花茶

連載『オスカルな女たち』

《 ブレインストーム 》・・・16

「わたくし…。私は…もっと、愛されたい…」
 と、しゃくりあげながら答える明日香に「やっぱり」と、優しい目で答えた。
「やっぱり? なにが君に解るというんだ? 僕たちの結婚生活のなにが君に解るというんだ」
 少し不機嫌な口調の聖(ひじり)に、
「もちろん、全部が解るというわけではありません。でも『愛されたい』という気持ちは痛いほどわかります。お兄様は、明日香さんに、ご自分の気持ちを伝えたことはありますか?」
「なにを…そんな」
「女は、いつでも不安なんです。たとえ相手を信頼していても、ほんの少しの言葉ですぐに気持ちがしぼんでしまう。自分が至らないのか、魅力がないのか、なにか気に障ることをしてしまったのか…と、簡単に少女のような気持ちに戻ってしまうんですよ。そんなとき、ひとこと優しい言葉をかけてもらえるだけで、それまでの不安なんてチャラになってしまう。なにか特別なことをしてほしいわけじゃない、ちょっと気にかけてもらえたら…ほんの少しでも寄り添ってもらえたなら、それだけでよかったのに…」
 言いながら織瀬(おりせ)は、自分こそが『優しい言葉』を欲していたのではないか…と気づいて、語尾の言葉に詰まってしまった。
「織瀬さん…」

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