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HOSTEL 64 Osaka (現FON-SU bed&breakfast)

惜しまれながらクローズしたアートと大阪の文化発信基地

大阪市西区にあるHOSTEL 64 Osaka(ホステルロクヨンオオサカ 以下ホステル64)は、2010年と大阪では早い時期に開業したゲストハウスだ。大阪市内中心部、ミナミと呼ばれる繁華街から少し離れた住宅とビジネスビルの混在地域に位置し、1964年建築の古ビルをまるごとリノベーションしてつくられた。

ここを運営しているのは、個人ではなく企業。アートアンドクラフトという建築/不動産関連企業が企画運営まで行っていた。なぜ過去形かというと、このゲストハウスは、たくさんの人に惜しまれながら、この春にホステル64としての営業は終えたから。

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経営がうまくいっていないとかではおそらくなくて、会社として「一定の役割を終えた」と判断したと聞いている。オープン当時は珍しかったゲストハウス(ホステル)という業態も、今では大阪市内、とくにミナミに近いエリアでものすごい勢いで増えたことなどが理由に挙げられるだろう。

ここの良さは、レトロビルのレトロ感をちゃんと残したまま、和洋折衷なリアルな日本と、なんとなくおしゃれなんだけど、親しみやすい昭和感もある大阪っぽさも感じるデザインで統一されているところ。デザインリノベーションの会社だからショールーム的な要素もあり、そのあたりの作り込みが抜群にうまい。

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とはいえ、上っ面のデザインばかりがよいかというとそうではなくて、近隣から通う生粋大阪ピープルなスタッフが、地元愛あふれた「大阪でここだけは行っとけ」な地図をつくって案内したり、音楽やアートなどのイベントを行うなど、文化的な発信拠点としても長く活動していて、その雑多な雰囲気が唯一無二のものだった。

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二階の受付から一階に降りた場所にあるドミトリーが少し変わっていて、通常は部屋に二段ベッドがあったり和室で仕切りのある布団が置かれていたりするけれど、ここは、壁で仕切った空間にシングルベッドがあり、入口部分がのれんで仕切られるプチ個室みたいな仕様になっていた。取材時にはのれん、その後2018年に訪れたときにはちょっとした船室みたいなかわいい内装に変化していてそれもまたステキだった。

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わたしは、インタビュー取材した宿には必ず泊まるようにしているのだけれど、実はここだけそれをしていない。なぜかというと、自分の実家から歩いて5〜6分のところにあったから。近くでも泊まればおもしろい体験だったかもしれないが、あまりに近すぎてさすがにここは・・・と最後までチャレンジしなかったのが今では悔やまれるところ。

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クローズしてから後、この場所はどうなってるんだろう?と思っていたら、当時のスタッフのひとりがここを引き継ぎ、FON-SU bed&breakfastとして今もかたちを変えて営業しているのだとか。それを聞いてなんだかとってもうれしくなった。リニューアルするとだいたい運営者もガラリと変わって雰囲気が一気に変わってしまうことが多いけれど、スタッフさんに変化がないなら、逆にインテリアや業態が変わったりしても、本質的な良さはきっと変わらないと思うから。

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