見出し画像

連載『オスカルな女たち』

《 騒がしいやつら 》・・・11

「こんな時間にどこかご予定でも?」
 通りすがりを決め込みたい真実(まこと)の姿勢に対し、珍しい偶然にこれ幸いと面白がっている様子の遥。それが解るだけに早々に退散したい。
「べつに…。気晴らし」
 じゃぁ…と、その場を去ろうとする真実を遮るように回り込む遥。
「今日はお休み? どちらに気晴らし?」
(なんだ? 今日のこの食いつきようは…)
 予定などなかった。「今日はお休み?」とは白々しい。こんな街中でそれはお互い様だ、聞くまでもない…と小さく舌打ちする。
「どこでもいい」
(そっちはどっか行くんじゃないのかよ…)
 どう見てもどこか出掛ける途中の遥の様子にいやな予感が押し寄せる。
「どこでもいいなら、」
 勿体つけているのか、考えているのか、今夜の遥は真実の知っている彼女とは少し様子が違っていた。
「ご一緒にいかが?」
「遠慮する」
「即答ね…」
 あまりに早い真実の返しに苦笑いする。
「とても共通の要件があるようには思えないんだが…」
 パーティに行くようじゃないか…お呼びでないんだよと、あからさまに怪訝な表情を遥に向ける。
「そう? 行ってみたら楽しいかもよ?」
「やだよ、賑やかなところは…」
 賑やか?…と、オウム返しに応える遥に、「パーティだろ」と視線で遥のコートの中を指す。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです