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100大事業の外部点検!(行イノ#11)

 市税など一般財源を多く活用する上位100事業(以下、100大事業)について、事業評価の一環として、分析や自己点検を進めています。その内容は、「横浜市役所100大事業(行イノ#2)」や、「100事業を自己分析(行イノ#5)」で紹介してきました。これらの分析・自己点検結果を踏まえて、各事業の所管部署による主体的な改善に取り組んでいます。
 主体的改善について、別角度からの点検結果をもとに、新たな「気づき」を生み出し、更なる改善へとつなげていけるように、EY新日本有限責任監査法人(以下、EY)に「100大事業の外部視点による点検」を行っていただきました。その結果をまとめた点検報告書を公表しましたが、公表にあたり、EYのみなさんに突撃インタビューしましたので、紹介します❗
読み応えありますよ😀😊😋
(写真 EYのみなさんは手前テーブル左側及びオンライン参加のみなさんです)

率直な感想

外部視点による点検、ありがとうございました😀❗初の試みであり、私たちも手探り状態でしたが、実際に点検されたEYのみなさんは、アウェイな立場であり、本当に大変だったと思います。まずは、点検を行ったことに対する率直な感想をお聞かせください❗

  • 普段意識することは少なかったですが、本当にいろいろな事業を実施して市民を支えていると思いました。

  • 幅広に各政策・施策を担当することから、どうしても深いところまでの理解ができない状況での点検となりました。疑問点について担当者のみなさんからの話を聞くと、お話いただいた事情は、果たして本当にどうしようもないことなのか、調査等から想定していた“普通”との乖離に悩むことが多かったです。外部からの視点の良さでもあり、難しいところだと感じました。

  • 横浜市ならではの状況や現場の課題感をどこまで考慮するのかというところが難しかったです。外部視点での点検は、一歩引いたところから、客観的な評価が求められます。一方、事業内容を適切に理解することも必要で、それをするために現場の課題感をお聞きすると、「やむを得ない」と思えるところも出てきてしまいました。コメントをする際に、客観性と現場感のバランスについて考えながらの点検でした。

  • 外部評価ではなく、外部視点による点検のアドバイザリー業務として参加したため、行政マネジメント課のみなさんと密に議論しながら分析を深めることができ、私自身、非常に勉強になりました。みなさんの熱意により、いい加減な仕事はできないという緊張感をもって取り組むことができました。

  • これまでも他のクライアントにおいて、外部視点による点検を行ったことがありますが、事業の背景などきちんと共有いただいた上で、抜本的な改善へとつなげるための点検をしたことは初めてです。当方としても非常に勉強になりましたし、緊密なパートナーシップのもとで、当初想定されていた通りのしっかりした取組ができたと感じております。

  • 短時間でのヒアリングや助言事項のまとめなど大変な面もありましたが、横浜市の事業の改善検討につながるような助言ができたと思うので、個人的には良い経験だったと感じています。

  • 事業の理解に時間がかかる点もありましたが、反面、自治体が抱える課題には共通の点も多いことから、他の自治体の状況等も踏まえ点検を行うことでお役に立てたのでしたら幸いです。

  • 個別の事業そのものの無駄を改善するよりも、日々、行政インパクトを意識して、事業の構築・運営に当たって頂くという意識づけを庁内に共有できれば、十分な意義があったと考えています。

  • よくある第三者委員会による外部評価とはまた異なる立場で、個々の事業の改善に寄与すべく点検に関与することが出来たことが非常に有意義であったと感じています。また、この取組が外部に公表されることで、同じような課題感を持っている他の自治体にも非常に参考となる取組として受け止められるものと期待しています。

大変だったこと

各事業のヒアリングから報告書としてまとめるまでのプロセスで1番大変だったこと😣を教えてください。

  • ヒアリングの前提としての事業理解

  • 民間的な発想が全ての事業に有効に当てはまるわけではないので、行政的な視点も踏まえて改善案等を検討する必要があり、そのためには事業内容を深く理解しなければならず、その点が大変でした。

  • 100大事業における見直しや改善の仮説を立てて、原課ヒアリングで検証していくプロセスが1番大変でした。従来問題視されてきた課題について、これまでと異なる視点から切り込む必要があり、原課に納得していただくロジックやエビデンスを準備・整理することに労力を使いました。原課ヒアリングでも、担当部署の警戒感が強い場合があり、議論の俎上に載っていただくのに苦労をいたしました。

  • 点検担当者が複数いるなかで、助言の強弱や視点の統一

  • 一見、効率が悪く見える事業であっても、公益上のやむを得ない事情が背後にあることが多く、報告書として結論を出すことが難しかったです。

  • 市の戦略からの評価の視点を、どのように個々の事業の改善の視点と関連付けて評価するか、ということです。

  • 限られた時間の中で、事業の内容や過去の経緯等について理解することはもちろん、その理解を踏まえながらも客観的な視点をもって課題抽出や改善提案が出来ているか、その内容が事業所管課の皆さんにとっても納得感のあるもの(受け入れられるもの)になっているか、次年度以降全事業において参考となる内容となっているか、報告書(100大事業の個票)全体を通した内容の調整が結構大変でした。

  • 「デジャヴ」です。同じ局内の業務であっても、部局横断であっても、似たような名称・内容の事業が多く、一見重複しているのではないか、と思われるものが多々ありました。また、制度変更に伴って後から追加された、以て非なる事業も多いです。全体最適を図ろうにも、背景とする制度が異なる場合には非常に困難だと感じました。

良かったこと

各事業のヒアリング期間が集中していたことや、事業も多種多様であったにもかかわらず、EYメンバーのみなさんは「cool head but warm heart」でご対応くださいました。大変だったことだけでなく、ここは良かった!😄と思うことがあればぜひ教えてください。

  • 所管課自身に、自身の事業の意義について改めて再確認して言葉にして頂いたこと

  • ヒアリングの時間を十分に取っていただいたので、担当課の方々のお考えを聞ける貴重な機会を沢山いただけたことが良かったと思います。

  • 社会福祉法人の存在による参入ハードルの上昇等、単純なコストカットの論理では割り切れない問題があると認識できたこと

  • 事業所管部署へのヒアリングを通じて、市職員と、どのようにすれば事業をより良い方向に導くことができるかという議論を深めることができ、大変良かったと思います。

  • 点検のプロセスにおいて、今後の行政経営における重要な視点を改めて考えることにつながったことが良かったです。

  • 少しでも事業が良い方向に進んでいくことのお役に立てたならよかったです。

  • 普段行政にお世話になっていても、実際の業務を見たことはありませんでした。お世話になっているという意識もなかったですが、今回行政のプロセスを見ることができて本当に勉強になりました。

  • すべてのプロセスが我々にとってもよい経験であり、特に、行政マネジメント課のみなさんの熱意と信念をもって庁内の調整をいただき、多大なご協力がいただけたことで、非常に業務を進めやすかったと感じています。行政マネジメント課のみなさんとWin-Winのよいパートナーシップを築けたことにより、これまでにない抜本的な改善・見直しの試みを進めることができたと思います。

  • 今回の取組すべてです。

イチオシ

ありがとうございます😄われわれ事務局もEYメンバーのみなさんとは苦楽を共にする仲間であると認識して業務にあたっていました。また、EYメンバーのみなさんお一人おひとりから、横浜市の各事業をより良くしていきたい、所管部署を支援したいとの思いが伝わってきました。両者間で良いコミュニケーションを図りながら、業務を進めてきたと自負しています❗
では、報告書の一押しポイントを教えてください。

  • 個別の事業という訳ではないですが、以下の点については、特に意を用いたので、着目して頂けると有難いです。

    • 所管課の現状認識の妥当性に関する公平な判断

    • 所管課による今後の改善策等がある場合は、その評価と、方向性において正しいときには後押しとなるようなコメントの記載

    • 我々が保有する他都市事例等の情報を検討した上でのコメント

  • 今後携わる業務についても活用してほしいので、レビューを実施した視点です。

  • 100大事業の一斉点検であるということが1つのポイントだと思います。全体の傾向や今後の方向性にも着目していただきたいです。

  • 担当する事業だけでなく、他部局や他課の事業に対する助言にも目を通していただくことで、担当する事業の改善・見直しのきっかけや示唆を得ることもできると思います。たくさんの汗と涙(?)とエッセンスが詰まった報告書ですので、報告書全体を見ていただき、参考になる情報を是非、自分のものにしていただけたら幸いです。

  • 客観的指標のうち「市民ニーズ」について、特に見てもらいたいと思います。継続事業の実施にあたっては、環境変化等により市民ニーズも変化している場合もあるため、重要な視点だと考えています。

  • 主に各事業がさらに良くなるために検討可能なポイントについて報告していますが、その背景にある現状において、とても優れていると考えられるポイントについても、本当はもっと触れたいと思うこともありました。市民の皆様や関係者の皆様には、それらの優れた点も背景にあることも念頭に置いておいて頂きながら、横浜市がこれからさらに良くなっていく姿に期待し、自分事として考えて頂くため、一つの材料になれば嬉しく思います。

活用


「所管部署に点検内容がちゃんと伝わるか」「改善に向けて、所管部署が一歩前に踏み出せる内容となっているか」など、報告書案の段階で、何度も意見交換させていただきました。そういった意味でも、本当に、たくさんの汗と涙(?)とエッセンスが詰まっていると言えますよね。
今回の点検結果を横浜市職員にどう活用してもらいたいですか。

  • 客観的な視点として日々の業務の目的や実施方法を振り返るきっかけにしていただけたらと思います。

  • 日常における事業の改善・見直しにおける視点として活用していただきたいです。

  • 外部視点は、自分の、部署の“当たり前”を見直すいい機会だと考えています。無理だと思うことでも何かを再考する一端となれば幸いです。

  • 時間をかけて取り組んだ点検を無駄にしないよう、小さな取組でもいいので、まずは何かのアクションにつなげていただきたいなと思います。

  • 今回の点検結果を出発点として、庁内でさらに議論を深めて、事業の効果的かつ効率的な実施に活用してもらいたいと思います。

  • 今回の点検結果は、抜本的な改善・見直しの端緒だと捉えていただき、点検にかかる見直しの視点や考え方を自分のものとして取り込んでいただき、今後、自ら事業や業務の見直しに取り組む際に存分に活用し、自ら改革していく風土や文化を醸成していっていただければと思います。

  • 個々の事業を効率的に実施するために検討可能なポイントについて具体的に活用して頂くとともに、特に横浜市の戦略に対する関連性が深い事業など、個々の事業を更に伸ばしていく観点からもご活用頂きたいと思います。

期待


助言いただいた内容は、令和6年度予算案だけでなく、中長期の市政運営を計画的に実践していく中でもしっかり活用していきたいと思います。
では、最後に横浜市職員へのエールをお願いします❗

  • 行政評価の視点では、厳しいことも申しましたが、日々、市民に貢献する業務に当たられていることに是非誇りをもって頂きたいと思います。

  • 私達が何気なく普通に生活できているのは皆さんのおかげです。陰となり表となり支えてくださってありがとうございます。

  • 試行錯誤しながら、よりよい方策を常に模索し、取り組んでいる皆さんの志が素晴らしいと思います。皆さんのような職員が1人でも増えてくれると公共の仕事の良さがもっと伝わるんだろうなと思います。1人でも多くの仲間を増やして、頑張ってほしいです。

  • 個々の職員としては内心色々思うことはあっても、行政の見解としては認めることが難しいことは多々あると思います。「職員の内心色々感じたこと」を同時多発的に横浜市庁舎内で発生させることで、個々の職員のちょっとした意識変容という点が、線や面に繋がっていったら、とても面白いことが起きるのはないかと思います。

  • 横浜市は全国的に知名度が高く、市の取組は他の自治体がベンチマークする対象となっています。行政マネジメントに関して今導入しつつある仕組みについても先進的ですので、その分試行錯誤はあるかと思いますが、ぜひ全国のリーダー的存在として他の自治体を引っ張っていってください。

  • 今回の事業に取り組ませていただくに当たり、職員の皆様の頑張りや真摯な取組姿勢、能力の高さを随所で感じてきました。前例踏襲に陥らず、少し目線や視点を変えていただくだけで、これまでにない行政運営を実現し、市民、事業者、市・職員の三方良しを目指すことができると思います。各部局、各マネジメント層(トップから係員まで)すべてにおいて、同じ目的意識を持って取り組むことが重要です。是非素晴らしい行政運営を実現してください。

  • 事業の点検は、通常業務に加えて実施するもので業務負担が大きいと思いますが、持続可能な市政運営に向けて、自発的に継続して実施していただけますと幸いです。

  • 人口減、環境問題といった様々な課題が生じている現在、横浜市という大都市の行政を支えていくのは大きな挑戦であると思いますが、皆様のお力で横浜市が新しくわくわくするような都市として進化し続けられることを期待し、楽しみにしております!


ありがとうございました❗

100大事業の自己分析に対する外部視点の点検報告書」