に立ち上がれない状況にあった。
「聖さま、迎えにいらっしゃっただけで解決できるとでもお思いですか」
 そういい放って背を向ける、そんな姿さえ頼りない。
「明日香…。ここじゃなくても話はできるだろう」
 どうやら体裁を気にしている様子の聖に、
「話ができていたなら、最初から家出なんてしませんわ」
 と、拗ねた様子で頑として譲らない明日香。
「あの…。玲(あきら)がわたしを呼んだのにはそれなりの理由があるのだと思います」

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