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FIGO staging of endometrial cancer: 2023

原著:https://www.figo.org/news/figo-staging-endometrial-cancer-2023

子宮内膜癌のFIGOステージングが改定され、驚くべき内容となっています。
今までのステージングは腫瘍の「広がり」のみ判断するものでしたが、今回の改定から「組織型」も考慮に入るようになりました。

かつ、ProMisEで提唱された分子分類が組み込まれ、この検査が強く推奨されていきます。

特にI、II期の分類は全く異なっています。
・Non-aggressive histological type(Endometrioid G1,2)
・aggressive histological type(G3,漿液性がん、明細胞がん、中腎様がん、胃型腺がん、未分化がん、およびがん肉腫)
かどうかが重要で、
分子分類を調べた場合はPOLEmutはIAp53abnはIICに強制的に分類されます。(分子分類の検査前I,II期に限ります。III期以上はステージ変わりません。)

波乱を呼びそうな改定ですが、果たして浸透していくのでしょうか・・・

2023 FIGO staging of cancer of the endometrium(a,b)

I期 子宮体部と卵巣に病変が限局(c)しているもの

IA 病変が子宮内膜に限局している 。もしくはnon-aggressive histological typeで、子宮筋層への浸潤が半分未満、 LVSIが無いか限局している もしくは予後良好な疾患

IA1 子宮内膜ポリープor子宮内膜に限局したNon-aggressive histological type
IA2 浸潤が半分未満かつLVSIが無いか限局したNon-aggressive histological type
IA3 子宮および卵巣に限局したLow-grade endometrioid carcinomas(c)

IB 筋層浸潤が半分以上かつLVSIが無いか限局した、Non-aggressive histological type(d)

IC ポリープor子宮内膜に限局したAggressive histological types (e)

II期

子宮外進展を伴わない子宮頸部間質への浸潤 、もしくは多くのLVSIを伴うもの 、もしくは子宮筋層への浸潤を伴うaggressive histological type(e)

IIA Non-aggressive histological type, 子宮頸部間質への浸潤を伴うもの

IIB Non-aggressive histological type, 多くのLVSI(d )を持つもの

IIC aggressive histological type,子宮筋層への浸潤を伴うもの(e)


III期 組織型を問わず、腫瘍の局所および/または領域への転移

IIIA 子宮漿膜、付属器、またはその両方への直接進展または転移による浸潤

 IIIA1 卵巣または卵管への転移(IA3期の基準を満たす場合を除く(c)

 IIIA2 子宮漿膜下層への浸潤または子宮漿膜を介した転移

IIIB 膣および/または傍子宮組織または骨盤腹膜への転移または直接的拡がり

 IIIB1 膣および/または腹膜への転移または直接的拡がり

 IIIB2 骨盤腹膜への転移

IIIC 骨盤リンパ節または傍大動脈リンパ節への転移またはその両方(f)

 IIIC1 骨盤リンパ節への転移

   IIIC1i micrometastasis

   IIIC1ii macrometastasis

 IIIC2 骨盤リンパ節への転移の有無にかかわらず、腎血管までの傍大動脈リンパ節への転移

   IIIC2i Micrometastasis

   IIIC2ii macrometastasis

IV期 膀胱粘膜および/または腸粘膜への転移および/または遠隔転移

IVA 膀胱粘膜および/または腸・膀胱粘膜への浸潤

IVB 骨盤を超える腹膜転移

IVC 遠隔転移

【注釈】


a,子宮内膜癌は外科的に病期分類され、病理学的に検索される。すべての病期において、病変の悪性度、組織型、LVSIを記録しなければならない。可能であれば、molecular classification(POLEmut、MMRd、NSMP、p53abn)が、予後リスクグループの層別化のために、また術後補助療法や全身療法の決定に影響を与える因子として、すべての子宮内膜癌患者に推奨される。

b, 早期子宮内膜癌では、標準的な手術は、低侵襲の腹腔鏡アプローチによる両側卵管卵巣摘出術を伴う子宮全摘術である。漿液性癌や、未分化癌は癌肉腫と同様に大網への顕微鏡学的な転移のリスクが高いので病期決定には大網部分切除が行われる。リンパ節の病期分類は、中/中高リスク患者で行うべきである。センチネルリンパ節(SLN)生検は、病期分類のための系統的リンパ節切除術に代わる適切な方法である。SLN生検は、潜伏リンパ節転移を除外し、真に子宮に限局した病期かを同定するために、低/低中等度リスクの患者にも考慮できる。したがって、ESGO-ESTRO-ESPガイドラインは、すべての子宮内膜癌患者においてSLNのアプローチを認めており、これはFIGOによって支持されている。早期の子宮内膜癌を想定した場合、SLN生検はリンパ節病期分類の目的で、高中等度および高リスク症例では組織的リンパ節切除の適切な代替となり、低/中リスク症例では潜伏リンパ節転移を除外するために考慮することもできる。SLN生検は、リンパ節内の低容積病変の検出を増加させるため、徹底的な(ultrastaging)stagingと関連して行われるべきである。

c, 子宮内膜と卵巣の両方に浸潤した低悪性度EECは予後が良好であると考えられ、以下の基準をすべて満たす場合は術後補助療法は推奨されない。
子宮内膜と卵巣に浸潤する低悪性度子宮内膜がん(IA3期)に限定された疾患は、以下の基準により、子宮内膜がんの卵巣への広範な転移(IIIA1期)と区別されなければならない:

(1) 表在性子宮筋層浸潤を超えないこと(50%未満)

(2) LVSIが少ないこと

(3) 他の転移がないこと

(4) 卵巣腫瘍は片側性で卵巣に限局しており、被膜浸潤/破裂がないこと(pT1aに相当)。

d, WHO2021で定義されたLVSI, extensive/substantial,5本以上の脈管が侵されている。

e, グレードと組織型
漿液性がん、明細胞がん、中腎様がん、胃型腺がん、未分化がん、およびがん肉腫は、定義により高悪性度とみなされる。EECの場合、悪性度は固形領域の割合に基づく:低悪性度=悪性度1(5%以下)および悪性度2(6%~50%);高悪性度=悪性度3(50%以上)。悪性度に対して過剰な核異型は、悪性度1または2の腫瘍の悪性度を1上げる。低悪性度の腫瘍に異常な核異型が存在する場合は、p53の評価を促し、漿液性がんを考慮すべきである。扁平上皮仮性を伴う腺がんは、腺成分の顕微鏡的特徴に従って悪性度が分類される。Non-aggressive histological typesは低悪性度(悪性度1および2)のEECで構成される。進行性の組織型は、高悪性度EEC(悪性度3)、漿液性がん、透明細胞がん、未分化がん、混合がん、中腎様がん、消化管粘液型がん、およびがん肉腫で構成される。

・高悪性度EEC(悪性度3)は、予後的にも、臨床的にも、分子学的にも不均一な疾患であり、予後の改善や治療方針の決定のために分子分類を適用することで最も恩恵を受ける腫瘍タイプであることに留意すべきである。分子分類がなければ、高悪性度EECをリスクグループに適切に割り当てることができないため、これらの患者では特に分子プロファイリングが推奨される。実用的な目的のため、また患者の過少治療を避けるため、分子分類が不明な場合、高悪性度EECは実際のFIGO分類における侵攻性組織型と一緒にグループ分けされた。

f, 微小転移は転移性病変(pN1(mi))と考えられる。孤立性腫瘍細胞(ITC)の予後的意義は不明である。ITCの存在は記録されるべきであり、pN0(i+)とみなされる。TNM8によると、巨大転移は2mmを超える大きさ、微小転移は0.2~2mmおよび/または200個を超える細胞、孤立性腫瘍細胞は0.2mm以上かつ200個以下の細胞である33。AJCC Cancer Staging Manual。第8版。New York: Springer, 2017.


FIGO endometrial cancer stage with molecular classification(a)

Stage IA mPOLEmut       
LVSIの程度や組織型に関係なく、子宮に限局しているか子宮頸部への進展があるPOLEmut子宮内膜がん(I,II期に限る)

Stage IIC mp53abn
子宮筋層への浸潤の程度、子宮頸部への浸潤の有無、LVSIの程度や組織型に関わらず、子宮内膜癌でp53abnのもの(I,II期に限る)

【注釈】


a, 可能であれば、病期分類の基準に分子分類を加えることで、病期分類と予後予測のスキームにおいて、より良い予後予測が可能となる。子宮内膜癌の全症例において、予後リスクグループの層別化、および術後補助療法や全身療法の決定に影響を与える可能性のある因子として、完全な分子分類(POLEmut、MMRd、NSMP、p53abn)を行うことが推奨される。分子分類は生検で行うことができ、その場合は子宮摘出標本で繰り返す必要はない。

・予後良好: POLEmut

・予後中間: MMRd/NSMP

・予後不良: p53abn

・FIGO stage IとIIは、外科的/解剖学的所見と組織学的所見に基づいている。分子分類でPOLEmutまたはp53abnの状態が明らかになった場合、FIGO stageはearly stageの中で変更される。この場合、FIGO 分類では分子分類に "m "を加え、POLEmut または p53abnの状態を示す添え字をつけることで、以下のように表現される。MMRdまたはNSMPの状態は初期のFIGO病期を変更しないが、これらの分子分類はデータ収集の目的で記録されるべきである。分子分類でMMRdまたはNSMPが判明した場合は、StageI mMMRdまたはStage I mNSMP、Stage II mMMRdまたはStage IImNSMPとして記録する。

・FIGOのIII期とIV期は、外科的/解剖学的所見に基づく。分子分類によって病期分類が変更されることはないが、分子分類が判明している場合は記録する。分子分類が判明している場合は、データ収集の目的に応じて適切な添え字を付けて、IIIm期またはIVm期と記録する。

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