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一歩ふみだす勇気がわいてくる『きみにもできる! よりよい世界のつくりかた』

『きみにもできる! よりよい世界のつくりかた』
 ケイリー・スウィフト 文
 リース・ジェフリーズ 絵
 宮坂宏美 訳
 池田香代子 前書き
 廣済堂あかつき
 2021年3月

この本の著者であるケイリー・スウィフトは、イギリスの若者向けの新聞「First News」の編集長。世界をよくするために活動したいけれど、何から手をつけていいかわからない。そんな若者の声を受けて、この本を書いたそうです。

スウェーデンの若き活動家グレタ・トゥーンベリに背中を押され、「Fridays For Future Japan」が立ち上がるなど、日本でも若者たちがどんどん行動を起こしはじめています。これから何かやってみたいと思っている方も増えているのではないでしょうか。

そういった子どもたち、若者たちに、この本はうってつけ! 地球環境、動物保護、人権、いじめ、差別、平和、平等、教育など、さまざまな問題を取り上げているのはもちろんのこと、ポスターの作り方、寄付金をためる方法、デモ行進に参加するときの注意点など、具体的な行動の仕方についても紹介しています。また、Q&Aに答えていくと「きみに合った活動はこれ」とすすめてくれるチャートもついています。

2021年03月14日21時37分08秒_pages-to-jpg-0001

本書のもうひとつの特徴として、だれかの役に立つにはまず自分が元気でいなくてはいけない、としっかり書いていることもあげられます。食事と睡眠をちゃんととること、運動すること、自分の感情の上がり下がりを知ること、前向きな言葉で自分を励ますことなど、数ページにわたって紹介されています。

行動を起こすのはとても勇気のいることだと思います。私自身、今までデモ行進に参加したり、ボランティア団体に寄付したり、行政に意見を送ったりしてきましたが、インターネット上で発言するときは、たたかれたらこわいな~と正直ちょっとビビってしまいます。あくまで自分のできる範囲で、無理なく活動することが大事かなと思いました。

私が最近とくに気になっているのは「人権」です。子どもか大人か、男性か女性かLGBTQか、日本人か外国人か。そういったことにかかわらず、だれもが人間として等しく尊重されるべきですが、その教育が日本ではまだまだ足りないように思えます。

法務省の子ども向けの人権サイトもわかりやすいとは言えず、もう少し子どもによりそったものがあればいいのになあと感じました。

中でも心が痛むのは、子どもの人権がふみにじられたときです。本書でも紹介されている「子どもの権利条約」について、ユニセフのサイトでわかりやすく解説されていますので、まずはここからでも多くの人に知ってほしいなと思いました。

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本書では、最近やっと注目されてきた「ヤングケアラー」についてもわずかながらふれています。支援が広がり、子どもが子どもらしく生き生きと暮らせる社会になることを願わずにはいられません。

ひとりのほんの小さな一歩が、世界をよりよい方向に大きく変えることもあります。この本が、そんな一歩をふみだすきっかけになったらうれしいです。


※もくじのページにもお名前がありますが、本書はフリー編集者の細江幸代さんが原書を見つけて、編集も担当してくださいました。また、翻訳家であり活動家でもある池田香代子さんに力強い前書きを書いていただけました。この場をお借りして、お世話になったみなさまにお礼申し上げます。

※版元さんのサイト(↓)もぜひご覧ください。


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