30枚目「失われるものと守りたいもの」

午前一時過ぎ、寝るには惜しいが布団には入る

温まった布団の中には愛しい人が小さく寝息を立てている

あからさまに距離を感じる
冷たくあしらわれる
そんな日だった

いつかこの手から失われるものなのかと思い
そっと手を握ろうとしたけどもそれとなく躱されたような気がした

この手で守りたいものなのか分からない
もしかすると守りたいのは自分なのかとも

これを記した10月23日のことを忘れない


大事な言葉は相手からはなく
こちらから促してやっと渋々と別れの言葉を吐く愛しい人
無感情に淡々と気だるそうに

言葉としての意味と
あまりにも軽いその刃は
一瞬で私の全てを切り裂いて

そこからは吹っ切れたものがあったのか
私は少し悪態をついてしまった
思うことがいくつかあった

ただ、ごめんねもありがとうも
空っぽな言葉の響きのようで悔しい

この手で掴めなかった未来が一つ

11月5日の侘しさを忘れない

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