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『Forgotten Fragments』ドーパミンを解き放つ、究極のパズル体験【受賞者ドキュメンタリー第7弾】

■ Pol Monforte(右)
バルセロナ出身。4歳の時にファミコンを贈られてから、ゲームの世界にのめり込む。大学で情報科学の学位を取った後、ソフトウェアの開発などを経て、現在はアプリゲーム開発会社に勤務。
その傍ら、自らもインディーゲームの制作を進め、Marcと共同開発したForgotten Fragmentsで第1回GYAAR Studioインディーゲームコンテスト(以下、GYAARCon)の入賞を果たす。現在はMarcと共にスタジオBinary Phoenixを起ち上げ、更なるゲームの開発を計画している。

■Marc Pons(左)
バルセロナ出身の2Dアーティスト。子供の頃、はじめてメガドライブを贈られてから、ゲームを続ける。長年、モバイルゲームの会社に勤め、様々なゲームのアートデザインに携わっていた。
本業の傍ら、Polと共にインディーゲームの開発を進める。Binary Phoenixの記念すべき第1作目となるForgotten Fragmentsでは、アートデザインのみでなく、ゲームの世界観やキャラクターなどのクリエイティブ面を担当している。

骨太なパズルアクションと美しいピクセルアートが融合した「Forgotten Fragments」は、パズルの要素が重要なカギとなる2Dパズルアドベンチャーゲームだ。シンプルなドット絵ながらこだわりのアートデザインと、重厚な世界観が魅力の1つとなっている。
「忘れられた記憶の欠片」を取り戻す冒険に旅立つプレイヤーは、記憶を失った少女「イーニッド」を操作する1人用プレイのほかに、仲間と協力して「ライダー」と「ダヤン」というキャラを操作するマルチプレイモードも楽しめる。難易度の異なる数百のステージで校正された本作は、スペインのバルセロナにスタジオを構えるBinary Phoenixの処女作で、第1回GYAAR Studioインディーゲームコンテストの入賞を遂げた。
今回は、Binary Phoenixの設立者であり、本作の開発を手掛けたPol氏とMarc氏に、ゲーム開発のきっかけ、バルセロナのゲーム事情、そして今後の展望などを伺った。

──よろしくお願いします。まず、お2人がゲームの道に進まれたきっかけをお伺いしたいと思います。ゲームとの出会いはどのようなものでしたか?

🔸Pol:4歳の時にバルセロナから山の方の村に引っ越して、その時に親が「田舎に引っ越して可哀想に!」って感じで、ファミコン本体と「スーパーマリオブラザーズ」の1、2、3のカセットを一緒にプレゼントしてくれたんです。中古で全部セットになってるやつで。それが最初に遊んだゲームでした。

🔹Marc:私の場合は、5歳の時に「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と一緒にメガドライブをプレゼントしてもらったのが最初のゲームです。そこから新しいゲームを買ってもらうまで、ずっと「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」で遊んでいました。その後、母にレジェスの贈り物にドラゴンボールのソフトを頼んだんですけど、母はゲームがよく分かってなくて、頼んだのと全然違うものをプレゼントされました。「欲しかったやつでしょ?」って。

※スペインでは、1月6日の公現祭の日をレジェス・マゴスの日と呼ぶ。この日に子供たちはプレゼントをもらう。

──ファミコンとメガドライブの違いはありますが、お2人ともゲームを始めたきっかけは似ていますね。そこからどのような経緯で、インディーゲームの開発に至ったんですか?

🔸Pol:もともと、コンピューター関連の仕事に就こうと思っていましたが、それと同時に、ゲームをすることも大好きだったので、そっちの方面に進もうと考えました。
でも、私の時代にはまだビデオゲームの専門課程がなかったので、大学ではソフトウェア工学を専攻しました。大学では2つだけビデオゲームに関する講義があって、それは本当に好きだったんですけど、ビデオゲームで学位を取ることはできなかったんです。
大学を出た後、ウェブ開発の仕事を始めたんですが、会社で大規模レイオフがあって、少し退職金が出たので、「じゃあ今からゲームを作ってみようか」と。その後、ゲーム開発の会社に再就職してフルタイムで仕事を始めましたが、その傍らインディーゲームの開発を続けていました。

🔹Marc:私の場合、高校で進路を決めなくてはいけない時期になって、自分はゲームが好きだったんですけど、その道に進むにはどうすればいいのか分からなかったんです。だから最初はプログラミングをやろうとしました。当時は、ゲームを作るにはコンピューター全般の知識が必要だと言われたので。
でも全然好きになれなくて、本当は絵を描くことを専門にしたかったんですけど、周りからも、絵は趣味にして、将来性のある仕事に就いたほうが良いと言われたこともあって、いろいろ回り道をしました。グラフィックデザイン、アニメーション、最終的にはコンセプトアートを手掛けて、そこから今の状態になったという感じですね。
でもその背景には、「自分の道を見つけなくては」というプロセスがあったように思います。そして最終的に、一番初めに考えていた通り、ビデオゲームを作ることになりました。

──小さい時から絵を描くことに興味があったのですか?

🔹Marc:カタルーニャではスペインのほかの地方に先駆けて、ドラゴンボールが大流行してたんです。もともとフランスが放映権を持っていて、フランス語で放送していたので、カタルーニャ語にも吹き替えしやすかったんですね。
それで90年代くらいに子供たちの間で、誰かがドラゴンボールのオリジナルの絵を手に入れると、それをコピーして友達みんなに配るっていう、ちょっと変わったブームがあったんです。その白黒のコピーを模写したのが絵を描き始めたきっかけです。

🔸Pol:小学校の時にすごく絵が上手なクラスメイトがいて、いつも他のページから抜き出したドラゴンボールの絵を描いてくれていたのを思い出しました。私の地元でも同じですね。

──お2人は小さい時からの友達だったのですか?

🔸Pol:いえ、違います。
知り合ったのはインディーゲームがきっかけだったよね?

🔹Marc:うん。
スペインには「Stratos」という、ゲームに関する仕事とか、インディーゲームのプロジェクトに協力してくれる人を募集をするサイトがあって、そこで同じプロジェクトに携わったのがきっかけです。そこで知り合いました。

🔸Pol:そのプロジェクト自体は取りやめになったので、私たち2人でゼロからゲームを作ることにしたんです。

──そこからお2人でインディーゲームの開発を続けようと思ったのはなぜでしょうか?また、お2人のチーム内での作業分担なども教えてください。

🔸Pol:まずリソースがあったのと、2人だけのチームだと、プロジェクトを始めるのが簡単だということもありました。ゲームの方向性やその変更など、自分たちですべて自由に決められるところは大きなメリットです。それに趣味としてやりたいならタダで始められますし。
作業分担については、私はゲームのステージのレベル設定、障害物をどこに置くかなど、プログラミングとゲームデザインを担当しています。

🔹Marc:私はアーティストなので、ゲームのアートに関する部分をすべて担当しています。ゲーム内のアートワークはもちろん、脇役のコンセプトアートなども作成します。それから必要があればWebsiteやSNSのグラフィックデザインやアニメーションも担当してますね。でもアニメーションは専門じゃないので、もっと詳しい人に頼みたいと思って、最近は外注しています。

🔸Pol:それ以外にも、効果音やBGM、アニメーションのサポート、のような部分は、他のフリーランスの方にお願いしています。その時々に必要なものだけをピンポイントで依頼していますね。
ゲームの内容で言えば、クリエイティブな部分はほとんどMarcがアイディアを出してくれて、私はそのアイディアを聞いて、「これは好き」「これはあんまり好きじゃない」って意見を言う感じです。全部お互いに話し合って決めています。

🔹Marc:「よし、じゃあ何をする?」「どうしたい?」って言う所から始まって、ゲーム動作のメカニクスしか分からなかったんですが、そこから「これは使えるかも、Polはどう思う?」みたいな感じで、少しずつ積み上げていきました。

──そうやって、お2人で構築した世界観が、「Forgotten Fragments」になったんですね。本作は特にパズルとアドベンチャーの融合が魅力ですが、最終的になぜこの形にしようと思ったのですか?

🔸Pol:もともと、「Super Meat Boy(※)」や「Celeste(※)」みたいなプラットフォームのゲームがとても好きだったことが影響していますね。プラットフォームの要素とパズルが混ざっているものです。それに加えて、私は友達と一緒にゲームをするのが好きなので、マルチプレイ要素も重要だと思っています。
だから「Forgotten Fragments」では1人用と2人用のプレイモードを作りました。片方は「Super Meat Boy」をベースにしたもので、もう1つは2人でパズルを解いていくものです。「Portal 2(※)」の協力プレイモードみたいな感じですね。

🔹Marc:このゲームを作ったのは、ボールをキャッチしてゴールに入れるというメインのメカニクスを私たちが一番気に入っていて、それが一番うまく機能したということもあります。ゲームをうまく動かすには、まずシンプルな方法が良いと思ったんです。私たちにとっても、制作に長く時間を費やすものではないほうが良いと思いました。

※Super Meat Boy
http://www.supermeatboy.com/

※Celeste
https://celestegame.jp/

※Portal 2
https://www.thinkwithportals.com/

🔸Pol:長い事、副業としてゲームの制作を続けているし、今はプロとしても仕事をしていますが、それでも別の仕事と両立させながら、1日8時間も9時間も作業をするのは難しいですから。

──現在おふたりは、フルタイムの仕事をしながら、Binary Phoenixとしてゲームの開発も進めておられますが、どうやって仕事と両立させているんですか?

🔹Marc:私の場合、在宅ワークなのである程度の自由が利きます。それで余った時間をゲームの制作に充てています。

🔸Pol:前の仕事では、私も在宅で同じような状況でしたが、今は週に何日かオフィスに出社しないといけないので、帰宅してから、その日に確保できた時間でゲーム制作をしています。日によって多かったり少なかったり。場合によっては週末に作業をしたりです。

──毎日、時間を作るために、どんな努力をしていますか?

🔸Pol:何よりもモチベーションを保つことが大事ですね。それと、プロジェクトを終わらせたい、ベストを尽くしたいという気持ちです。

──お2人は創作活動を行う際、どのようなものからインスピレーションを得ていますか?

🔹Marc:ゲームかな。

🔸Pol:そうだね、ゲームだね。

🔹Marc:結局のところ、私たちは2人とも、これまでずっとゲームで遊んできましたから。
私の場合、ロールプレイングゲームやシミュレーションロールプレイングゲーム、ターン性のロールプレイングゲームが好きで、よくプレイしてますね。今やってるゲームは「ワイルドアームズ」っていう90年代のゲームです。

🔸Pol:私の場合、新しいゲームメカニクスを探求するためにためにも、シューティングとか、ターン制ストラテジー、リアルタイム、プラットフォームなど、いろんなジャンルをプレイします。でも今は「大乱闘スマッシュブラザーズ」を一番よくプレイしています。いろんなゲームをプレイしても、結局、古典に戻るんですよ。

🔹Marc:私も1年半か2年おきくらいに、お気に入りのゲームを再プレイしますね。「ファイナルファンタジー9」とか。いつもは1度クリアすると、滅多に再プレイしないんですけど。

🔸Pol:私も「ゼルダの伝説  時のオカリナ」は、何度もプレイしましたね。

🔹Marc:「ゼルダの伝説 時のオカリナ」は、ちょっと特殊なケースなんですよ。当時、子供たちは全然英語が分からないのに、スペインで最初公開されたのは英語版だけだったんです。それで、ソフトと一緒にスペイン語のマニュアル本が付いてきて、子供たちはそのマニュアルを見ながらゲームで遊んでたんです。

🔸Pol:それで英語がかなり上達しました。

──今回、「Forgotten Fragments」の開発で、印象深かったことはありますか?

🔹Marc:今回のプロジェクトでは、私たちは開発過程で様々なことを学び、より良い方法を見つけて実践してきたことで、少しずつ成長できたように思います。なので、開発を始める一番初めの日と今をくらべることで、その過程で学んできたことが分かるのではないかと思います。

🔸Pol:最初のゲームのデモと比べても、全然違っていると思います。(※参照リンク)
私たちは、アートやレベルデザインを勉強してきましたし、自分たちの経験や長年プレイした様々なゲームからも、多くのことを学んできたと思います。「Forgotten Fragments」も、アートの部分を見ると、以前のものと全く変わっていますよね。私たちと共に進化したという感じですね。

──「Forgotten Fragments」は、お2人のこれまでの集大成とも言えますね。では逆に、ゲーム作りで苦労していることなどがあれば、教えていただけますか?

🔹Marc:お金と、それから時間です。お金があれば時間は出来る。でも、お金を稼ぐには時間を使わなくてはいけない。

──それでは、第1回GYAARConで入賞して支援金を獲得したことで、ずいぶん状況にも変化があったんではないでしょうか。そもそもお2人はどうやってGYAARConへ応募することになったんですか?もともと日本を視野に入れていたとか?

🔹Marc:実はそうでもなかったんです。前の仕事でチーム全員が解雇されて、しばらく仕事がなかったから、LinkedInなんかの求人ページを見て企業の情報を探してたんです。その時に、バンダイナムコのGYAARConの募集を見つけて、挑戦してみようと思いました。それでPolに、「どう思う?君がいいと思うなら応募してみよう」って声をかけたんです。

🔸Pol:いつもこんな感じなんです。目に付いたスペイン国内やヨーロッパのコンテスト全てに応募していて、デモやトレイラーは十分に準備があったから、じゃあGYAARConにも送ってみようか、って。

──GYAARConに応募したのは、ある意味予期せぬ出来事だったんですね。当初は日本を対象にしていなかったとのことですが、応募の際に大変だったことはありましたか?

🔸Pol:大変だったことはありません。とてもスムーズでした。
スペイン国内で開催されるコンテストやプロモーション、ゲームショウなんかは、プラットフォームがきちんと準備されていないことが多いので、それと比べるととても簡単に応募手続きができました。GYAARConはプラットフォームも整備されて使いやすく、募集要項もノーマルなものでしたし、一度、応募した後も応募書類やゲームデータの差し替えが可能なので、それも良かったですね。
応募の準備にかかったのは10分くらいかな?フォーマットに記入して、デモとトレイラーを添付して、それで完了でした。
私は元々、いつでもゲームの最新版を紹介できる状態にしておきたいタイプだったので、デモの準備は万端だったんです。特にコロナ禍からは、全てのものがオンライン対応になっていたので、あらゆるタイプのコントローラーでうまく動作するようにデモを準備していましたから。

──GYAARCon受賞後、「Forgotten Fragments」の開発に何か変化はありましたか?

🔸Pol:一番大きな変化があったのは「やりたいことリスト」に着手できたことですね。
例えば、プロモーション用の凝ったアートのイラストとか、プロジェクトの中で実現したいけど、お金もかかるしそこまで重要でもない項目は、これまで後回しにしていたんですが、受賞後は支援金のおかげでそう言った夢も実現できるようになりました。物事の優先順位は変わりましたね。

🔹Marc:受賞する前は、「長年かけてやってきたんだから、とにかく最後まで終わらせよう。これ以上大金をかけるのはやめておこう」という意識で、ゲームを完成させてリリースしてお終いだと思っていました。でもGYAARConを受賞した後は、支援してくれるバンダイナムコの後ろ盾もあって、状況は大きく変わりました。お金の余裕やバンダイナムコスタジオのサポートなどがあったおかげで時間にも余裕ができたので、ゲームのアートを一から描き直しましたし、そのためのモチベーションも保つことができました。今では将来について、もっと明確なビジョンを持つようになっています。

🔸Pol:会社を興すこともできたしね。以前は法人化していなかったんですが、今では会社を起ち上げて、ゲームを販売することもできるようになりました。
支援金を利用して、ひとまず完成としていた部分を改良したりもしました。だから、進歩と言う点ではかなり進みましたね。いろいろなことをやりたいので、ゲームも一気に大きくなりました。モチベーションにブーストがかかった感じです。

──GYAARConの受賞をきっかけに、ゲーム開発の選択肢が広がったんですね。また、GYAARConは支援金だけでなく、様々なサポートも魅力の1つですが、お2人にとって、GYAAR Studioのサポートは役に立ちましたか?

🔸Pol:そうですね、GYAAR Studioではたくさんのサポートを提供していますが、私たちのプロジェクトは、かなり完成していたので……多分、私たちは他の参加者よりも、ちょっと年上なのかな?それに、日々の仕事でゲーム開発の経験を積んでいたので、あまり使っていないサポートもあります。
例えばプログラミングやアートのサポートなんかは、ほぼ使用しておりませんでした。その一方で、プレイテストは非常に役に立ちました。バージョンアップした最新のデモを提出して、改良する点があるかどうか、いつもチェックしてもらっています。

──スペインと日本という距離はありますが、他の受賞者やクリエイターとの交流について、印象を聞かせてください。

🔸Pol:やはりオンラインでは、あまり深く交流できていませんね。ドイツのgamescomに参加したときに、韓国の受賞者(The Devil Within: SatgatのNewcore Gamesの皆さん)と知り合えたんですが、それ以外だと、他の受賞者のデモをプレイして、フィードバックを残すくらいで、すべてオンラインのコミュニケーションです。

🔹Marc:GYAARConの受賞者専用Slackがありますが、だいたい日本語なので、あまり活用できていないですね。日本語を英語にして、それに私たちが英語で返事をして、また日本語に訳して……というのがネックになっているみたいです。

🔸Pol:いちいち翻訳する必要があるので、あまり活発に交流できていないです。何が悪いということでもないんですけど、言語の壁はあります。

──文字のやり取りだけでは、コミュニケーションも制限されてしまうかもしれませんね。やはり、直接顔を合わせた方が分かることも多いのかもしれません。ところで、東京ゲームショウ2023や、ドイツのgamescomに「Forgotten Fragments」を出展されたと伺いましたが、手ごたえはどうでしたか?

🔸Pol:それが……東京ゲームショウ2023の結果はよく分からなかったんです。
デモの中にプレイヤーの動きを記録するトラッキングシステムを入れているんですが、東京ゲームショウの前にバージョンアップした後、作動させるのを忘れていて。だからその日どのくらいの人がどこまでプレイしたのかなどのデータが取れなかったんです。
GYAARCon担当者の方がゲームをプレイしている人の映像を送ってくれて、Steamのウィッシュリストの登録者も増えたので、東京ゲームショウからゲームに興味を持ってくれた人は増えていると思うんですが、やっぱり直接プレイしている人を見ないと分からないことも多いですよね。
データが取れていたとしても、数字だけではプレイヤーのリアクションも分からないですから。だから、gamescomに参加できたのは良かったです。自分が作ったゲームを誰かがプレイして、楽しんでいるのを見るのはとても心が満たされる経験です。

──受賞者として、バンダイナムコスタジオにリクエストや提案はありますか?

🔸Pol:スペインではインディーゲームのための大規模なイベントやコンテストがないので、もしバンダイナムコが大きなコンベンションにスペースを持っていたら素晴らしいでしょうね。また、スペインでもGYAARConのような、小規模インディーゲームスタジオをサポートする取り組みがさらに増えてほしいと思っています。そうすることによって、いいアイデアを持っていてもリソースが足りない、といったような多くのインディーゲームデベロッパーが輝けるようになると思います。

──もし、次の企画があれば教えていただけますか?

🔹Marc:まだ具体的にしなくてはいけない部分はあるけど、アイディアはすでにあります。パズルの要素は残すとして、私たちは2人ともアドベンチャーゲームも好きなので、次回はよりアドベンチャー要素を強化したゲームを作ろうと考えています。ただし、そのゲームも「Forgotten Fragments」の世界観を継承する予定です。

🔸Pol:違うジャンルのゲームになるかと思います。パズルの選択肢が増えることになるかな。
私は特に、問題があって、どうやって解決するかを考えて、いろいろ試して、それで「できた!」という瞬間が好きなんです。ドーパミンが出るので。どんなパズルかわからないけど、はじめは解答が分からないくらい難しいものが良いですね。

🔹Marc:実は「レイトン教授」シリーズみたいなスタイルのパズルもとても好きなんです。でも、あれは全然違うゲームですよね。だから、よりアドベンチャーゲームに近い形で変換できるものなら、何でも試してみたいと思っています。

──最後に、今後GYAARConに応募を考えている方に、メッセージをお願いします。

🔸Pol:是非とも応募してください!私はドイツのgamescomでも「この賞のおかげでここにいるんだよ」って全員に説明してましたけど、とにかくやってみて!と言いたいです。応募するだけなら、何も損はないんですから。それでもし受賞できたら、イベントへの出展サポートや、経済的なサポートもあるし、完成したゲームを発表するチャンスにも恵まれます。だからやらない理由がありません。
少しでも良いと思う企画があれば、ぜひ挑戦してほしいと思っています。もし今回受賞できなかったとしても、また別のチャンスがあるかもしれません。それまでにゲームをさらに改良して、そしたら今度は受賞できるかもしれないですし。

🔹Marc:それにバンダイナムコスタジオは、最近SupercellとGYAARConにおいて支援協力関係を結んだんです。私たちの直近のプレイテストでは、Supercellのゲームデザイナーからフィードバックが来ました。彼らのフィードバックは、日本からもらったものとは大きく異なる視点のものだったので、それもとても良い経験でした。
バンダイナムコスタジオは様々な企業とコネクションを持っているので、自分の作品を改善するのに、とても良い助けになると思います。

──チャレンジするのに、失うものは何もない。もし入賞できたら大きなステップアップになる。Binary Phoenixのお2人も、GYAARCon入賞をきっかけに会社を興し、キャリアに大きな変化がありました。今後のお2人の活躍を楽しみにしています。貴重なお話をありがとうございました。

▼作品紹介:Forgotten Fragments
骨太なパズルアクション×美しいピクセルアートが特徴の、2Dパズルプラットフォーマー!
プレイヤーは記憶を失った少女「イーニッド」となり、「忘れられた記憶の欠片」を取り戻す冒険に旅立ちます。
マジカルスフィアの力を駆使してステージを攻略。
1人プレイ以外にローカルでの協力プレイもあり、難易度の異なる何百ものステージを楽しめます。

Forgotten Fragments | GYAAR Studio インディーゲームコンテスト (bandainamcostudios.com)

Steamストア:Forgotten Fragments

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