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エルドレイン︰アクロス・ザ・レッドバース

1.告知~デッキ構築

赤単杯の開催が告知されたのが12月23日。
当初、私は最初参加するつもりは全くなかった。

だって赤でしょ?

赤みたいな単純で粗暴な色なんて、思考と静寂をモットーとする青使いからすれば、全然興味をそそられない。赤いカードなんてせいぜい紅蓮破とミンブーくらい使えればいいのだ。

だか、あるカードを思い出して話が変わる。

こ、こいつは…獣群の呼び声!

ずいぶん姿形が変わってしまったが、砕骨の巨人は獣群の呼び声の血を引いている。ミドルスクールでお世話になった相棒の子孫がいるなら参加せざるを得ない。

でも、エルドレイン環境のスタンの赤単が弱くて勝負にならないならどうしようもない。ぶっちゃけどうなの?と伊万里LINEでスタン勢に聞いてみた。

てつ「最近だとエルドレイン、テーロス辺りの赤単はクソ強かった。」「熱烈な勇者、義賊、アナックスor砕骨、トーブラン、エンバレス全部強いぞ」
ちくわ「アナックス+宝剣は自分の知るスタンの中で最強なのでそこベースに考えてしまう」「レッドキャップも取れるし、エルドレイン絡みが一番良さそう」

どうやらエルドレイン時代のデッキは十分やれそうだ。
というかまああの時代ってオーコとかウーロとかと戦ってた時代だしな・・・その時代の最強デッキではないかもしれんけどそら強いよな・・・ということで、調整チームでデッキを組んでみることにした。

・エンバレスレッド(ラヴニカのギルド+ラヴニカの献身+灯争大戦+基本セット2020+エルドレインの王権+テーロス還魂記+イコリア:巨獣の棲処)
【土地】22
4 《エンバレス城/Castle Embereth》
17 《山/Mountain》
1 《光輝の泉/Radiant Fountain》
【クリーチャー】23
4 《熱烈な勇者/Fervent Champion》
4 《義賊/Robber of the Rich》
4 《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス/Anax, Hardened in the Forge》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
3 《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》
【スペル】15
4 《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2 《ショック/Shock》
4 《舞台照らし/Light Up the Stage》
2 《影槍/Shadowspear》
3 《エンバレスの宝剣/Embercleave》
【サイド】
1 《猛火の斉射/Blazing Volley》
1 《影槍/Shadowspear》
4 《エンバレスの盾割り/Embereth Shieldbreaker》
2 《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
2 《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》
2 《発火の力線/Leyline of Combustion》
3 《アクロス戦争/The Akroan War》

叩き台は当時スタンをやってたてつくんが考えてきたデッキ(本人は9日は地元の別大会へ参加)。超強そう。てつくん曰く「ミラー以外は座ったら勝つ」。チームのガイくんも「SE上がれなかったら焼肉おごります」とノリノリである。
私も当初このデッキを使うつもりで12月にカードを注文した。

趣旨を考えると結構ぎりぎりのカード

2.デッキチューニング

雲行きが怪しくなったのは、正月休みでトモハッピーチャンネルの動画を見てから。

あれ・・・?最強と信じたエンバレスレッドが押されてる・・・?
ヤソ「このデッキねえ、除去が入ってないからねえ、キツいんよそいつ(暴れまわるフェロキドン)」

確かにそうなのである。小型ウィニー同士のアグロ対決において、試合を決定づけるのは聖剣の一撃では決してない。重要なのは軽量除去の質である。

スタンダード最強の聖剣

このエルドレイン期、私はスタンをやらないのですべて推測になるが、おそらく環境にオーコとウーロとオムナス、ついでに猫かまどやら恋煩いやら野獣やら食物トークンやらがいるせいで、赤単側に「最速で殺す」以外の選択肢が全く取れなかったのだろうと思う。そのせいで、細かい除去がはいっておらず、一方でエンバレスの宝剣(マナ軽減があるとはいえ6マナ、かつ伝説)が4枚という極端な構築になっている。コントロール相手にいったん劣勢になったらどっちみち負けなのだから、割り切った構築は合理的だ。

だが、オーコやウーロを殺すためには合理的でも、果たして赤単同士の殴り合いではどうだろうか?

エンバレスは確かにスタンダード最強のカードだろう。しかしこのカード、「アタックしているときのみのコンバットトリック」であり、「勝っている時だけ出せるフィニッシャー」である。3体で殴っていればエンバレスは3マナでキャストできるし、キャストできればそのまま勝てるかもしれない。でも、そもそもアグロ同士の戦いで3体で殴れるのならば、別にエンバレスがあろうがなかろうが勝ちなのではないか?

さらに影響が大きかったのは、1月5日の色対策カードのメイン禁止指定である。具体的に言えば、レッドキャップの乱闘が使えなくなった。これにより、ラブニカ~イコリア期では1マナ3点火力がなくなった。代替カードはショックか焦熱の竜火だが、前者ではアナックスが落とせず、後者はテンポ面で難がある。どちらもレッドキャップの代わりにはなり得ない。

地味だが、超強カード

これが決定打になり、霜噛みが存在するエルドレイン~ストリクスヘイブン期にデッキを移行させることにした。ただ、霜噛みにも欠点があり、相手のタフネス4以上のクリーチャーに触ることはできない。具体的には、トーブランやドラゴンを出された瞬間に戦況が固定化されてしまう。

しかし、4点や5点のダメージを出す火力は極端に重く、テンポ面で難がありすぎる。何か・・・何かないのだろうか?先手後手を強力に入れ替えることができるようなカード・・・エルドレイン~ストリクスヘイブンのカードリストを眺めていると、ハッと気づいた。

支配魔法、支配魔法じゃないか!

色々ごちゃごちゃ書いてあるが、要するにこれ、支配魔法である。ついでに十分なライフと時間さえあれば相手のクリーチャーは全滅する。書いてあることは結構めちゃくちゃである。
これほどのカードがスタンで(少なくともメインボードで)使われていないのは、やはり環境故だろう。相手がノンクリやコントロールであれば、確かにこのカードは何もしない。しかし、赤単杯はどうだろうか?

最大の仮想敵がミラーのエンバレスレッドとラムナプレッド。ノンクリやコントロールとあたる可能性は低い。当たったとしても、バーンは影槍を突破できないだろう。

であれば、4投OK。エンバレスに加え、クリーチャーが並んでいなければ十分な力を発揮しないトーブランを全部抜き、アクロス戦争4枚を投入して、デッキが完成した。

・アクロスレッド(エルドレインの王権+テーロス還魂記+イコリア:巨獣の棲処+基本セット2021+ゼンディカーの夜明け+カルドハイム+ストリクスヘイヴン:魔法学院)
【土地】24
1 《エンバレス城/Castle Embereth》
4 《不詳の安息地/Faceless Haven》
19 《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》
【クリーチャー】25
4 《熱烈な勇者/Fervent Champion》
4 《義賊/Robber of the Rich》
4 《リムロックの騎士/Rimrock Knight》
4 《エンバレスの盾割り/Embereth Shieldbreaker》
4 《鍛冶で鍛えられしアナックス/Anax, Hardened in the Forge》
1 《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
【スペル】11
4 《霜噛み/Frost Bite》
3 《影槍/Shadowspear》
4 《アクロス戦争/The Akroan War》
【サイド】15
4 《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
3 《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
3 《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》
1 《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon》
2 《エンバレスの宝剣/Embercleave》

※サイドに一部ミスあり

見た目は高速アグロのようであり、実際にそういう風に解説もされていたと思うが、想定していたデッキの狙い、勝ち方はそうではない。ひたすら1対2交換が取れるカードをぶつけ続けることで、リソース勝負に持ち込み、相手にガス欠を起こさせることにある。

年末年始のショップの休業で届かないかなーと思ったカードもなんとか1月8日に到着。ぎりぎりだったので、参加できただけで実質優勝だと思った。

3.大会当日

1R なごみんさん 
バーン(ゼンディカー・ブロック+ミラディンの傷跡ブロック+M11+M12期)

・1G
なごみんさんといえば黒単。まさかのシャドウムーア混成単色・・・?!と思ったがバーンだった。強そうなデッキだったが、こっちが影槍持ってたのは運がなかった。
・2G
ヴァルショクの難民と槌のコスでゴリゴリ削られたが、トップデッキでエンバレス城を引いて勝利。ラッキーだった。

結果 〇〇

2R ガイさん
・エンバレスレッド(ラヴニカのギルド+ラヴニカの献身+灯争大戦+基本セット2020+エルドレインの王権+テーロス還魂記+イコリア:巨獣の棲処)

・1G
伊万里勢のガイくんと。同じ調整チームだったのでお互いのデッキは熟知している。同じエルドレイン産なので、太さ比べではいい勝負である。
後手のガイくんが1マリながら1ターン目に熱烈な勇者、2ターン目に義賊と軽快に動いてくるのに対し、先手のこちらは2ターン目リムロックでブロックに入れないのが痛い。3ターン目にお互いアナックスを置いて・・・4ターン目にこちらがアクロス戦争。「クソゲー!!!」と叫びながらガイくん投了。まあアナックスサクってこっちにトークン4体出るからね。仕方ないね。

なんでこいつ他のクリーチャーで誘発するん???

・2G
こちら1マリでつらい上にマリガンで戻すカードもミスったが、ガイくんが土地3枚で止まったため、適当にごまかして殴り切ってGG。ラッキー!!!

結果 〇〇

3R シェリさん
・ウルドのオベリスク入りゴブリン(テーロス・ブロック+タルキール覇王譚ブロック+M15期?)

・1G
鋳造所通りの住人+軍族童の突発の爆発力にビビったが、実は熱烈な勇者が一生突破できないことに気づく。グダグダ除去してクリーチャー並べ続けて勝ち。

・2G
大体同じような展開でアクロス戦争が間に合って相手のクリーチャーが全滅して勝ち。

結果 ○○

4R くとぅるふさん
ID
「決勝でお会いしましょう!」とID。

ということで3-0-1で初の1位突破。

準決勝 ガイさん
・1G
2Rと同じガイくん。熱烈な勇者×2のビートが強く、ライフを詰められるが、最後はアクロス戦争+霜噛みが強く、ぎりぎりライフを残して勝ち。
・2G
後手なので義賊を抜き、エンバレスの盾割りに食われる影槍もメインから抜いて、除去をフル投入し、完全に長期戦の構え。途中で相手のアナックスをアクロス戦争でパクったらアクロス戦争でパクり返されるというわけのわからない盤面が発生したが、ライフを一足先に削り切って勝利。

結果 〇〇 初の決勝進出。

決勝 くとぅるふさん
デッキ:バーン(M10+M11+アラーラの断片ブロック+ゼンディカー・ブロック)

・1G
決勝はヴィンテ神経験者でもあるくとぅるふさんと(ヴィンテ鯖でも練習にお付き合いいただいたり、お世話になってます)。なんとなくだがくとぅるふさんはあんまりクリーチャーを信頼してなさそうな感じがするので、バーンっぽいデッキな気がしていた。
影槍があったのでキープするが、土地の3枚目が引き込めず。その後運よく3枚目の土地は来たが、燃え上がる憤怒の祭殿が設置され、そのあとも出したカードを片っ端から除去され続けるという負けパターンに。しかし、こちらもトークンが残ってたりとなんだかんだ嫌味が残る勝負形に。そんなこんなで最後やけっぱちで安息地に影槍つけて殴ったら、相手も除去が尽きていたらしく通って5点ライフゲイン。この5点が大きくお相手投了。
ちなみに私の手札が2枚ある状態で「エルドレイン側は何をモジモジしてるんだろう?」と思われるかもしれないが、手札が2枚とも霜噛みなので、単にキャストできないだけです。

・2G
霜噛みでモジモジしたのが嫌だったので、霜噛みとアクロス戦争減らして灰のフェニックスやトーブランといった肉をサイドからガン積み。
と思ったらゴブリンの先達が1ターン目から走ってくるが、砕骨の巨人が手札にあって間に合う形に。ゲームはクトゥルフさんの土地が2枚で止まったのが致命的で、ひたすら肉を叩きつけ続けて勝利。

結果 〇〇

ということで優勝でした。カードが届いて参加できたから実質優勝だと思ってたら、実際優勝できたのでびっくり。

ちなみにエンバレスの宝剣は一度もキャストしませんでした。聖剣は多元宇宙の真の悪、すなわちファイレクシアやボーラスやエルドラージやオーコやウーロと戦うために抜くべきであって、そこらへんのゴブリンやならずものを相手にする限りには必要ないと思います。

まさか添削さん主催の大会の中で、初の戴冠が赤単杯とは思いませんでしたが、赤は情熱と勇気の色ですからね、私にぴったりということでしょう。青みたいなジメジメした陰キャカラーはポイーです。
これからは30年間赤を握ってきた赤単職人のGwendlynとして生きていきたいと思います。

皆様良い一年を!

それでは大会を開催頂いた添削さん、運営の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。今年も良い一年を!


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