ポップンミュージック用のコンパクトなコントローラを自作したよ
皆さんこんにちは。ライターの工藤寛顕です。
僕は『ポップンミュージック』という音楽ゲームが好きで、以前にもポップンミュージックの立ち環境を制作したりしました。
こうしたプレイ環境づくりみたいなことは初めてでしたが、幸いにも満足のいく出来となりました。ただ、最近はほとんど遊べていません。なぜなら……
デカすぎる
作る前は「こんなにデカいなんて、まるでゲーム筐体そのものだぜ〜!」なんて呑気に浮かれていたのですが、実際に狭い部屋の中に設置してみると、その存在感はかなりのもの。正直、めちゃくちゃ邪魔です。遊んでいる時は最高に楽しいのに、遊んでいない時の圧迫感がすごい。
そこで僕は考えました。「デカすぎて困るなら、コンパクトな環境を作ろう」。
音ゲーのコントローラは自作している人が多く、特にボタンだけで完成するポップンミュージックのコントローラは結構な数の制作例が見受けられます。基本的にはアーケードのサイズ感を再現するために制作している人がほとんどですが、中には指先で気軽にポップンを遊ぶために小さなコントローラを作っている人も。
僕も作ってみたい……と思っていたところで、タイミングよくコナミ公式から『コンパクトモデル』が発表となりました。かつてPS用に販売されていた「ポップンコントローラ」の意匠を継ぐようなサイズ感で、省スペースで気軽に遊ぶことができそうです。
このコンパクトモデルを購入してもよかったのですが、ポップンのコントローラを何個買えば気が済むんだよという懸念と(欲しいっちゃ欲しいけど)、先日格ゲー用のコントローラを改造した際に「意外と穴開けの加工って簡単にできる」と感じたことから、前々から密かに抱いていたコントローラ自作欲に火がつきました。
ポップンのコントローラ……自分で作ってみたいぞ!!
使用パーツ
制作イメージ
今回の決め手となったのは、「レバーレス」と呼ばれるタイプのコントローラを自作している方々の制作例を見たことでした。
レバーレスとは、ここ数年で普及し始めている格闘ゲーム用のコントローラのスタイル。レバーの代わりに4つのボタンが配置され、上下左右をボタンで操作することができます。その意味や利点などは各自で調べていただくとして、重要なのは「レバーが無いコントローラは意外と簡単に作れる」ということ。
レバーの取り付けに必要なネジ穴を開ける必要がない、というのもそうですが、前後左右にひっぱる力が生まれるレバーと異なり、全てがボタン入力のレバーレスであれば押下する力のみで済むため、小さくて薄い筐体でも安定して遊ぶことができます。そのため、小さなプラスチックケースなどにボタンを取り付けてレバーレスを作っている人が多いのです。
これを見たとき、「同じケースを使えば、ポップンのコントローラも作れちゃうじゃん!!」と閃きました。
自作コントローラにおける外側のケース選びは重要なポイントで、木材やアクリル板などで自作している人が多いのですが、僕自身工作があまり得意でないことから躊躇していました。でも、これなら簡単に作ることができるかも!
というわけで、僕が選んだのは「ハコット」というプラスチック製の収納ケース。様々な形状のバリエーションがあるのですが、このトランク型が適度なサイズ感かつ厚みも程よいので、ボタンを取り付けるスペースも確保できると考えました。実際にこのシリーズでレバーレスのコントローラを作っている方もいるようです。
実際に届いたものがこちら。豊富なカラーバリエーションが魅力のハコットですが、今回は「カスタードイエロー」というやさしい黄色のカラーをチョイス。この色味がなんとなくポップンぽい感じでよいですね。ポップンコントローラ2とか、アーケードスタイルコントローラの側面も黄色だったし。
B5ノートがピッタリ入るサイズ感ということで、片手でも持ちやすいコンパクトさ&軽さ。これなら遊ぶときも場所を取らなさそうだし、収納も楽そうです。
ざっくりした穴開けイメージ。ボタンは格ゲーでも使われる三和電子製の30mmφの押しボタンを使用します。サイズ感もちょうどよさそうですね。
加工開始
というわけで、早速ケースを加工していきましょう。
ケース内部は非常にシンプル。無駄な突起や仕切り板などもなく、非常に加工しやすそうな感じ。基板や配線も余裕を持って収まるでしょう。
裏面にはちょっとした突起が付いていたので、それを避けるように穴を開けて……
ゴム足を取り付け! 高難易度譜面でもズレずに遊べるはず(そもそも遊べる実力じゃないけど)。
天面にも穴を開けて……
ボタンを取り付ける9個の穴を30mmφに拡張。写真ではバリが残っていますが、柔らかい素材なのでカッターで簡単に取り除くことができました。こないだのアケコンの時よりも確実にまともになっている気がする……。
側面にも穴を開けました。写真左の1つだけ開いているのはケーブルを取り出すための配線用のもの。右に3つ開いているのは、オプションボタンを取り付けるためのものです。
ボタンの取り付け
続いて、ボタンを取り付けていきましょう! 今回は三和電子製の30mmφ
押しボタン『OBSF-30』のうち、クリアタイプをセレクトしました。
残念ながら押しても光りませんが、アーケードのボタンに近いイメージで選んでみました。欲を言えば枠は黒が良かったけど、黒枠+色ボタンは赤と青しか無かったため断念。いつか黒ボタンも買ってきて、枠だけ入れ替えるかもしれません。
ケースに取り付けてみると、一気に「ポップンミュージックな感じ」に!!
三和電子のボタンはゲームセンターでも使われている業務用パーツのため、使うだけで一気に"本物感"が出るのが嬉しいですね。もちろん押した感触も素晴らしい。
少し小さな24mmφの押しボタンは側面に配置。Livelyでの使用を想定して、
それぞれ「Escキー」「F1キー」「BackSpaceキー」を割り当てる予定です。
正面にはアケコン同様、ノイトリックの『NAUSB-W』を装着。ケーブルを着脱式にすることで、収納もしやすくなりそうです。
さらに、『Buttercade ノイトリックカバーキット』という専用パーツを装着していきます。
端子のスキマに取り付けることで……
とっても見栄えが良くなりました。白いパーツを使うとポップンぽさも増します。
基板に配線
今回は内部基板に『REVIVE USB MICRO』という製品を使用しました。
1円玉サイズ(!)という非常に小さな基板ながら、最大12ボタンのマウス/キーボード/ジョイパッド入力をサポートしているという面白い製品。PS4などのゲーム機で使うのは難しいかもしれませんが、PCゲーマーならこれでアケコンを作るのもよさそうです。
そこにハイパー雑なはんだ付けをして……
各ボタンと結線していきます。写真を撮り忘れましたが、ケーブルの先端には#110サイズのファストン端子をかしめてあるので、はんだ付け無しでボタンとそのまま接続できます。
ケースを閉じたら完成!
テストプレイ
専用アプリで各ボタンを割り当てた後、ポップンミュージックLivelyで動作テストをしてみました。1〜9ボタンをそれぞれジョイパッドの1〜9に割り当てたので、キーコンフィグを行わなくてもデフォルトで配置に合った設定になっていました。
う……動いてる!!
ちゃんと押したところが光ります。9ボタンの同時押しだってOK! これは……完璧だ!!
実際にプレーしてみた感じもバッチリ。遊ぶのが久々すぎて全然COOLが出てませんが、押した感じの遅延も無さそうです。
三和ボタンも素晴らしく、ポップンコントローラのポコポコとした感触(アレも好きですが)と異なり、パチパチとアーケードっぽく気持ちいい感触が楽しめます。
これは……良いコントローラができたかも!!
天板のたわみを解決したい
ただ、遊んでいて少しだけ気になる点がありました。それは……
↑の画像では伝わりづらいかもしれませんが、ケースに使った『ハコット』が柔らかめの素材なので、ボタンを強く押し込むと少したわんでしまうのです。
こうしたコンパクトなケースを使う自作コントローラではよくある問題らしく、中に支柱を入れて補強する方もいるそうです。
僕も支柱を入れようかと思いましたが、他に何かいい方法はないかな、と考え……
天板を注文してみました!!
「頑丈な天板が無いなら作ればいいじゃない」的な発想で、ポリカーボネート製の天板を加工含めてオーダー。今回ははざいやさんでお願いしました。
こんな感じで、ハコットの蓋の凹んでいる部分の寸法に合わせてカットしていただき、ボタンやねじのための穴も開けていただきました。
さすがに業者さんの加工だけあり、素人の穴開けやカッティングとは雲泥の差。四隅のラウンド加工や辺のテーパー加工も施されており、切りっぱなしのアクリル板よりかなり高級感があります。
これをハコットの天板と重ね合わせれば……!
完成!
ついに自作コンパクトポプコンの完成〜!! 天板の白が入ったことでさらに見栄えも良くなり、「ただケースに穴を開けただけ」の状態よりワンランク上の完成度になったのではないでしょうか。
天板は光沢のある素材感で、クリアカラーのボタンとの相性もバッチリ。ケースのマットな質感ともコントラストがあって良い感じです。
角は2mmのラウンド加工を施し、ケースの凹凸の丸みともピタリと合っています。最初からひとつの製品かのような一体感ですね!
以上、自作コンパクトポプコンの制作レポートでした。ちょうど夏休みの時期ということもあって、いい感じに自由工作っぽい試みができたのではないでしょうか。
今までもアケコンの静音化やボタン交換などは経験がありましたが、完全に一からコントローラを作るというのは初めてのことで、最初から最後までめちゃくちゃ楽しく(試行錯誤しつつ)進めることができました。
僕のようなDIY&電子工作初心者でも、工夫をこらして頑張ればこれくらいの物は作れるんだ! という自信がついたと同時に、「これが作れるということは、あんなものやこんなものも……」という、さらなる妄想も湧き上がってきちゃいますが、ひとまず今回はこの辺で。
あとは完成したコントローラでポップンを遊び尽くすだけです。「なつやすみのぼうけん」とか「隅田川夏恋歌」とか、この時期は遊びたい曲がたくさんですね。
お相手は工藤寛顕でした。それではまた次回。
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