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ゲストハウスあなごのねどこ

尾道の商店街で輝きを放つ空き家再生ゲストハウス


ゲストハウスあなごのねどこは、広島県尾道市、JR尾道駅から東へ続く商店街のアーケード内にあるゲストハウスだ。うなぎの寝床的のように奥に長〜い建物のつくりと、尾道の名産が穴子という理由でこの名称がつけられたらしい。



間口は狭いけれど、奥行きがあって、建物の向こうにはいい感じの中庭もある。内部はアーティスティックな手作り感が満載。吹き抜けの明かり取りがどーんとあったり、穴ぐら感のあるユニークなつくりの二段ベッドもおもしろい。

ドミトリーだけなので、個室を求める人には向かないけれど、日本家屋の持つ独特の光の加減やお家っぽい共有ラウンジの雰囲気など、ここでしか味わえない独特の雰囲気にハマる人も多い。商店街から入ってすぐの一階には、給食をテーマにした「あくびカフェ−」という飲食施設もある。


尾道は現在、ユニークな試みが多くなされているおもしろいまちのプレーヤーがいる街として知られるようになった。坂が多く車が入らないような狭い路地も多い立地ゆえ、空き家になった家屋も多い。その状況をなんとかしたい、という思いでスタートした活動がNPO法人尾道空き家再生プロジェクト(通称空きP)だ。

代表の豊田雅子さんがはじめた活動だが、彼女がめちゃめちゃパワフル。故郷の尾道の状況を変えたいと建築の専門家である旦那さんや地域の人を巻き込みながら、一軒一軒まちの空き家を見つけて使いたい人に紹介し、光を当てていく活動を続けてきた。その活動の一環として商店街の空き物件を再生し、ゲストハウスを運営することにしたのだった。

実際、あなごのねどこのマネージャーをしていた漫画家のつるけんたろうさんは、尾道にやってきて空き家を0円で譲渡してもらって住んでいると言う。その顛末はコミックエッセイ本『0円で空き家をもらって東京脱出』にもなった。

彼のように東京からふらっとやってきて尾道に住み着いてしまった、みたいな若者が今もたくさんいて、それがこのまちの懐の深さとユニークさにつながっているんだと思う。

取材時は、つるさんと豊田さんのお二人にお話を聞いたのだが、二代目マネージャーをやっていた山本さんという男性とも以前から交流があった。彼とは長野のゲストハウスで知り合い、何度か東京で偶然ばったり出会うハプニングを経てまたここ尾道で再会した。彼はその頃新しく自分でお店を作ることになり、この宿の運営からは離れていたけれど、不思議な縁だ。

ちょうどその日、同じ広島県内にある原爆資料館にオバマ前大統領が来訪していて、その中継を宿のラウンジにあったテレビでみんなで見た。きっとこれも忘れられなくなる経験だよな、なんて思いながら。

ここで働くみんなのキャラクターがいい感じに濃くてユニークで。それがとても印象に残った訪問だった。

現在、空きPでは「見晴らし亭」という、本当にとても見晴らしが良いんだけど、坂の上にあって行くのが大変というゲストハウスも運営している。ここも何年もかけて有志でリノベーションし、カフェと宿として再生させた。

そこでは、冬場にライターインレジデンスというモノ書きが格安で泊まれるような仕組みがあったり、空きPの活動として、名建築を探るワークショップを継続的に行っていたりとイベントも多い。もちろん今でも空き家を発掘する活動もずっと続いている。

尾道は、他にも今はまちを盛り上げるプレイヤーがたくさんいる。
海沿いの倉庫を大きくリノベーションしてスタートさせた尾道U2というホテルとショップの複合施設や、ほとんど廃墟みたいな山の中にあるビルをリノベしてつくったLOGという宿泊施設、尾道自由大学なんて活動もある。

瀬戸内と四国愛媛を結ぶしまなみ海道のスタート地点でもある尾道。ただ通り過ぎるだけではもったいない魅力がここにはまだまだ詰まっている。

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