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私がどうしても「オリンピック中止論」に乗りきれない、シンプルな理由。

これまで都知事選に3度立候補したことで知られる弁護士の宇都宮健児さんが、東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める署名活動を開始しました。すでに34万5千筆(5/13現在)が集まっていて、まだまだ伸びそうな勢いを見せています。

また、複数の海外メディアもオリンピック中止論を叫びはじめていて、米紙「ワシントン・ポスト」などは、IOCバッハ会長を“ぼったくり男爵”、その他のメンバーを“金メッキの偽善者たち”と呼んで批判しました。

国内でもオリンピックに対する世論は日増しに厳しさを増していて、様々なアンケートや世論調査を見るかぎり、少なく見積もっても7割以上の人が再延期や中止など、今夏の開催には否定的な考えを持っているようです。

今月中旬にはバッハ会長が来日し、広島で聖火リレーの様子を視察するなどの予定が立てられていましたが、それも中止となりました。感染状況を踏まえた判断だとアナウンスされましたが、国民感情を考えればとても来られたものではないというのが実情でしょうか。

それでもこの国は「五輪開催」へと突き進んでいます。常識的に考えれば、とても国際的なイベントなど開催できる状況にはないはずですが、責任ある立場にある人々は一様に「開催します」の一点張りで、再延期や中止を検討している素振りさえ見せようとしません。

いまだ感染拡大が収まらず、緊急事態宣言下での生活を強いられている人が多くいます。楽しみを奪われ、収入を奪われ、なかには命を奪われた人々がいます。そんななか、なぜオリンピックだけ開催されるのでしょうか。私たち国民はこんなにも我慢しているのに、なぜオリンピックだけが開催されるのでしょうか。そうした疑問を、いや、強い憤りを感じている人は、決して少なくないはずです。

私だって、同じ思いです。私だって、この一年と数ヶ月の間、多くのものを奪われてきました。だからこそ、心情的には「なんでオリンピックだけ」と考えないわけではありません。

しかし。

だからといって、そう簡単に「オリンピック中止論」に乗っかってしまっていいのでしょうか。どこかで理性的であろうとする自分がいます。このマガジンでは、何度も繰り返し伝えてきました。感情と事実はきちんと切り離して考えないと、あとで自分たちが痛い目を見ることになる、と。

東京オリンピック・パラリンピックは、無理にでも開催すべきなのか。それとも中止すべきなのか。感情はいったん脇に置いて、あくまで冷静に考えてみたいと思います。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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