弁護士はAI相談でいなくなるか

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

弁護士はAI相談でいなくなるかというテーマでお話しします。

◆本題の前に◆

本題の前に、お知らせです。

今日は、自分がやってることの紹介をいたします。

街弁事務所に所属しながら、ネットトラブル分野、スポーツ・エンタメ分野、終活・事業承継分野に力を入れて活動しています。

パデル協会をはじめとしたスポーツ協会の法務担当や、テニス選手の顧問を行いつつ、SNSの使い方や匿名の誹謗中傷対策を担当したりしています。

また、最近は、終活や事業承継に関して、「毎年やるもの」の文化を根付かせるためのサービスを、悪戦苦闘しながら開発中です。

◆トラブルがあった時どうする?◆

皆さんの知人、友人に弁護士さんはいますか?

この記事の読者は、ほとんどがSNSからの流入なので、比較的私のことを知っている人が多いとは思いますが、一般的には、弁護士の知人・友人がいるという人は多くないかもしれません。

と、なると皆さんが困ったとき、まずするのは「インターネットで検索」ですよね。

まずは弁護士が必要かどうかすら分からないので、トラブルの中身で検索すると思います。
「交通事故 ケガ 請求」、「離婚 財産」、「相続 遺留分」などなど、悩み事を検索しているはず。

そうするとあら不思議、出るわ出るわお役立ち情報が載っているサイトがたくさん出てきますよね。

多くの場合、弁護士(やテーマによっては他の士業さん)が特定のテーマについて記載している記事だったりして、そのままリンクに飛べば、当該記事の執筆をした弁護士の所属する弁護士事務所に相談申し込みができたりします。

この点については、(なぜか)賛否があるのですが、私は社会に有益な情報が紹介されることについて大賛成。

ただ、人間には「確証バイアス」という習性がある点が、最大の弱点です。

◆試験の答えを検索しまくる◆

みなさん、大学の試験や、資格試験などが終わった後、自分の回答に自信がないところについて、ネットで回答や解説を検索したことはありませんか?

その時に、自分の回答した内容に沿う記事に出会うまで、延々と検索し続けたことはありませんか?

この記事を読んでくださっている弁護士のあなた!は、絶対に経験があるはず。司法試験の答案に書いた答えの理論的根拠について、●●説を追い求めて三千里の度に出たことが絶対に一度はあるはずです。

もちろん、私もそうでした。

人間のこういう習性を「確証バイアス」というそうです。
自分が信じていることの裏付け情報「だけ」を探し、「自らに不都合な情報を無視する」傾向のこと。

現実を直視するのは嫌ですよね。毎日毎日、自分がミスしたかもしれないことにさらされては、確証バイアスと闘うという地獄の日々です。

◆法的悩みにも発動◆

もちろん、法的なお悩みについても、「確証バイアス」ちゃんはきちんと発動します。

ということは、先ほど述べた検索→法的アドバイスという過程で、自分の都合の良い事実だけを前提に検索していたり、法的アドバイスの例外部分を拡大して自分の都合の良い解釈をしていたりするのです。

AIが法律相談をするようになるのは、とっても良いと思います。でも、AIの大前提は、「入力している事実が誤っていないこと」

弁護士の場合、法律相談で依頼者が、ちょっとおかしなことを言っていないかなとか、様子がおかしいなと思うと、じっくり話は受け入れた後で、何らかの方法で、「前提の事実が間違っていませんか」というところを確認します。

最終的に正しいリスクを見積もろうとすると、「前提事実が異なる」まま相談に乗るのは、本人のために全くなりません。

そんなこと、平常心でこの記事を読んでいる時は百も承知だと思うですが、実際にトラブルの渦中にいて、思い出せ!というのは極めて困難。

ここで正直に話してもらえるかが、ある意味弁護士の腕の見せ所って感じです。

弁護士の仕事は、相手をコテンパンに言い負かすところばかりクローズアップされがちですが、そもそも依頼していただく方の信頼を獲得するところが一番難しくて、奥深くて、泥臭い、全人格勝負だったりします。

人間は感情の生き物なので、相談中には、法的な結論の見通しはもちろん、この方の悩みの一番の納得いかないところはどこだろうと考えているのです。

◆結論◆

と、いうことで、AIが普及してくれれば、軽めの法律相談(感情がそれほど伴わないシンプルな相談)はどんどんAIに任せればよいと思っていますが、だからと言って弁護士相談の必要がなくなるとは思いません。

人間同士の魂のぶつかり合いとしてのご相談は無くならないと思いますので。
#言い過ぎ

◆最後に◆

お読みいただきありがとうございました。

こんな感じで、日々感じたことや気付きを共有していきます。

もし少しでも共感いただけたり、具体的に話をしてみたいという方は、コメントくださったり、スキボタンを押していただくだけでも、ひっくり返るくらい喜びます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。