猫の腎不全3_写真4

腎不全の猫と長く生きるために(3)


今回のテーマは、ぐう吉の食事です。食欲があまりないぐう吉は、すぐにフードに飽きてしまいます。腎不全食を続けるための工夫をご紹介します。
また、目の見えないぐう吉の生活は、このひと月の間にも変化がありました。まずはそんな近況報告から……..。

さらなる視力低下

ぐう吉の視力低下がわかって、2ヶ月半が過ぎました。1月に動物病院を受診した際の見立ては、「左眼の網膜が完全に剥離し、右眼も剥離しかけている」というもの。その後、この1ヶ月の間に右眼の剥離も進み、完全に見えなくなったようです。

そうとわかったのは、光の加減によってみられた目の色の左右差が、完全になくなったからです。そして、3月に入ってしばらくの間、ベッドで寝ている時間がさらに長く、階段の上り下りが1日1往復と、非常に少なくなったのです。

これはニンゲンにとってもなかなかの試練で、「このまま動けなくなってしまうのだろうか」「階段を転げ落ちたらどうしよう」「生きる意欲をなくして、一気に悪くなってしまうのではないか」と、さすがに不安になってしまいました。

しかし、ここが猫の逞しさ。この状況にも、ぐう吉は慣れてきたようです。3月20日頃から、明らかに活動性が上がってきました。ニンゲンがいると2階のベッドから1階に降りてくる。しばらくしてまた2階のトイレに行き、1階に戻ってくる。その移動も完全に剥離する前の動きに戻っています。
今日、22日は目が見えなくなってから初めてレースのカーテンの中に入って窓辺に行き、しばらく日光浴をしてから、ベッドに戻ってきました。


▲久しぶりの日光浴。
撮影後はレースのカーテンをまた閉めています。


▲この日は日差しが強かったので、15分ほどで日光浴終了。
ベッドに戻りました。


ぐう吉のための工夫

前回、ぐう吉の視力について「失明」と書きました。しかし、現在も明るいところと暗いところで瞳孔の大きさが変わるので、多少の明暗は感じている可能性もあります。

この間、ぐう吉のためにできることがいくつかあるのもわかってきました。
ひとつは、外から戻った時のスキンシップ。今も撫でられるのは本意ではないのかも知れませんが(笑)人がそばにいるのを感じるのは、以前より好んでいるように見えます。

そう言えば、夜寝る時も、必ずニンゲンに触れていますし。反応を見ながら、接触していこうと思います。
もうひとつは、とにかくモノの配置を変えないこと。慣れたルートは余り物にぶつからないので、レイアウトを身体で覚えているのでしょう。せっかく覚えたレイアウトを変えては、混乱してしまいます。

例えば、階段の滑り止めマット。階段の滑り落ちが心配で、広範囲に貼ることも考えました。けれども、端だけに貼ったマットをガイドに歩いているため、変えない方がいいと判断しました。
また、引き出した椅子やワゴンなど、障害になるモノは必ず元に戻す。そんな気遣いも自然にするようになりました。

そして、日光浴をするようになったぐう吉のために、カーテンにも一工夫。一日中引いているレースのカーテンは開きにくく、元気な時からぐう吉の難敵でした。
そこで、クリップ2つを使って、一部開けたまま固定。これならお留守番の時も、出入りしやすいことでしょう。


▲クリップを使って、レースのカーテンに出入り口を作りました。


食事について

今とても助かっているのは、元々工夫してきたフードと水の配置。ぐう吉は食が細いことから、いつでも食べられるよう、目が見える時から、1階と2階に置き場を作っていました。
また、食べるのが下手で、食べこぼしも多いのも昔から。そのため、床を汚さず、毎日換えられるよう、布製のマットを敷いていたのです。これも、水とフードに激突しないための、ガイドになっています。


▲1階に置いたフードと水。お皿の下に布製のマットを敷いています。


▲2階に置いたフードと水、と、ぐう吉。
こちらも布製のマットを愛用。

ぐう吉のフードは、6歳で慢性腎不全とわかって以降、18歳になる今までず~~っと腎不全用のフードです。この12年間で、ずいぶん種類が増えました。しばらく食べると飽きて食べなくなったりするので、種類が増えたのはとてもありがたいですね。
飽きては何回か変えてきましたが、今は、以下の3種類のフードを動物病院から購入しています。

ロイヤルカナン 猫用 腎臓サポートセレクション 500g
https://www.royalcanin.co.jp/vets/product_cats/RENAL+SELECT/
ドクターズケア キドニーケア チキン味 480g
https://www.elancopet.jp/petowner/product/drs
ダイエティクス キドニーキープ ドライタイプ 2.1kg
https://jp-dietics.jp/product/cat02.php

どのフードも、腎臓をさらに悪くしないよう、リン、タンパク質、ナトリウムを制限しています。また、獣医師専用で動物病院でしか買えません。ただし、これはあくまでも建前で、Amazonなどのネット通販でも購入可能。ちなみにわが家は獣医さんから買っています。

ネット通販で購入しても正規で買うより破格に安いわけではないため、獣医さんから購入し、きちんとフォローを受けながら食べさせたいからです。
この3種類をひとつずつ密閉性の高い収納ケースに入れ、マスキングテープで名前とカロリーを記載しました。
朝は3種類の合計が30グラムになるのを目処に、小皿に取り分けています。


▲3種類のフード。湿気ないよう、密閉できる収納ケースに入れています。


猫は食事も気まぐれ

なぜ3種類のフードを準備しているかというと、かなり短いスパンで、飽きが生じるからです。1種類をあげ続けていると、すぐに飽きる上に、別の食事を気に入るとも限りません。そのため、比較的よく食べる3種類を、その時の気分に合わせてあげるようになりました。

できれば3種類を10グラムずつ30グラム、というのがシンプルでよいのですが、なかなかそうはいきません。ここ数日はキドニーケアが不人気。腎臓サポートセレクションとキドニーキープ ドライタイプを15グラムずつあげています。

ちなみにこれらのフードは、推奨される給与量より少なくても、体重は維持できます。ダイエティクス キドニーキープは7歳以上の猫の場合、体重4キロで55グラムが給与量の目安。4.8キロのぐう吉の場合、少なくともこの量が目安になります。

しかし、実際は3種類合わせて30グラム。これで体重が維持できています。食べない日が続く時は、口の中に指で押し込む強制給餌。嫌がればやりませんが、嫌がらないので、助かります。

子猫時代からお腹が弱く、フードは常に治療食でした。そのせいか、ドライタイプのフード以外、食べ物だと思っていないような…….。ニンゲンが食べる食べ物には、興味がないようです。

唯一の例外は、おかか。厳密に言えば、おかかにもナトリウムが入っているため、本当はあげたくありません。でも、出しておいたフードは時間が経つと風味が落ちるため、夜はこれを振らないと食べないことも多いのです。
また、ぐう吉は、目が見える時から、自分から食べに行かない割に、目の前にフードを置くと食べるおかしな傾向があります。「目の前に持ってきて」とじっとニンゲンの出方を待つことも。その都度少しずつフードを食べさせ、体重を維持しています。

また、腎不全でBUN(尿素窒素)の値があがると、食事が取れなくなる傾向があります。そうした時は、量は食べられないので、治療食にこだわらず、食べられるものをあげていいと思います。

治療食全般に言えるのですが、厳密さにこだわって、食べなくなっては元も子もありません。食べない場合は、食べないよりはましと割り切るのがうちのやり方です。おかかも振るし、場合によっては、治療食以外のフードもあり。よほど強い塩分のものでなければ、ある程度食欲を優先して考えます。
以前お世話になった獣医さん曰く、「猫は肉食獣で、いつ食事にありつけるかわからない動物。だから、飢えには強くできていて、それが災いして、すぐに食べなくなる子がいる」

猫の食事は気まぐれで、かつ繊細。一度食べなくなっても、ふとした拍子に食べ出す子もいます。
本当に猫の食は予測不能。だからこそ、できる工夫はしてやりたいと思うのです。

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