起動音、または初期データ

ここで起こることを君は理解しようと努めなくてはいけない。この世界で起こる様々の奇妙な出来事を、君はこれから普通のこととして感じるようにならなくてはいけないんだ。人は論法で働くものじゃない。だから君がこれからここでする仕事は、君の感性で行うものでなくてはならない。君の感性が、ここでの君の仕事量や評価に関わるものだということをよく覚えておくといいだろう。

例えばどんなことが起こるかって?
それは君がこれから素足でこの世界を歩きながら経験してほしい。だけど、そうだなあ。いくつかのことを教えておかないと君も混乱してしまうからね。例えば、そう、君の家の新しいカーペットの柄が変わっていたり、恋人が急に醜く見え始めたりする。それから冷蔵庫が君に語りかけたり、家への道のりを忘れてしまったりもするかもしれない。僕にも予想がつかないような出来事がいくつか君に降りかかることだろう。だけど、恐れることはない。それを十分に理解するように努めれば、世界は君を受け入れる。君が奇妙だと感じるいくつかのことも、そのことに首まで浸かってしまえばもう二度と、君が変だと思うことはなくなる。君が元いた世界で起きた、いろいろなことだって、こっちの世界から見たら随分奇妙なことだったりするんだ。

それからもう一つ。死を恐れることはない。何度だって、君はやり直せるんだ。
じゃあ、これが最後だ。君と、君のライバルの名前を教えてほしい。

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