神崎葵@G-zass

WEBディレクター 兼WEB、DTPデザイナー。ネットでの主な活動は、作詞/デザイン全般/シナリオ書き...etc

彼と彼女の物語

当たり前になっていた日常とは、簡単に崩れ落ちる事をまだ知らない頃。

 俺は中学三年の夏を迎えていた。

 その頃も相も変わらず、戸松と日高と高校受験だというのに馬鹿みたいに遊んでいた。

 戸松は少し髪は今より長くて、音楽も同じピアノ教室に通っていたが辞めていた。

 日高は高校と同じくバスケ部で、最後の大会が幕を閉じて少し寂しそうだった。

 今と違うのは、俺らは三人ではなくて四人だったことだ

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そして、また少年は立ち止まる

俺らは文化祭という一大イベントを終えて、次のイベントに期待を膨らませていた。

「文化祭も終わったし、次は修学旅行か」

 昼休みに、俺はいつも通りに日高と戸松と食事を終え、俺の席の周りで話していた。

「京都だっけ?」

 俺の何気ない言葉を、横に立っている日高が拾う。

 向かいの席で椅子をこちらに向けて、戸松は俺の机でゴロゴロしている。

「そうそう、北海道行きたかったな」

 挙げ句に文句

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そして、彼女は言葉を失う。

親友の頼みを無下にもできず、私は彼女の為に探りを入れる事になる。

 京都駅のホールで、私たちは十五分の自由時間に入った。

 私たちは時間をつぶす様に、お土産売り場を見ている事にした。

 黒を基調とした落ち着いた雰囲気の駅構内で、吹き抜けのホールを見上げて、私は京都に着いた事を実感する。

「雪乃、こっち」

 振り返ると、香澄が土産売り場から手を振っている。

 近付くと、彼女は一人のようだ

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彼女と彼女の事情

人間はいつでも嫌な想い出を残す。

 それは後悔や罪という一言で、その本人を縛り上げてします。

 書物はこう語る。

 罪の意識は、最も重要な形では、一段と根の深いものである。それは、無意識の中に根をおろしていて、他の人びとの非難に対するおびえのように、意識にのぼってくることはない。

 新幹線の中というのは思った以上に、席と席の感覚が狭く、一つ向こうの席の会話が平気で聞こえてくる。

 しかし

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エピローグ

放課後の夕暮れ時、また菅野とカフェ「マーチヘア」に来ていた。

 今回は俺が計画したわけでなく、菅野から誘われたのだ。

 前回よりも少し客も少なく、静かな雰囲気が漂っていた。

 二人で席に座り注文をするなり、この会合の意図を聞く。

「何だよ、急に呼び出して」

「いや、修学旅行の計画を考えようと思って」

 少しピンと来た。

 数日前に、二人は揃って修学旅行の実行員になったばかりだ。

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星空

星空が一面に頭上に広がっていた。

 暗い海面を薄っすらと照らし、波の海練を象っている。

 ただその微かに見える景色を眺めていた、波の音のリズムに耳を傾けていた。

 丘の上に建つ学校が小さく見える学校も、祭りの終わりを告げるように闇に沈んでいる。

 俺は海辺で佇む菅野に声をかける。

「ここにいたのか」

「…長谷部か…」

 よく見知った同級生の顔は、どこかしら気まずそうに視線を合わせない

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