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絵本: ひみつのちかみち




















*今の子供たちは、「煙突」なんて知らないでしょうね、
昔の子供たちが、「スマホ」「パソコン」なんていわれても、
ちんぷんかんぷんのように…
昔、昭和のころ、町内にはたいていお風呂屋さんがありました。
「松の湯」とか「竹の湯」なんて名前で、
銭湯(せんとう)といわれていました。
そのお風呂屋さんには、かならず小さい煙突が立っていたものです。
そんな小さい煙突ではなくて、巨大な煙突が、工場には立っていました。
私は子供のころ、横浜の戸塚というところに住んでいました。
その駅の近くに、日本光学の工場跡地がありました。
日本光学は今のニコンの昔の名前です。
広大な敷地で、周囲はぐるりと、この絵本のようなコンクリの壁に
かこまれていました。
工場の裏手は、コンクリの壁と山の崖にはさまれた、
せまい寂しい小道になっていて、壁のむこうから巨大な煙突が、
とびだしていたのです。
その道をとおるとき、正面空高くそびえたつ煙突が、
ものすごく圧迫感があって、一歩歩くごとに、
だんだん大きくなり、見上げるようになり、
真下を通りすぎるときは、息がつまるようでした。
通り過ぎてもうしろがこわくて、目をつぶるようにして、
はや足で歩いたものでした。
そんな思い出をこの絵本にしました。
東京の下町、工場地帯には、おばけ煙突なんてありましたね。
何本か並んだ煙突が、見る位置によって重なって見え、
数が増えたり、減ったりしたからです。
ある程度年配の方なら、
煙突と聞いてなつかしく思われるかもしれません。



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