通信制大学生へ贈るレポートの書き方(4)

レポートのおおまかな内容を決める


前回は課題要件の把握と資料の集めの基本について説明しました。本日は前回集めた資料=材料を使って、レポートのおおまかな内容を決める方法についてお伝えします。大工仕事に例えるなら、土台を作り家の骨格を作る作業をします。料理なら下ごしらえをする工程ですね。

1.課題要件の把握

2.課題要件を満たすために必要な資料を探し、資料を調べ、内容をまとめる

3.レポートのおおまかな内容を決める

4.レポートを実際に作成する

5.完成したレポートを提出する


3.レポートのおおまかな内容を決める

これは前回の「2.課題要件を満たすために必要な資料を探し、資料を調べ、内容をまとめる」にて調べた内容をレポート化するために必要な作業となります。資料を当たっていくと、おのずとレポートの内容へつながっていくものです。ここでは、調べた内容をまとめ、どんな流れで書いていくか決める工程です。手順としては次の通りになります。



●レポートの構成

レポートの記載順番を決めるため、まずはレポートの基本構成を知りましょう。この基本構成通りに内容を配置すれば、レポートの9割は完成したのと同じです。

①序論

②本論

③結論


レポートの構成を家に例えると下記のようなイメージになります。

では、それぞれの内容をもう少し詳しく解説します。


①序論の作成

レポートの入り口となるのが序論です。「これから家を紹介します」と述べる部分となります。別のものに例えるなら、どんな料理を用意しているかを、おおまかに家族やお客様へ伝える部分とも言えるでしょう。あなたのレポートを読む担当教員へあなたが書いたレポートが何について書かれているのかを紹介してください。


②本論の作成

序論で紹介した内容を詳しく説明するのが本論です。本論は家の中へ担当教員を招き、各部屋を紹介する部分になります。料理なら一皿ずつ出して各料理を説明する部分となります。

本論を書く際に重要なのは「事実」を書かなければいけないということです。「推測」のみで本論を構成すると、結論の説得力が全くないものになります。つまりレポートが手抜き建築で建てられた家と同じになります。推測や意見をいれてはいけないわけではありませんが、なによりも「事実」が本論には求められることを覚えておいてください。

序論で紹介した内容の説明部分に何と何を書くかを決めましょう。序論で家の中へ導き、本論で各部屋を紹介すると、おのずとどんな家が建ったのか、つまり結論が見えてきます。どんな家が建ったのかを次の結論で述べます。


③結論の作成

あなたがどんな様式の家を建てたのか、その全容を案内する部分がレポートの結論の部分になります。料理ならすべてのメニューをテーブルへ出して、食べてもらう段階ですね。

結論の締めくくりは「推測」でも「意見」でも「事実」でもどちらでもかまいません。ただし、本論で書いた"事実"に基づいて結論を書くことが重要です。推測に基づいた「推測」を結論にして、レポートを締めることはしてはいけません。事実に基づいた「推測」「意見」「事実」で結論を締めくくりましょう。



●アウトライン=レポートのおおまかな内容を決める!

レポートのおおまかな内容を決める作業ではレポートの構成を決めます。レポートの構成を作る作業は、アウトライン作成作業と呼びます。先に説明したレポートの基本構成にアウトラインは沿って作成します。

例えば映画などの批評レポートで「現代社会と映画の内容の照応について」という課題なら、観覧した演劇や映画の内容と現代社会の共通項を書き出します。映画の内容の中で、現代社会が抱える問題と同じ問題が取り上げられていれば、その問題点を書き出します。もし、ぼくがアウトラインとしてまとめるなら、下記のように書き出すでしょう。


歴史のレポートで「ローマ帝国とカルタゴのポエニ戦争についてローマの勝因についてレポートせよ」という課題なら、勝者の勝因と敗者の敗因を書いて、勝者がどうして勝利したのかを書くでしょう。この例の場合はローマ帝国がカルタゴに勝利していますので、最初に戦争の原因を書きます。次に戦争の経過を書き、敗者の敗因と勝者の勝因を書いてローマ帝国の勝利に終わったとの内容でレポートを書くでしょう。

 

上記の2例はアウトラインの例です。当然各項目にどんな内容を書くのか詳細を記入してしまってかまいません。

家の建築様式によって材料の使い方が変わるのと同じで、レポートも課題要件によって資料の活かし方が変わります。

次回は「4.レポートを実際に作成する(1)」、レポートを実際に書いていく際に最低限必要な文の書き方についてお伝えします。


次回の更新は8月11日(火曜日)です。

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