チューリップピンク2

連載『オスカルな女たち』

《 守秘義務 》・・・14

 
「それより。…私、普通分娩で行ける?」
「え? あぁ…まだなんとも。邪魔になってはいないけど、約束はできない」
「そう…。もう水着着るわけじゃないからいいんだけど、やっぱり…ね」
 身体に傷を作るのは、女優じゃなくても気になるところだろう。

「とにかく。今は赤ちゃんのことだけ考えて」
 毎度毎度、よくもこう問題を落としていってくれる。真実(まこと)の心中は胸騒ぎどころのかわいい動揺では済まなかった。


自分の「男嫌い」は母子家庭のせいだと思っていた。
物心ついた時から家の中に『男』の存在がなかったために免疫がないからなのだと思っていた。

だが、「母子家庭」なんて今どき珍しくもなんともない。両親がそろっていたとしても、仕事の都合や家庭の事情で似たような境遇で生活している者もそう少なくはない。

だからと言って…。
 
 

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