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「川の上で住んでみないか」そんな声に誘われてやってきたタイの奥地で経験した電気への個人的愛情

ある日、社員から突然言われた。

「ボス。川の上で住んでみないか」

最初は「あぁ?何言ってんだ?」とあまり気にもとめていなかったのですが、少し時間を置いて考え直すと「海や湖ならわかるが、流れのある川の上で住めるのか?」という興味が湧き、その興味は無視に勝てないことを悟るまでわずか1分。僕は川の上に住んでみよう(体験だけで十分)と思い社員達と旅に出ることにしました。

場所はタイ王国・カンチャナブリ県。首都バンコクから西に2時間ほど車で移動した場所にある県。ミャンマー国境からも車で1時間程度の距離。

カンチャナブリといえば「戦場にかける橋」で有名で、日本人でも知っている人が多い場所でもありますね。写真の奥の方に見えるのがその橋です。

僕たちの乗る車はその橋を横目にどんどん奥地へ進み、やがて携帯電話の電波が届かないエリアへ・・・。

そしてある場所に到着。

「降りてください」

・・・と言う社員。

え?ここ?普通の山じゃん。もしかして川沿いにあるホテルとか?

・・・と少しがっかりした気持ちもありながらも、蚊とか大丈夫なのかなと不安に思っていた気持ちもあるのでホッとした部分もあって長旅も終わりかーとくつろぎ始めていたのですが、社員に連れて行かれたのは・・・。

普通の小型ボート登場!!

タイでは当たり前のように用水路間の移動で使われている船。どうやらこの船に乗って上流に向かって移動するようです。なんかアマゾン川上流の未開の地に挑む的な番組に見えてきました。川の色もなんか似てるし。てか、救命具あるし。そんな荒れるのか波が(注:川です)。でもどうみてもなだらかな水面。

こうして僕たちはよくわからない小舟に乗せられてカンチャナブリを流れる川の上流に向かうことになりました。

救命具を装着する理由がわかる気がします水面は静かなのになぜかポンピング状態の小舟。船の操縦士さんの操縦への熱い想いが伝わってきます。決して雑な仕事をしているわけではありません。しかし写真の向こうに見える水上ハウス。嫌な予感がします。まさかあれで過ごせというわけじゃないよなと。小舟とはいってもばっちりヤマハ製エンジンを積んでいるのでエンジン音は迫力満点で、僕の悩みが社員に伝わりません。迫力あるエンジン音をまとった小舟は更に上流への進みます。

遠目に何か見えてきました。集落でしょうか。

遊ぶ為のボートなのか、それとも避難用なのかわかりませんが、この辺の集落でしょうか。茅葺き屋根なのかなんとか草屋根なのかわかりませんが、とにかく川に浮かんでいます。水上長屋とでもいいましょうか。こんな山奥の川で住んでいる人たちがいるというのはタイに住んで長い僕でも聞いたことがありません。

いいえ。僕が間違っていました。ここが僕の宿泊場所でした。ギャー。川の向こうはめちゃくちゃ分厚い森林。トラとかクマとか出てきたら、ましてやアナコンダとか出てきたらどうしましょう。

このホテルはイカダの上に家を建てていて、木材の浮力で川に浮いています。下流に流されないようにするために付近の森の木からロープを出して家に固定、流されないようにしているようです。つまりロープが切れたら翌朝起きたらタイ湾に・・・ということです。あー、帰りが楽だわこれ・・・じゃなくて、とんでもありません。心配です。うちの社員達は既に部屋のほうにむかっていて遠くから「素敵!」を連発する声が聞こえます。

多くのタイ人が既に到着していて各々インスタ映えしやすそうな写真を撮ったり、川をぼーっと眺めていたり(これはうちの社員)、確かにのんびりできそうな素敵な雰囲気はあります。しかしその興味も尽き、消灯もすればただの野営なのですが、この時の僕はそんな事も考えず、普通に気持ち的には「はしゃぐ」ほうにシフトチェンジされていて、家に帰ってくるまでは普通に楽しんでしまいました。

僕たちが宿泊した水上ホテルの部屋を紹介します。基本的に室内に電気はありません。だから写真も暗く、場所によっては撮影困難でした。その中でも綺麗に撮れた写真だけを紹介します。

まずは部屋の中。

「蚊がいます」と宣言しているようなものですね。実際には蚊はいませんでしたが、それもそのはず。意外と寒かったのです。8月なのに・・・。やっぱり南国タイでも山中のそれも川の上であればそれなりに冷えますね。ちなみに、空気を読まずにMac bookを持って来ていたので真っ先にコンセントを探しましたが甘かったです。当たり前のように「電気などあるわけがない」状態でした。このホテルの従業員は街中からここまで通勤しているのでここの人たちではないのですが、この地域の虫や動物達は恐らくまだ電気というものに出会った事がないはずです。意外と身近にガラパゴスがあるんだなと勝手に人類の歴史に思いを馳せていました。

ちなみに奥の扉を開けたらどうなっているか、しっかり写真を撮っていますよ。もちろん。ほら・・・。

ワニを呼び寄せる生贄を乗せる網なのか、それとも、せーの!!で川に人間を投げ込む網なのかはわかりませんが、なんとなく出川哲朗さんや山崎邦正さんがよく似合いそうなハンモックです。ちょっと寝返りうったら2度と起きない睡眠の旅へ真っしぐらです。しかもハンモックに乗った状態で左足に相当する部分の網目がおかしいんです。明らかに川方面に落ちる準備できてるドリフターズ型ハンモックになってるんですよ。志村!左下!左下!ですよ。

そしてこんな感じで川の上に浮かぶホテルなのですから大自然に刃向かう行為は許されません。当然ながら灯りのない暮らしですから、日没と同時に真夜中が始まります。普通の飲み会のはずがただの闇鍋状態というか闇飲というか、いわゆる闇酒。もうめちゃくちゃです。

ちなみに刑務所における唯一の楽しみ・・・じゃなくて、川の上にあるこの水上ホテルにおける唯一の灯りは各部屋にある電池式のLED懐中電灯と電池式ランタンのみです。これが灯りをもらえる唯一の方法です。どちらもホテル内移動の際は必須アイテムになります。一歩間違えたら川にドボンですから。本当に常に持ち歩きです。まるで江戸時代の夜中に提灯を持って歩く見回り衆みたいですね!

しかしこのLEDのほうはなかなかのマルチタスクっぷりで大自然の中ではムード作りにも貢献します。ほらこうやってグラスの下からライトを当てるとムーディな感じになります。ほらこんな感じ・・・。

・・・皆、時間つぶしに必死なんです。だってお酒飲む以外に本当にやるこない場所なんだから。なんせ川の上だから脱出できないし。てか写真の奥の方に誰かの手がみえますが心霊写真ではありません。普通にそこにいる人間の顔が見えないくらいの漆黒の闇なのです。まさに「リアル一寸先は闇」の暗さを体験できます。

翌朝・・・。気がつかないうちにこんな感じで空ビンの詰まったケースが数ケースたまっていました。やっぱり闇酒だからついついお酒が進んでしまったようです。

そんなわけで僕の初めての川の上生活は、あまりよくわからないうちに終わりました。だってしょうがないですよ。電気がなくて真っ暗だし、スマホの充電もできないからバッテリーは早々に切れてしまい写真も撮れないわけです。だから証拠もほとんどないのです!これは本当にしょうがないんです。大自然の前では人間はとても非力です。でもたまにはこのような大自然の中で、Twitter、Facebook、Youtubeから解放された生活もいいんじゃないかなと思いました。

自然に包まれる快適さ、リラックス度という点では100点です。しかしPCやスマホが無いと生きていけない人には地獄かもしれません。なんせ「電波の届かない場所にいらっしゃるか電源が入っていないため繋がりません」モードの場所ですから。

さてさて、帰りはこの地域に来たらお決まりのお土産屋さんに寄って帰りました。

ここのソーセージは好きでこの辺に来るたびに買って食べています。

そしてお決まりのコーヒーも。作り方も味も極めて普通なんだけど、コーヒーメーカー(道具)がコーヒーを美味しそうに見せるマーケティング戦略大成功な感じのレア感満載のコーヒーなんです。

そして車に揺られること2時間、僕たちはバンコクに無事到着して解散となりました。楽しい2日間でした。

追伸

川の上ホテル(自称)では川にダイブもできます。僕たちも10回くらいダイブして泳ぎました。その時の写真も沢山あったのですが、どっかに消え去られていました。いつかまた見つけた日(ない)にはアップロードしようと思います。

G1でした。コップンクラップ。

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