カニ鍋

連載『オスカルな女たち』

《 最初で最後の晩餐 》・・・22

「そう言えば、立花さんに会ったんだ…偶然」
「もえもえに? どこで?」
 どこで?…と問われ、真実(まこと)はどうしたものかと考えあぐねていたが、
「なんであんなもの送ったのか聞いてやるつもりでいたんだけど…こっちもそんな余裕がなくて…」
 と言って真実は「アンドレ会」の話をぼつぼつと語り始めた。
「そんな会があるのね…玲(あきら)は知ってるの? その、如月さんのこと」
「あたしもびっくりだよ。玲は…玲も多分知らないんじゃないか?」
 『快進(回診)のオスカル』こと〈如月遥〉は、かつては玲の取り巻きだったとはいえ、一番関りが少ない相手だった。
「だよね…知ってたら、言うよね? あたしたちには言わなくても、真実には…」
「織瀬。正直に言うから、気持ち悪いと思わないで、聞いてほしい」
「うん…?」
「たぶん、あたしは、織瀬が好きだ。だからと言ってどうにかしたいってわけじゃない。自分のそういうの…ずっとおかしいとは思ってたけど、そういう気持ちに気づいたのが最近で…どう表現したらいいのか、とにかく今の自分を表現できる言葉を知らない」
「うん」
「だから、これまで通りでいてほしい」
「うん」
「ありがとう」
「こちらこそ。ありがとう」

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです