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連載小説『ヒゲとナプキン』

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心と体の性別が一致しない主人公イツキと、そのパートナーであるサトカを巡る物語。
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#連載小説

新作小説『ヒゲとナプキン』 #1

【無料公開】 便座の上で用を足したイツキは、股間をぬぐったばかりのトイレットペーパーを呆…

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乙武 洋匡
5年前
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新作小説『ヒゲとナプキン』 #2

【無料公開】 部屋着の上にパーカーを羽織っただけの格好で家を出たイツキは、少し肌寒さを感…

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乙武 洋匡
5年前
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新作小説『ヒゲとナプキン』 #3

【無料公開】  ソファで微睡んでいたイツキの耳に、リビングのドアが開く音が聞こえてきた。…

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乙武 洋匡
5年前
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新作小説『ヒゲとナプキン』 #4

【無料公開】 「おい、そろそろメシ行くか」  ハリさんが伸びをするように弛みきった体を後…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #5

【全文無料公開】  新宿二丁目の雑居ビル。仕事帰りのイツキは階段で三階まで上がると、木製…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #6

【全文無料公開】 (おまえの望むフツーとは、息を潜めてビクビクしながら生きていくことなの…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #7

【全文無料公開】  JR新宿駅の南口を出ると、正面には完成して間もない高速バスのターミナルビルが目に入った。その奥にそびえる巨大なデパートを見上げながら、スーツ姿のイツキは、「あそこは新宿高島屋なんて名乗っておきながら、住所は渋谷区なんだよな」などと同僚のタクヤが得意げに語っていたトリビアを思い出していた。信号が青に変わる。イツキは人並みに紛れて甲州街道を渡ると、代々木方面に歩を進めた。  一軒の雑居ビル。イツキはエレベーターで三階に上がった。 〈高野メンタルクリニック

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連載小説『ヒゲとナプキン』 #8

※個別の記事を数百円ずつご購入いただくよりも、月に20本近い記事が配信される定期購読マガジ…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #9

【全文無料公開】  木製の扉に取りつけられたベルが、勢いよく音を立てた。 「いらっしゃい…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #10

【全文無料公開】 「今週もご苦労さんだったな。そろそろ切り上げて飲みにでも行くか!」  …

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #11

【全文無料公開】  眼下に広がる暗闇に、ひとりの男を見つけた。細身でなで肩の男は、一本の…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #12

【全文無料公開】  イツキはふたつのスマホを握りしめたまま、冷たくなったフローリングの床…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #13

※個別の記事を数百円ずつご購入いただくよりも、月に20本近い記事が配信される定期購読マガジ…

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乙武 洋匡
5年前
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連載小説『ヒゲとナプキン』 #14

【全文無料公開】  玄関のドアに鍵を差し込み、できるだけ音を立てないようにそっと回した。心の中で、「一、二の三」と唱えながら、静かに開けたドア。廊下はもちろん、リビングの電気も消えている。  深夜とも早朝ともつかない午前四時。忍び足で廊下を進み、リビングへと続くドアのガラス窓から中の様子を窺う。サトカがいる様子はない。体を反転させ、寝室のドアを開ける。トイレにも、浴室にも、その姿は見つからなかった。  どこかで胸を撫で下ろしている自分がいた。怒りと悲しみ。申し訳なさと愛

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