あいみょんってなんだかずるい。

例えば、歌詞に過激な表現が滲んでいてても
シラっとなりがちなセリフ曲も
タモリ倶楽部で春画の魅力を語っていても
なにもかもがどこか文化的で
時に高尚にすら感じるあれは何？

語感を大事にしていて
これまでのアルバムのタイトルが
全て14文字という気まぐれのようなこだわり。

これだけ売れてもなお週に数曲作っていて
ストックが数百曲あるというエピソード。

基本的に夜10時には仕事を終えるんだっけな、
夜という時間を大切にしているんだねきっと。

根っからのシンガーソングライターで、
人間らしい彼女にどうしても好感を持ってしまう。


2019年のロッキンのGRASS STAGEでの姿は
今でも忘れられない。

ステージ中盤「恋をしたから」の冒頭。
コードを連続して間違えたかなにかで
苛立ちの言葉をマイクに吐き捨てた。

メインステージに立つ他の大物アーティストが
観客を焚き付けて盛り上げる中、
ピリついた無音の空気で惹きつけるなんて
カッコ良すぎて唖然としてしまった。

カッコつけようとしないんだもんな。
いつだってまるごとあいみょんなんだよな。

ツヤツヤキラキラで眩いんじゃなくて
トゲトゲメラメラで熱いんじゃなくて
ザラザラっとしていて手触り感がある感じ。


カラオケに行くといつも
「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」を歌うのは、

「死ね」という言葉を
誰も傷つけず（これ重要）大声で叫べるなんて
気持ちが良すぎてやめられないから。

両腕を切り落として腰に巻きつけたいとも、
心臓をえぐりとってネックレスにしたいとも、
到底思えないけれど
「死ね」の二文字に魂を込めて息を吐き出す。

それだけでどんな鬱憤も晴れる。
ような気がする。

特にストレスなんてないけど。

頭が痛くなるくらい叫ぶと
身体の奥底でボケっとしている細胞が起きる。
ような気がする。

力尽きてしばらく動けなくなる時もあるけど。

偉い人の前でも気にせず歌えるんだから、
好きな人の前でも歌う。ような気がする。

久しく恋愛していないけど。

あー
いつかあの「恋をしたから」を
心の底から共感して歌える日が来るのかしら。

あー
そんな日が来たら
あいみょんとおいしいパスタ食べながら
頬杖ついて恋愛の煩悩を話してみたいもんだ。

₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎.o0（あいみょん、一生使わなかったであろう「死ね」を叫ぶ経験をさせてくれてありがとう）