カニ鍋

連載『オスカルな女たち』

《 最初で最後の晩餐 》・・・21

「いや。嬉しいよ、あたしを選んでくれたなら…」
「真実(まこと)じゃなきゃ…ダメだったと思う。たぶん…」
「…嬉しいけど、どうにもできないよ」
「わかってるよ…」
 やわらかな織瀬(おりせ)の言葉に、真実は顔を天井に向け、
「はぁ~…。ずっと気になってたんだ。ひょっとしたら織瀬は、あたしを気味悪がってるんじゃないかって…」
 安堵して顔を両手で覆った。
「なんで? たよりにしてるよ、すご~く。じゃなきゃ…あんなの、持って行かないし」
「あんなの?…あぁ、バイブか?」
「そう。あれ、どうした?」
「需要のある所に寄付した」
「寄付? やっぱり、使う人いるんだね」
 問題の品物を送りつけて来た親友『第九のオスカル』こと〈立花萌絵〉も「自分のはある」と答えていたことを思い返す織瀬。
「意外といるんだよ…知らないだけで…」
 真実は真実で、自分の周りにもそういう人間がいるとは言えずに考えていた。

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