バラ風呂

連載『オスカルな女たち』

《 水曜日。家出。 》・・・1

あっはっはっはっはっはっは…
ひーっ、はっはっはっはっ…
いゃーはっはっはっはっ…

「マコ、笑いすぎよ…」
 いつまでも笑いの止まらない真実(まこと)を、冷ややかな目で真正面に見据える玲(あきら)。
「だっ、だって。さ。はは…は…」

「マコちゃん見てる方が全然面白いんだけど…」
 玲の右隣に位置するつかさは吹き出しながら、反対側の真実のオーバーリアクションにまた違ったテンションを感じていた。先日の飲み会の時ほどではないにしろ、どこか様子がおかしい…としながらもあえて口にはしなかった。

「真実もそんな風に笑うのね…」
 いくらか先日の様子を気にかけていた織瀬(おりせ)も、普通じゃないと感じていながら「とりあえず笑っている」真実に微笑む。
「なに、それ。…ふたりとも、まだまだあたしを知らないね…?」
 幾分酔っているようにも見受けられる真実の態度ではあるが、まだ店に入ってほんの数分しか経っていない。

「なに偉そうに気取ってんのよ、マコ。他人事だと思って…」
 鼻息荒く少々苛立ちを覚える玲は、「まったく…」とため息を漏らした。

こちらは正規(笑)の女子会。いつものバー『kyss(シュス)』で今夜は、唯一設けられているボックス席を予約しての飲み会だ。

この場所だけは完全予約制で、オードブル付きのちょっとした個室のようなものだった。

「だって他人事じゃん。…で、それで、楽しく女子会してきたの?」
 また笑いだしそうなところを無理に抑え、目じりに涙まで滲ませてテーブルを叩いて見せた。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです