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福井ゲストハウスSAMMIE'S

縁の深まりと過ごした時間は比例しない。
ゲストハウス旅で感じる不思議な時間の流れ


福井ゲストハウスSAMMIE’S(サミーズ 以後SAMMIE’Sと表記)は、JR福井駅の西口から少し歩いたところにある一軒家を改装した小さなゲストハウスだ。経営しているのは福井出身の森岡咲子さん。東大出の元ゼネコン勤務という超絶エリート路線を歩いていた彼女が地元にUターンして開業した。

地方勤務の時代にバリバリと朝から晩まで働きまくる「やりがいのある仕事」に少しずつ疑問を持ち始め、その頃に知った『福井人』という本から、地元の福井のことを何も知らないことに気いた森岡さんは、その後周到な準備をして福井に戻って激安で売られていた一軒家を購入し、ゲストハウスをオープンさせた。

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館内は建築の知識を活かしてCADなども駆使して自分でベッドなども設計、解体から施工、仕上げまで、できるところはほぼ全てセルフリノベーションで行ったというすごさ。仕上げは切り株を利用して貼り付けるなど、どこかしら手作り感も残る暖かみのある内装が特徴だ。

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わたしが彼女を知ったのは、確かこれからゲストハウスを立ち上げようとゲストハウス開業セミナーかなにかのイベントでお話したのが最初の出会いだったと思う。その後開業してから何度か行くチャンスがあったものの叶わず、オープンして2年になろうかという頃に初めてSAMMIE‘Sを訪れる機会ができた。

ゲストハウスの女性ひとりオーナーというのは、本当に大変な仕事だ。顧客対応以外にも予約管理や部屋の掃除、営業にも直結するSNSでの発信など、やることは多岐に渡る上に、宿業は人の命を一時期預かるともいえるわけで、かかる責任を考えると規模の大小はまったく関係がないともいえる。

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24時間営業の宿業、こころが休まる暇がない。一生懸命がんばっている彼女をSNSなどで見るにつけ、陰ながら「がんばれ〜たまには休んで!個人としても幸せな毎日を送ってほしい!」とエールを送っていた。

もちろんゲストハウスのオーナーさん全員に対してスーパーリスペクトしているのだが、特に女性オーナーというのは、全体としてはかなり少ないほうで、より新しい生き方を体現している存在だと思うので、よりそう願う率が高いし、フリーペーパーで取り上げる率も高い。

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そんな陰なる心配は杞憂に終わったようで、その後初めて泊まりに行ったときには、お付き合いしていた彼と「もうすぐ結婚するよ〜」という状況だった。

「(宿は彼(今の旦那さん)が少し見てくれるので)せっかくだから一緒にいきませんか?」と宿泊した日にたまたま行われた大安禅寺というお寺が主催するというイベントに誘われ、一緒に車で向かうことになった。

そのイベントはお寺がやってるとは思えないほど相当とんがったもので、般若心経も唱えていて一応「奉納」ということになっていたはずだが、暗闇のなかOHPでカラーインクを流してプロジェクションマッピングをするという、なんともトランスっぽい雰囲気漂う、すごい時間だった。

福井・大安禅寺でサイケデリックな瞑想祈祷ワールドを体験ー大人の18きっぷ旅・初日の夜 (個人ブログ/Live a good lifeのその日の様子)

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イベントが終わり、帰りに車を走らせながら、なんとなくややマリッジブルーになっていた彼女を励ます流れになった。暗い夜道、車のハンドルを握りながら、お互い目を合わせるわけでもなく前を見てただただ話す。さっきのサイケデリックな色彩と暗闇の中で頭がちょっとぼーっとなっているからか、普段感じないことや、言わないようなことが口から出てくるような感覚もあった。

たまたま開業前から互いに知っていたとはいえ、それほど付き合いがあるわけではなくほぼ初対面みたいなものだ。でも、だからこそ打ち明けられることや打ち解けられること、というのも確実にある。

旅人同士の距離感ってそういう意味で珍しくて、時に深い。彼女もその日はゲストハウスオーナーという立場を外れて、旅に出たときみたいな自由な気持ちで接してくれたと思う。

こういう時間を少しでも過ごすことができると、旅はずっと忘れられないものになる。そして、ゲストハウスの旅は、こんな奇跡のような時間がわりと身近に起こるから、やめられないのだ。

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