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ボラティリティの高い事業との付き合い方

2020年からのCovid-19の世界的な大流行で、数年分の世界経済が大きく停滞、または「止まる」という事態を多くの国、企業が経験しました。私もその期間中に海外拠点長となり、海外の現地法人の責任者になったのですが、常に考え続けてきたのは「ボラティリティが高い事業」との付き合い方でした。

ボラティリティが高い事業というのは市場動向によって成長の結果が大きく動く事業です。市場が成長中であれば業績は跳ね上がりますし、後退・衰退中であれば業績は大きく落ち込みます。業種や業界によってタイミングが異なりますが、多くの市場において定期的に成長・後退・衰退・回復というサイクルが回ります。

しかしCovid-19によってもたらされた深刻な問題は、その市場そのものが同時多発的に強制停止した事でした。通常、多くの企業には複数のビジネスモデルがあり、どれか1つの分野・市場が不況になっても他の市場・分野で稼いで致命傷を防ぎながら持ちこたえる体制を持っています。しかしCovid-19の期間においては多くの市場が同時ストップ、または長期停滞する事態になった為、従来は機能していた「持ちこたえる体制」が無力化させられてしまいました。「持ちこたえる体制」によって収益をあげられないわけですから、市場の成長期からCovid-19期に入った企業はまだしも、市場の後退期からCovid-19期間に入った企業は大変でした。

いずれにせよ、Covid-19の前から企業運営をされていた方における衝撃は想像を絶するものだったと思います。

一方で、Covid-19を中央においてその前後を比較する事は興味深い学びを得る事ができます。私たちの事業においても、ボラティリティが高い事業はCovid-19後の市場回復期の流れに乗って確実に回復をしていますが、Covid-19前までは元気だった事業がCovid-19後の回復期においても回復していない、という事も小さいながらもありました。他の企業経営者の皆さんと色々話をしていますと、多くの企業においてそのような傾向が1つか2つあるという事で、企業が患った「想定外」のCovid-19後遺症も存在しているようです。

私たちのケースで言えば、様々な要因があるので深くは書けませんが、結果としてその事業は私たちが思っていたボラティリティが高い部類の事業ではなかったのかもしれませんが、Covid-19によって市場が相手にしていた「顧客」の体質が変わってきた事にも大きな原因があるのだろうと思っています。

ボラティリティが高い事業との付き合い方、というテーマで今回は文章を書いていますが、Covid-19後の世界市場においては、ボラティリティが高い事業の設定を再確認する事から始めたほうが良いのだろうと思っています。それは事業だけではなく、個別の商品やサービスにも言える事ですが、上述したように「顧客」の体質変化を感じ取り、戦略を練る事からはじめる必要があるのかなと思っています。

例えば1つの例として、BtoCでいえば「そこに財布を開かなくなった」という市場変化期によくある顧客行動の変化だけではなく、「そこで財布を開かなくなった」という部分も大きなウェイトを持つようになっていると感じます。そのような顧客の体質変化から逆算して戦略を立てつつ、そこに自社の新たな付加価値を加算して、自分たちがどのような市場を作り上げたいのかを考える事が大事になると思っています。

ちなみに、話が少しそれますが、ボラティリティが高い事業の成長期には絶対的に稼いで体力を蓄える事が「Must」です。稼げていてもそれを投資などに回しすぎてしまい、後退・衰退期に体力の蓄えが無い!という状況を迎えるのは避けなければいけません。その苦しい期間を乗り越える体力こそ、未来に向けたマラソンを乗り切る基礎体力になりますしね。

自戒の意味も込めて。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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