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腎不全の猫と長く生きるために (1)

慢性腎不全の長寿猫、ぐう吉

猫の寿命も長くなり、20年を越える猫も珍しくなくなりました。猫の年齢は1年に7歳年をとる、と思っている方もいますが、実際は、初めの2年間で大人になって以降は、4歳ずつ年をとる換算知られています。つまり、24+(猫の年齢−2年)×4歳の計算になります。
この計算で行くと、わが家のぐう吉は17歳なので、24+(17-2)×4=84歳。もう立派な老猫の域に達しました。
なお、猫の年齢については、以下の記事がわかりやすく書かれています。
https://nekochan.jp/cat/article/1158

猫の長寿化は、キャットフードの改良と動物医療の発達が大きく貢献しています。特に猫は年を重ねると腎臓を病む子が多く、塩分が大敵でした。ごはんに味噌汁をかけた残飯をあげていた時代から、腎不全用のフードがある今と比べれば、変化は歴然です。

わが家のぐう吉は、長く慢性腎不全を患いながら長寿を迎えました。腎不全の猫と暮らす飼い主さんはたくさんいらっしゃるでしょう。ぐう吉の経験が少しでもお役に立てばと思い、文章にまとめ、2018年にFacebookに投稿しました。
今回、その文章をさらに整理したので、ご覧いただければ幸いです。

体が弱く、アレルギーもあった生後2ヶ月の子猫

保護猫だったぐう吉が我が家に来たのは、2001年6月2日。先代猫のミルクを見送って数日後のことでした。この日は11回目の結婚記念日。忘れられない日になりました。
この時点でおよそ生後2ヶ月だったので、生まれは3月終わりから4月初め。動物病院の登録では4月1日生まれになっています。

▲2001年6月2日撮影。我が家に来たばかりのぐぅ吉。
確か500グラムなかったと思います。とにかく小さかった。


こんなことを言ったらぐう吉が気を悪くするでしょうが、子猫の時より、今の方がうんとかわいいんじゃないかなあ。ちなみに、ぐう吉はサビ猫で、この柄は雌しかでません。当然ぐう吉も女の子。最初は「ぐぅ」と呼んでいたのが、いつの間にか「ぐう吉」になりました。
ぐちゃぐちゃの柄だから「ぐぅ」。名付け親は、母の友人で、保護猫の活動を支援していた、料理研究家の小林カツ代さんでした。

ぐう吉は、来たときからなかなか下痢が止まらず、弱い子でした。食事アレルギーもあったため、我が家に来てからはずっと獣医さんから治療食を購入しています。ところが、食事は治療食のみと、厳重管理でやってきていたにもかかわらず、6歳の時から慢性腎不全になってしまいました。

定期健診で腎機能低下が発見され、
2年後に急性腎不全を発症

初めてぐう吉の腎機能低下が見つかったのは、2007年9月の定期健診でした。クレアチニン2.7(正常値0.5~2.0)と上昇が見られましたが、尿素窒素は30と正常値上限だったので、症状は出ていませんでした。
この時点で、腎不全用のフードに変え、ほどなくタツジピン(フォルテコールという薬の場合もあります)の内服を始めます。この薬は元々腎臓に作用する、人間の高血圧の治療薬。腎臓を保護する働きを期待して使われているようです。

その後は半年に1度検査に通いましたが、クレアチニンの値はほぼ横ばい。ところが発症から2年経った2009年7月、急に嘔吐をして元気がなくなったので獣医さんに行くと、クレアチニンが15、尿素窒素が143と急激に悪化していました。
エコーの結果、腎結石による急性腎不全とわかり、緊急入院。1週間ほどの入院で、大量の輸液やステロイドなどで快方に向かいました。
幸い、急性腎不全は治ったものの、元の慢性腎不全は一段進行。クレアチニンは3を切らなくなり、しばしば尿素窒素も50を超えましたが、嘔吐などの明らかな尿毒症には至りませんでした。

ケージでおびえ、全く食事を取らないぐう吉に、獣医さんは早期の退院を勧めました。それはワタシたち飼い主にとっても、ありがたい話。
この先何があっても、家でみてあげたいと思っていたのです。

強制給餌と皮下補液で体調が安定するように

退院後は、家で皮下補液をしました。皮下補液は、血管に針を刺して行う通常の点滴とは違い、皮下に針を刺して薬液を入れます。人間と違って犬や猫は皮下がだぶついており、皮をつまむと、びよ~んと伸びますよね。だから皮下に薬液が無理なく注入できる。200cc~300ccは無理なく入ります。また、皮下補液は静脈に入れるよりもゆっくり吸収されるため、身体に負担がかかりにくい利点もあります。
しかし、一番の問題は、食欲がないことでした。とにかく食べない。何も食べない。皮下補液で補えるのは、ほぼ水分だけ。栄養は食べて摂るしかありません。砕いたドライフードをウェットタイプのフードと混ぜ、適度な硬さにして口に押し込む、強制給餌が必要でした。
その後食事量は増えましたが、元々食欲は薄い猫。今も、1日に最低限食べる量を決め、それに満たない時は、口に指でフードを押し込む、強制給餌をしています。

内服と皮下補液は、薬や針を獣医さんからもらい、今も続けています。退院後しばらくは毎日、その後落ち着いてからは、回数を減らして、隔日で100cc程度行っていました。2013年2月にクレアチニンが4.7まで上がったのを機に毎日行い、今に至っています。

▲最近のぐう吉。とにかく寝ています。
これは床暖房に貼り付いているところ。

おかげさまで、現在ぐう吉は体調良好。体重も4.8~4.9kgを維持して、毛づやも良い感じ。15歳以降は高い所にはあがらなくなったものの、すこぶる元気です。家で皮下補液を始めてからすでに9年以上が過ぎています。早めに皮下補液を始めた効果は、あったと言えるでしょう。少しでも身体に良ければと思い、去年からはアンチノールというサプリも使っています。

脱水を防ぐための“在宅”皮下補液

ぐう吉について言えば、在宅皮下補液は、とても有効だと思います。獣医さんによれば、腎不全の猫は、脱水傾向になりやすいそうです。脱水は腎不全の悪化因子。補液で水分を補充してやると、進行が抑えられるわけです。
とは言え、あくまでも対症療法で、進行そのものは止められません。

かわいがりながら、頭の隅では、いつなにが起こっても不思議はないと覚悟だけはしています。逆に言えば、いつなにがあっても悔いがないように、日々かわいがってあげようと思っています。その上で、きちんと最後まで見送るというのも、飼い主の勤めですから。


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